36年間にわたる歴史のなかでメガバスという名のゆりかごに産み落とされてきた数々の名作ルアーたち。このページでは、数々のメガバスルアーから3つのテーマ「好きなルアー選ぶなら:偏愛」「メガバスを象徴するなら:真髄」「これは釣れる:卓越」に沿って私的な観点にて唯一無二のアイテムを選んでもらった。今回は佐藤信治さんのセレクトをご紹介。
●文:ルアーマガジン編集部
佐藤信治さんのプロフィール
佐藤信治(さとう・しんじ)
琵琶湖を舞台に繰り広げられる“サトシン塾”の塾長。スピニングタックルをボートに乗せることは許されず、ベイトタックルオンリーでパワーと攻めの釣りが信条だ。
JBトップ50の前身、ワールドプロシリーズでは01琵琶湖で優勝を果たしたほか入賞多数。近年はH-1グランプリへ活動の場を移し、未だ破れ得ぬ1尾3,000gの記録など大いなる見せ場を作り続けている。
愛知県江南市のプロショップ“セントラル”代表としても知られる。
【偏愛ルアー】DXフリー2.0
タックル
ロッド | Sinfini “SCENE CRANKING” 73MH(S-TITLE) |
リール | トルクステージ(ZPI) |
ライン | SF80 14lb(S-TITLE) |
ワンテンRの開発に取り組みはじめたころ、このクランクの存在を知って琵琶湖で使ってみた。当時は廃盤になりかけていたらしいですが、これがよく釣れるんですよ。それでラインナップに残ることに。DXフリーには「3.0」というサイズがあって、これとディープX300は泳ぎが似ているんですが、「2.0」だけが別物。潜行深度だけじゃなく、アクションの支点がボディーの中央付近にあって、昔のアメリカのクランクみたいにブリブリ泳ぐんです。
エサっぽい艶めかしいアクションではないんだけど、むしろこの「ルアーっぽさ」が必要なことがある。特に浅めのレンジで釣るときほど、こういう動きがデカい魚を呼んでくれる。そもそも食われ方が違いますね。同じ2mレンジでも、シャッドや弱めのクランクは口の周りに掛かることが多いけど、「DXフリー2.0」は丸呑み。バスが本気で襲ってる証拠です。
【真髄ルアー】ビジョン ワンテン
タックル
ロッド | Sinfini “SCENE ACTION” 63MTS(S-TITLE) |
リール | ライトプラッギングスペシャルカスタムリール(セントラル) |
ライン | SF80 14lb(S-TITLE) |
ワンテンが出る以前からX-80トリックダーターをよく使っていました。それまでのジャークベイトにはない、使い手の意図を超えたイレギュラーな動きが出る。これを狙って作っていたらたいしたもんだな、と思ってましたね。
2000年にワンテンが登場したとき、多くの人が「アクションが弱くてダメ」と言っていたのを覚えてます。当時はダートのキレや幅がすべてだと思われていたから。最初から評価していたのは山木一人ぐらいでしたね。常に透明度の高い芦ノ湖のシビアな魚が反応するわけです。実際に使ってみたら琵琶湖でもよく釣れる。この「弱さ」がむしろ、魚を惹きつけているんだなと思った。
伊東さんとは古くからの知り合いだけど、最近になってX-80についてそれとなく聞いてみたら、やっぱり全部狙いどおりなんだそうです。背中を高くしてボリュームを出したわけ、リップにくぼみがある理由など、全部説明してもらいました。
【卓越ルアー】ワンテンRシリーズ
タックル
ロッド | Sinfini “SCENE ACTION” 63MTS(S-TITLE) |
リール | ライトプラッギングスペシャルカスタムリール(セントラル) |
ライン | SF80 14lb(S-TITLE) |
ビジョン ワンテンは傑作なんですが、発売から20年近くが経過して、徐々に物足りない部分が出てきた。
たとえば低水温期はリトリーブやクランキン&ステイに反応する魚が多い。そのアクションだけを比べると、正直なところ、ほかのミノーに優れたものがあった。だからメガバスさんに声を掛けてもらったとき、僕は「ワンテンの新しいバージョンを作れるならやります」と答えたんです。
その結果、オリジナルゆずりのジャークはそのままに、巻いても釣れて飛距離も出る「ワンテンR」が完成しました。
開発に費やした2年弱のなかで、いちばん驚いたのはレスポンスの速さと精度ですね。湖で1日テストして、夕方に修正点を伝えたら、2日後にはもう新たなプロトが届く。あっというまに100個近くのテストモデルができあがった。伊東さんの本気度を感じました。
過去にワンテンのコピー商品がありましたよね。「ワンテンR」は、形だけマネしても絶対に同じものにはならない。どうぞパクってください、そのぐらいの自信作です。
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
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