アブガルシア『ゼノン 1000S』をエリアトラウトアングラー視点でぶった斬りインプレ!

ルアーマガジン本誌の名物企画、同一メーカーの同一用途のタックルを3つの価格帯で比較する「3Gインプレッション」が舞台をエリアトラウトに変えて登場。テスターはバスプロとして活躍しているニンジャさんとルアー専門店オーナー駒崎祐典さんの2人。今回はアブガルシアの驚異的軽量スピニングリール『ゼノン 1000S』の使用感を紹介していく。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 シーバス特集

ゼノン 1000S(アブガルシア)

異質の造形と画期的機構でエリアトラウト界の台風の目となるか!?

従来のボディカバーをボディに一体化した軽量マグネシウム合金のワンピースボディ、高弾性カーボンハンドル、低慣性モーメントを実現する新開発のC6Vローター、カーボンマトリクスドラグワッシャーの採用など、軽量、高感度化をどん欲に追及した革新的スピニングリール。インプレした1000Sは142g、2000Sでも145gの超軽量と、まさに巻くだけで水中を感じられる。

項目スペック
自重142g
ギア比5.2
巻き取り長さ65cm/ハンドル1回転
最大ドラグ力3.0kg
標準糸巻き量0.4号・90m(PE)
ボール/ローラーベアリング数10/1
価格46,500円(税別)

「POINT.1」外観デザイン

パッと見で違うと分かる

ニンジャ「唯一無二の個性派。明らかに軽さを求めたデザインですよね。国産メーカーの物に対し、突き抜けてる感がすごい。肉抜きとかカーボンハンドルとか。尖ってます。言うなれば近未来的なリールですね」

性能に基づく個性

駒崎「国産では類似がない特徴的なデザインで、単純に目を引く。『なにこれ!? 』感はありますね。カーボンハンドルやシンカーストッパーが標準だったりするんで、お得感もあると思います」

「POINT.2」回転・巻き心地

スムースで軽い

ニンジャ「すごくスムースで思いのほか軽い。引っかかることもなく、スルスル回ります。ハンドルのカッチリ感はすごいですね。トータル的な軽さがあります」

中間的ないいとこ取り

駒崎「シルキーさと巻きの軽さと、国産リールのいいとこ取りのようで、エリアトラウトアングラーは好きだと思います。がたつきも異音も少ないし、吊るしで即戦力になるんじゃないかな」

「POINT.3」ドラグ

必要十分で不安感はナシ

ニンジャ「実際にかけた感じだと、必要十分。特に劇的なネガティブさや不安感はありません。今回、そこまで大きい魚はかけてないので未知数ですが、アベレージサイズでは問題ないレベルだと思いました」

カーボンワッシャーがどうか

駒崎「ドラグワッシャーがカーボンなんですよね。メリットとしては高ドラグをかけやすいんですが、ライトラインのエリアトラウトではあまり必要はないのかも。釣ってみて気にはならなかったんですけど」

「POINT.4」糸ヨレ・キャストフィール

ストレスなく飛ぶ

ニンジャ「使用時間も短いので、糸ヨレなどに関して断言することは難しいですが、今回使った感じではネガティブな要素は全く感じませんでした。1000番でスプール系も小さいんですが、エステル0.3号もストレスなく飛んでいきます」

放出がスムース

駒崎「不安があるような感じはなかったです。キャストフィールも良好。飛んだ感はありました。巻いてみてすごい密巻きってことではないんですけど、放出がスムースでよく飛ぶ。気持ちよかったです」

「POINT.5」総合的使用感

長期的な使用で試してみたい

ニンジャ「普段は国産リールを使ってますが、『これで戦って』と言われても、全然いけそうな感じ。良い意味で期待を裏切られた感が、というと期待してなかったようですけど……(笑)。今回のような短時間ではなく長期的な使用でどうなるかは気になりますが、釣り具って自己主張でもあるので、人と同じのが嫌であればかなりイケてますよね」

安定性能に価値のある個性

駒崎「明確にダメなところがなくて、むしろ驚きがありました。どの釣り人もエリアトラウトのスピニングといえば国産メーカーしか選択肢にないので、思わぬ伏兵が現れたな、という感じですね。定価なりの性能は備わっているので、人と被りたくないのであれば手にするべき1台だと思います」

まとめ対談

古豪の意欲作。新しい選択肢となるか!?

