バチ抜けシーズン最盛期と言えば春! 「バチ」とはいわゆる多毛類の総称になるが、時期によってバチの種類・シーバスの狙い方が異なるのをご存知だろうか。今回紹介するのは、いわゆる「トリックバチ」「クルクルバチ」と呼ばれる個体と、そのパターンの攻略法。5月〜6月が最盛期とされるが、そのトリッキーな動きに翻弄されないための戦略をリライト調査隊のBOSS吉田に解説していただく!
●文:BOSS吉田
実釣&解説は「リライト調査隊」! 今回もBOSS吉田が単独釣行!
reLight調査隊(りらいとちょうさたい)
オールマイティに釣りを楽しむBOSS吉田と酔っ払い釣り初心者担当カツのコンビで活動中。釣りの楽しさを伝えるべく淡水、海水問わずルアーフィッシングを中心に活動。ハゼ~GT・サメまでやろうとしている生粋の釣りバカYouTuber。
BOSS吉田
元釣具店店員であり、釣りのジャンルを問わずあらゆる釣りに打ち込むフィッシングジャンキー。最も得意な釣りはソルトのライトゲームやシーバスだが、並行してハゼクラにも力を入れており、一過言あり。2019年から続く「Hz-1GP(ハゼワングランプリ)」に連続参戦中で、毎年優勝するほどの実力者でもある。それ以外にもエサ、ルアー問わず幅広い釣りに精通!
予測不能な動きにシーバスマンが悶絶! それが「トリックバチ」
まずは「バチ抜け」について説明させていただく。
「バチ抜け」とは、ゴカイ類(多毛類)が、川底や海底の砂泥などの中から水面付近に泳いで上がって産卵行動をすること。釣りエサで使用する「ゴカイ」や「イソメ」の総称を「バチ」と呼び、産卵のためにバチが底から上がってくるために「抜ける」と表現される。一般的に大潮~中潮のタイミングの、とくに満潮からの引き潮で抜けることが多く、汽水域の河川や運河でこの現象が起こることが多い。
そして、今回のメインテーマは「トリックバチ」の攻略となるので、こちらについても説明させていただきたい。
港湾部で 5 月~6 月に多く見られる小さくて素早い動きのバチを、通称「トリックバチ」や「くるくるバチ」と呼ぶ。これらの正体は「アシナガゴカイ」。通称があまりにも有名で、正式名称を知らないアングラーも多いことだろう。素早く予測不能な動きやくるくる回転したりするので狙いが定まらず、これに悶絶した経験のあるシーバスマンも少なくないはずだ。
実はこの「トリックバチ」、他のバチとは異なり一年中抜ける可能性があり、時間帯に関係なく抜けることもあるので油断は禁物。また、港湾部の運河のイメージが強いが、河川や港、磯でも抜けているのを何度も見たことがある。
とにかく、この「トリックバチ」パターンに対応するためには、バチの大きさにルアーを合わせることが重要で、ほかのバチに比べて小さいので、ルアーボックスには小さめのルアーを忍ばせておきたい。
予測不能な「トリックバチ」が抜ける最盛期は5月頃
これまで「トリックバチ」が出てくるのは5月〜6月とされてきたが、近年の海水温上昇などの影響もあるのか、10 月中旬の大規模河川や3月〜4月の小規模河川、7月の港湾部運河など、あらゆるシーズン、あらゆる場所で抜けている印象がある。
もちろん、地域差もあるとは思うが、ポイントに着いて水面を観察した時に「うわ〜。トリックバチかよ!!」とならないような準備を常にしておく必要があるかもしれない…。とは言え、東京湾奥では基本的に最盛期は 5 月頃〜となる。
トリックバチパターンと大バチパターンの狙い方の違い
一般的なバチパターンの狙い方と言えば、水面引き波を立てながらデッドスローで流してボシュッ!とヒットする狙い方だと思う。これは、大バチパターンの王道な狙い方である。もちろんトリックバチパターンでも通用する狙い方ではあるが、素早い動きのトリックバチの場合、デッドスローではなくスローからレギュラーなスピードで巻いても反応してくれる事が多い。縦横無尽に動き回るトリックバチは引き波を立てない事も多いので、水面だけではなく水面直下も意識して狙うと釣りやすくなる。
狙うべき場所
「トリックバチ」のバチ抜けが始まると「ボシュッ!」とシーバスがバチを吸い込む捕食音と波紋が色んな場所で発生する。どこを狙っていいか分からず、波紋を直撃させても反応なく悶絶してしまうこともしばしば。
では縦横無尽に素早い動きで泳ぎ回るトリックバチをシーバスはどこで捕食しているのか?
