日米を代表するアングラーによる夢の対談。かつてのライバルにして盟友のリック・クランさんと田辺哲男さんがテネシー州・ノックスビルで約20年ぶりの再開を果たした。彼らは現在の日米のバスフィッシングをどう捉え、どのような未来を描いているのか。全てのアングラー必見の内容だ。今回は冒頭部分を先行公開。混沌の時代に、2人は何を語るのか。
●文:ルアーマガジン編集部
最前線をひた走る、ふたりの求道
37年前の出会い
──まずは、おふたりが初めて出会った時の話を聞かせてください。
リック「ノリオから口火を切ってもらっていいかな? 僕のタイムラインはおそらく間違っているから。最近じゃ、妻の誕生日さえ思い出せなくてね」
田辺「うーん、いつだったかな。最後にリックと会ったのが18年ぐらい前なのは覚えているけど。とにかくずっとずっと昔のことですよ」
リック「たしか、USオープンの会場で会ったような気がするな……」
田辺「そうだ、あのときですよ! 僕はまだ30歳にもなっていなくて、26~27歳ぐらいだった。当時、リックはすでにUSオープンを2度優勝してたよね」
リック「1980年代かな?」
田辺「そう、今から37年ぐらい前だね」
リック「7~8月ごろだね。気温が華氏110度(摂氏43℃)を超えるほど高くて、信じられないぐらい暑かったよ。日本の気候はよく知らないんだが、そんなに暑くなることもあるのかい?」
田辺「さすがにそこまで暑くなることはほとんどない。摂氏40℃以上だからね」
リック「USオープンは、ラスベガス近郊のレイク・ミードで行なわれていた特別なトーナメントだった。アラスカ州でやっているイディタロッド犬ぞりレースにたとえられるほど、過酷なんだよ。ローランド・マーチンはトーナメントの最中に熱中症で倒れて、ドクターヘリでラスベガスに運ばれたのを覚えている。あのころに僕たちは出会ったんだ」
──それをきっかけに連絡を取り合うようになったんですね。リックさんは日本にも2回、行ったことがあるとか?
リック「そう、最初はノリオに会いに行ったんだ。その次は……『いつですか?』って質問するつもりだろ? まったく覚えていないな」
田辺「最初の来日は90年代だったと思うよ」
リック「そのころだね。日本ではいろんなことに驚いた。トウキョウの狭い道も、満員電車も。いつだったのかは覚えてないのに、面白いことは忘れないものだね。見渡すかぎりビルだけで、ものすごく高い塔があった」
田辺「東京タワーかな」
リック「釣りを本業にするよりも前、僕はテキサスのヒューストンで7年間働いたことがあるんだけど、あんなに大きなものは見たことがなかった。なかなか良い経験だったよ」
お2人のプロフィール
Rick Clunn(リック・クラン)
1946年7月24日生まれ。バスマスタークラシックを4回制したレジェンドであり、今なおエリートシリーズに出場し続ける現役選手。2019年には72歳でB.A.S.S.16度目の優勝を果たした。
田辺哲男(たなべ・のりお)
1958年7月9日生まれ。80年代から日米のバスフィッシングの架け橋として尽力。1993年ケンタッキーインビテーショナルでB.A.S.S初の外国人優勝。2000年にはバスマスタークラシック6位入賞。
リック「もしも魔法のルアーがあるとしたら、僕にとってそれは『RICO』だった」
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- 高速トゥイッチと魔法のポッパー
- バスプロとしてのキャリアと変化
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