現代のバスフィッシングにおいては、大半のアングラーがフロロカーボンラインを使用しており、むしろ近年はタックルを問わず、PEラインの使用率もぐんぐん上昇している傾向にある。それではかつて主流だったナイロンラインはどうか? 根強い人気こそあるものの、その使用率は正直高くないだろう。しかしそこはバスフィッシング。状況に応じてあらゆるタックルを使い分けることで釣果をひねり出すこの釣りにおいては、適材適所でナイロンラインも活躍するはず! そこでここからは、その特性を踏まえた上で見えてくる、ナイロンラインの真価に迫りたい。今回は奥田学さんのライン理論を解説。
●文:ルアーマガジン編集部
奥田学さんのプロフィール
奥田学(おくだ・まなぶ)
琵琶湖をホームグラウンドとしてワールドレコードを希求し続けるランカーハンター。豪放なたたずまいとは裏腹に、ジャイアントベイトからスピニングを駆使したフィネスまでこなす技巧派でもある。
超低伸度ナイロンが体現する繊細なゲーム
僕のビッグベイトゲームにとって、ナイロンラインは絶対に不可欠なアイテムなんですよ。なぜかといえば、この釣りにはすごく繊細なアプローチが求められるから。
たとえばサスペンドチューンしたものをデッドスローで操作して、長めのポーズで魚を寄せたい場合。沈んでいくフロロカーボンラインでは、狙っているピンスポットにビッグベイトを留めておけなかったり、勝手に前方へ進んでしまったりする。そのわずかな差で、食う食わないがハッキリ変わるんです。
きっちり止めるところは止めて、動かしたいところでは動かしたい。そうなると低伸度で浮力のあるナイロンは唯一無二の存在です。フロロだと太い番手は硬くなるし、しなやかさも失われるから。
ただしナイロンには「伸びやすい」という特性がありますよね。重いビッグベイトやスイムベイト、ジャイアントベイトの使用まで想定すると、これはどうしても弱点になってしまう。クイックなアクションが出しづらくなり、ディスタンスを取れば取るほどフッキングにも影響が出る。
バリバスの新しいナイロンライン「BBM(ビッグベイトモンスター)」の開発に携わるにあたって、まっさきに僕がリクエストしたのは「とにかく伸びないものを」という点でした。「VLS製法」でそれが実現できたことが、今回のプロジェクトの最大の収穫だったと思います。これまでにないナイロンラインができた。
40lbの太さまでラインナップしたのもこだわりのひとつです。特に9~10in以上のジャイアントベイトには35lb以上を使いたかった。30lbだと、こまめに結び変えないと意外に切れるんですよ。
なかには「PEラインでいいんじゃないの?」という声があるかもしれません。ソルトのビッグベイトシーバスなんかはそれが常識になっている。
ただ、実際はPEのベイトキャスティングゲームはラインの扱い方にかなり気を遣います。酷いバックラッシュが起こったら全部巻きかえなきゃいけないし、予備のラインがなければそこで1日が終わってしまう。投げた瞬間にラインが噛んでしまってタックルごと水に落としてしまうとか、慣れないとトラブルが多発するんです。
その点ナイロンはしなやかで扱いやすくて、太い番手でもトラブルが少ない。「40lb」という表記から受ける印象以上にしっとりスプールにも馴染んでくれる。ビッグベイトの初心者からベテランまでオススメできる、現場での需要をカタチにした自信作ですね。
アブソルート BBM(バリバス)
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