釣り糸の加工技術の進化……エリアトラウトを取り巻く環境の変化……時代とともに進化するエリアゲームのライン理論。進化と変化を繰り返すエリアトラウトのライン事情の最前線を走り抜ける、エキスパートアングラー松本幸雄さんとキャンタさんの考え方を追った!
●文:ルアーマガジン編集部
松本幸雄さんのメインライン編
松本「基本的なラインの使い分けをシンプルに分類すると、操作系の釣りにはエステルかPEライン。しっとり巻く釣りにはナイロンかフロロカーボンというのが一般的です。と、ここまでは基本ですね」
松本「大切なのはどのタイプのラインを使用するにしても、身体に馴染むまでは、銘柄と太さを固定した方がいいです。例えば、同じ銘柄のエステルラインでも0.25号、0.3号、0.35号、0.4号では、張りも硬さも驚くほど違います。ナイロンでも銘柄によって、伸び率や張り、硬さがかなり異なります。だからラインを交換するごとに、太さや銘柄を変えていたら、巻いたときのルアーの軌道が、なかなか身体に染み込みません」
松本「ちなみに、今の自分はエステルとナイロンの使用率が高いです。この他にPEが少々。かつてフロロでやっていた釣りは、自分の場合は、今はエステルになっているので、フロロはほぼ使っていません。PEはトップ、ボトム、縦釣り、イロモノ用ミノーイング、大物釣り特化で使っています」
松本幸雄さんのリーダー編
松本「自分のリーダーは、メインラインがPEの場合は、フロロ0.8号が基本です。エステルの場合は、クランクベイトのときにはフロロ0.6号、スプーンでは最近はフロロ0.4号を試しています。ですが0.4号まで細くすると、さすがにトラブルが増えます」
松本「そこで今研究中なのがナイロンリーダーです。ナイロンだとフロロほどは重くないので、スプーンアクションへの干渉も軽減されます。ヘラ鮒用のナイロンハリスで気になっている糸があるので研究中です。そのナイロンハリスは、フロロ0.4号ほどはピーキーではないですが、強さがある。マイクロスプーンではフロロリーダーの重さが、シビアにスプーンのアクションに影響を及ぼしてしまうので、リーダーの長さはかなり重要。そのあたりの話はキャンタへバトンタッチします」
松本幸雄さんのプロフィール
松本幸雄(まつもと・さちお)
ホワイトウルフ開発者、ロデオクラフトスーパーバイザー。バリバスフィールドテスター。タレックスモニター。オプトさいとうフィールドテスター。伝説的エリアロッド『ホワイトウルフ』シリーズ開発者にして、ウッサ、BFの開発者。
誰からの影響も受けていない、超個性派理論は「独創性」に富んでいる。一見「奇想天外」に思える松本理論も、実は王道を直撃しているため、のちにエリアの常識として定着することが多い。エリア業界に数多くの「常識」と「定説」を築き上げた、影響力マックスのプロアングラー。
キャンタさんのメインライン編
キャンタ「ベースラインを決めてしまうと、対応力が鈍るのでラインに関してはベースという考え方はしていません。今の自分はナイロンとエステルを使い分けています。フロロは使っていません。そして限定した条件下で、PEラインを少しだけ使っています」
キャンタ「基本的にはナイロンラインで探ることが多いです。本来はナイロンだけで釣りを成立させるのが理想だと思いますが、現代のトラウトはそこまで甘くありません。多少ズレている状態でも、食わせに行くのが、今の釣りの通常スタイルなので、そのズレをエステルの操作性で埋めているイメージです。PEを使うのは、トップとボトムの跳ね上げくらいです」
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キャンタさんのリーダー編
キャンタ「自分も今のところフロロのリーダーを使用しています。リーダーの重さによって、スプーンの動きが干渉されるのがイヤなので、リーダーの長さにはこだわっています」
キャンタ「エステル0.3号のメインラインにはフロロ0.5号のリーダーを20cmくらい付けています。自分の感覚では40cm以上のリーダーを付けると、スプーンが頭下がりになって、アクションが干渉されます。スプーンの場合はフロロ0.5号以上の太いリーダーは一切使いませんが、今のところリーダーが切れたことはありません。ちなみにPEラインで寝技系を行うときには、リーダーはフロロ0.6号にしています」
キャンタさんのプロフィール
狩野祐太(かのう・ゆうた)
新ブランド「ディープ・パラドックス」発表で、さらに注目度が集まるエキスパート。トラウトキング選手権大会ダブルマイスター。独自の理論にのっとり、スプーンにこだわったモノ作りでエリア界に革命を起こした寵児。
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『エリアトラウト ギア&マニュアル』発売情報
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日進月歩するエリアトラウト専用アイテム群。ルアー、ロッド、リールはもちろん、ラインやフックでゲーム展開が激変するシビアな世界だ。そこで先鋭化するNEWアイテムを、ルアーマガジン編集部ならではの徹底した取材と美細なビジュアルでコンテンツ化! また最新ハウツーを盛り込んだ「エリアトラウト入門」パートも充実。基礎情報も更新されまくりの必読書です!
- 発売日:2022年11月16日
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