それは潮目や地形変化による反転流、ストラクチャー(障害物)にぶつかる流れなど、流れが変化する場所で捕食している場合が多く、そこを見極めてルアーをキャストするとヒット率が上がるのだ。
波紋を狙う場合は、直撃させるのではなく少し先にルアーを着水させてシーバスに気付いてもらえるように波紋が出た所を丁寧に通せるようにキャストする。闇雲にキャストするのではなく、どこでどのタイミングでキャストするのかを意識するだけでもヒット率は向上する。
「トリックバチ」攻略に「メバルプラグ」という最強の選択肢
バチルアーというと 7cm~12cm の細身のルアーが多いと思うが、トリックバチ自体のサイズが小さいので、ルアーのサイズも小さくすると急激に反応が良くなる事がある。特に引き波系ルアーで反応がない場合にルアーをサイズダウンさせると一発でヒットする事がある。しかし、バチルアーであまり小さいルアーがない。そこで『メバルプラグを使う』という選択肢があるのだ。
メバルプラグを使う時のフックチューン
メバル用に予め装着されているフックが細軸の小さいフックの場合、ヒットした時にフックが伸びてしまう可能性がある。そこでシーバス用にフック番手を上げたり太軸に変えておくと安心だ。ただし、フックを大きくし過ぎるとフック同士が干渉して絡まってしまうので#10~#12クラスで調整するようにしたい。
フロント(前)、リア(後ろ)ともにトリプルフックでも大丈夫だが、リアフックをシングルフック(#6 か#8)2 本装着にすると、シーバスが吸い込んだ時にトリプルフックよりもフック 1 本の重さが軽い分、口の中に入りやすく 2 本装着する事で両方掛かればバレにくくフックも曲がりにくい。
「エスマジック(アクアウェーブ)」のS字はまさにトリックバチ! 近距離戦では超強い
すでに上記の画像でも見せているが、トリックバチパターンでの「最強の選択肢」であるメバルルアーこそがアクアウェーブの「エスマジック」である。
【エスマジック スペック】
- サイズ:35mm
- 重量:3g
- カラー:全22色
しかしスペックを見て頂いても分かる通り、重量3gのメバルプラグが故、飛距離が出にくいのが難点。
よってシーバスタックルで扱う際は、キャストするときにラインの垂らしを少し長めにとると投げやすくなる。
またフック番手を上げているので若干重くはなっているが、飛距離を出したい場合は鉛のオモリシールをベリー(お腹側)に張るのもよい。ティップ(穂先)が柔らかいソリッドティップのロッドでキャストすると飛距離が伸びるのでおすすめだ。
エスマジックはシンキング(沈むタイプ)ながら浮き上がりが早いので、ロッドを下げてスローで巻いても水面直下をS字を描きながら泳いでくれる。ロッドを立てればより水面を泳がすこともできるし、カウントダウンして沈めれば狙いたいレンジまで下げて狙うこともできる。巻きスピードはデッドスローからスローがベストだ。
先日の釣行した際にも、目の前にある潮目からの反転流にシーバスが寄ってきていたタイミングで、フックチューンのみの「エスマジック(アクアウェーブ)」をキャスト。
キャスト後3秒カウントダウンしてからスローに巻いてくると…ココ…ゴン! とヒット!! フックチューンをしていたのと、念のためドラグは緩めに設定しておいたのが正解だったようで、フックも曲がることなくナイスサイズをキャッチすることができた! 狙い通りの嬉しい1匹。「エスマジック」のS字を描きながら泳ぐ姿はまさに「トリックバチ」なのだ!
さらに今度は、シーバスの吸い込む波紋が目の前で発生!波紋の上流側にキャストし、ゆっくり波紋が出た所を通るようにスローに流すとボシュッ! とヒット。一気にドラグが出たが、焦らずゆっくり寄せてキャッチ!これまたナイス体高のシーバスをキャッチできた。
派手なカラーで「気付いてもらう」ことが大切!
バチ抜けの場合、派手なカラーを選ぶ事がシーバスに気付いてもらえバイトへと結びつくことができる。特にピンクやオレンジが入ったカラーは反応がよく、今回の実釣も、新色の「C マットピンクO.B」 が活躍してくれた!
また逆に、派手なカラーで反応が弱くなった場合にはクリア系をチョイスし「シルエットだけを見せる」方法で反応させる事もできる。
Sマジックはカラー展開も豊富なので状況に合わせてカラーローテーションする事が可能なのだ。
柔軟な発想で攻め方を変えると良い
「悶絶するほど釣りにくいパターン」として有名な「トリックバチ」パターン。引き波を出す王道な攻め方の他にも、状況に合わせてルアーの選択肢を増やしたり、攻め方を変えてみたりと柔軟な発想で楽しんでいただきたい。新しいテクニックの引き出しが増えれば、釣れた時に今まで以上の感動に出会えるはずだ!
【世界初!?】トリックバチの水中動画をリライトYouTubeチャンネルで公開してますのでキニナル方はチェック!
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