「ナイロンラインの出番は1年中」三原直之さんが求める性能で選ぶ2種類のナイロン

現代のバスフィッシングにおいては、大半のアングラーがフロロカーボンラインを使用しており、むしろ近年はタックルを問わず、PEラインの使用率もぐんぐん上昇している傾向にある。それではかつて主流だったナイロンラインはどうか? 根強い人気こそあるものの、その使用率は正直高くないだろう。しかしそこはバスフィッシング。状況に応じてあらゆるタックルを使い分けることで釣果をひねり出すこの釣りにおいては、適材適所でナイロンラインも活躍するはず! そこでここからは、その特性を踏まえた上で見えてくる、ナイロンラインの真価に迫りたい。今回は三原直之さんがナイロンを選ぶ理由を解説。

●文:ルアーマガジン編集部

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三原直之さんのプロフィール

三原直之(みはら・なおゆき)

ライブスコープを積まず、バスとルアーに対する深い洞察力でJBトップ50を戦い続ける稀有なバスプロ。三原虫やフラシュリンプ、ビッグベラー175など独創的なルアープロデュースにも定評がある。

しなやかさとクッション性で選ぶ2種類のナイロン

ナイロンラインの出番は1年中あります。JBトップ50の選手を見渡しても、僕はよく使うほうだと思います。

東レ・ソラローム(R)のラインナップには「ポリアミドプラス」と「ビッグバス ナイロン」の2種類があって、どちらかといえば前者のほうがしなやかで柔軟性が高い。ロッドワークを駆使するような操作系の釣りに適しています。

上が「ウォーターメロンライトフロールーセント」のソラロームRポリアミドプラス、下はナチュラルカラーのソラロームRビッグバス ナイロン。しなやかさがほしいときは前者、太めの番手で強度を優先するなら後者を選ぶことが多い。

一方、強度に優れた「ビッグバス ナイロン」は30lbまでラインナップされているので重量級のルアーとも合わせやすい。ただしビッグベイトで細かく首を振らせたいときは、微妙な操作性を優先して「ポリアミドプラス」に、といった細かい使い分けもします。

フロロカーボンとの違いが特に出やすいのはトップウォーターですね。ポッパーはほぼ100%ナイロンでやります。ステイの時間が長いから、じわじわ沈んでいくフロロだときれいに動かしにくい。

陸王2021の八田原ダム戦、三原さんがアマゾンペンシルで捉えた衝撃の1尾。このときは汎用性を優先して18lbのフロロを巻いていたが、専用タックルで挑むなら太めのナイロンも扱いやすい。

10cm以下の小型ペンシルベイト、たとえばジャスティーンのようなルアーもナイロンで動かすのが好きです。大きめのトップにはグラスロッド+PEラインを組むことが多いんですが、これで小さいペンシルをやると、ロッドワークの入力値が大きすぎて引っぱりすぎてしまう。適度にクッション性のあるナイロンのほうが丁寧に操作できます。

「クッション性」を踏まえたナイロンの出しどころ

ナイロンラインを選ぶ理由の第一は、やはりこの「クッション性」ですね。

アラバマリグを使いはじめたころ、フロロカーボンやPEラインもいろいろ試してみた結果、「ビッグバス ナイロン」の20~25lbに落ち着きました。

三原「フッキングを中心に考えると、掛ける釣りはフロロカーボン、乗せるならナイロン」

ゆえにシングルフック系の釣りは基本的にフロロを使うが、アラバマリグには例外的に20~25lbのナイロンを選んでいる。

三原「冬にオカッパリでスイムベイトをやる場合も浅いレンジをデッドスローで引くためにナイロンを選びます。ロングキャストすることが多いのでフロロだとレンジが入りすぎて姿勢も悪くなる」

ど真ん中のジグヘッドに食ってくるときは、ラインとワイヤーとフックが一直線上になるのでナイロン以外でもフッキングが決まる。問題は周囲のいずれかのワームに食ってくるケースです。

この場合、フッキングパワーが伝わりづらいので「バシッ!」と合わせるのではなく「グリグリッ!」と巻きアワセしたい。ところがフロロやPEラインだとバスが違和感を覚えるのか、吐かれたり浅掛かりでバレることがよくありました。

デカい魚だとアラバマリグのワイヤーごと口に入っているので、食った瞬間の金属的な衝撃が大きすぎるのかもしれません。それを和らげるためにナイロンの「クッション性」が生きてきます。

クランクベイトの場合は状況に応じて変えます。中層を巻いたり、シャロークランクでブッシュに当てたりするときはナイロン。ボトムを叩くときはフロロカーボン。ディープクランクも8~10lbのフロロです。この細さになるとフロロでも伸びやすいので、わざわざナイロンにする必要がないんです。

ソラロームR ポリアミドプラス(東レ・モノフィラメント)

「フロロしか使っていない」というアングラーに、ナイロンライン入門としてオススメしたいのがこれ。ナイロンのメリットはそのままに、強度や感度のよさ・耐摩耗性といったフロロカーボンの長所を併せ持つ。150m巻き、4~25lbの10種類をラインナップ。

ソラロームR ビッグバス ナイロン(東レ・モノフィラメント)

「強くてフロロカーボンに負けないビッグバス対応ライン」をコンセプトに、奥村和正さんが開発を主導したロングセラー。12~30lbまでの6種類、100m巻き。

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

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