ニンジャ「見たことはあったんですけど、触ったのは初。いやー、衝撃でした」

駒崎「エリアトラウトのスピニングリールの選択肢ってDAIWAかシマノしかなかったじゃないですか、いまでもそう思っている人がほとんどですけど、結構ヤバいぞ! ってことは正直言えますね、第3勢力として」

ニンジャ「そもそもが150g切ってるじゃないですか」

駒崎「手持ち感が軽くて巻き心地も軽くてドラグも悪くない。それでいてカーボンハンドルが標準装備。すごいですよね」

ニンジャ「不安は中長期的に使ってどうなるか。かつ、エリアトラウトにおけるガチなテストはしてないと思うので、本当にマッチするのか。ただ尖ったトーナメンターでこれをベースにいじってる人はいるんですよね。つまり可能性を感じている人達は少なからずいると」

駒崎「単純に露出が少ないからマイナーだけど、ちょっと有名な人が使ったら一気にメインストリームに出てきてもおかしくない性能なので、この企画を読んでゼノンってなんだ!? って人がお店に来て触ってすごさを知ってくれる。そういう人が増えるといいなと」

ニンジャ「色眼鏡で見てるだけですよね、実際僕も見てたし」

駒崎「でもできれば色眼鏡で見た状態で触って欲しいですよね」

ニンジャ「そうそう」

駒崎「それで『えっ!?』ってなるギャップを楽しんでもらいたい」

ニンジャ「ホント、中長期的に使い込んでみたいですね。正直ドラグはちょっと荒い感じがするので」

駒崎「でもカーボンなんだよね」

ニンジャ「そっか!」

駒崎「ただメンテもラクですよね。樹脂系のドラグワッシャーはいま注目だし。瞬間的な出はいいんですよ、メリットとしては」

ニンジャ「持って帰っていいですか?」

――貸出品なので(笑)。

駒崎「耐久性とか、使い込んでみないと分からないところは多いんですけど、今回、明らかにダメってところはなかったですよね」

――アブガルシアのスピニングの特徴はなにかあるんですか?

駒崎「これに関して言えば国産のいいとこ取り。DAIWA派シマノ派どっちを使ってる人も悪くないっていうと思いますよ。見た目は若者向けかなって感じですけど」

ニンジャ「ナウいですよね。ただエリアトラウトでナウいのが似合う釣り人はあまりいませんが(笑)」

駒崎「絶対的なキャッチーさはありますよね。5本6本これが並んでたら、『ゼノンですか!』ってなりますもん、きっと。ドラグ音も特徴的なので注目されるはず。ワンポイントだけで終わらないで、派生させてもらいたい。それくらい可能性は感じますね」

テスターの2人をご紹介

センドウ・タカシ(千藤卓)

バスプロとして活躍する傍ら、エリアトラウトにも本格的に取り組む。ニンジャの愛称で知られるマルチアングラー。

駒崎祐典(こまざき・ゆうすけ)

東京都足立区のルアー専門店「アングラーズショップマニアックス」のオーナー。

ニンジャさん使用ロッド&ルアー

ロッド

ルアー

ロッドはプロトの61L。ルアーは写真左上からハイバースト1.6g(ヴァルケイン)、ノアB2.6g(ロデオクラフト)、ミート33MR-F(ノリーズ)。

駒崎祐典さん使用ロッド&ルアー

ロッド

ルアー

ロッドはダーインスレイブ ガイアブリッツ62ML(ヴァルケイン)。ルアーはアストラル2.4g(ヴァルケイン)、RCディープクラピー(ロデオクラフト)、アッパーレブS(ディスプラウト)。

インプレに使用したライン

スーパートラウトエリア ES2 エステル0.3号

今回全てのリールに巻いたのは、バリバスの「スーパートラウトエリア ES2 エステル0.3号」。メリットとデメリットが相反するエステルラインのデメリットを解消した新コンセプトラインだ。

今回インプレで利用した釣り場

東山湖フィッシングエリア

東名御殿場インターからすぐの人気エリア。多くのトラウトが放流され、数釣りから大物まで、コンディション抜群の魚たちと遊ぶことができる。営業時間、券種、釣果情報などはWebサイトへへ。

項目情報
管理釣り場東山湖フィッシングエリア
所在地〒412-0024 静岡県御殿場市東山1077
電話番号0550-82-2161
Webサイトhttps://www.higashiyamako.com/

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