[完全理解]アジ・メバル用フロートリグの基本。種類と使い方を解説

「アジング? ジグ単を極めればカンペキでしょ!」。ん~…確かに一理ある。でも、もっと広い世界でアジングを楽しみたくないか!? アナタを新しいアジングの世界にいざなうアイテム、それがアジング用の『フロートリグ』だ。このフロートリグの基本について解説していこう。※『ルアーマガジンソルト2021年8月号』掲載記事より抜粋

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●文:ルアーマガジンソルト編集部

2024 新製品情報

Q.フロートリグの『フロート』って、何?

A.軽いリグを遠くに投げるための“飛ばしウキ”
アジングの鉄板リグと言えば、やっぱりジグ単(アジング用小型ジグヘッドを使用したリグ)。アジ特有の吸い込みバイトでも軽いから簡単に口に入りやすく、そのままフッキングへと持ち込みやすい。操作も基本的にはただ巻きなので、ビギナーにも扱いやすい『万能リグ』と言えるだろう。

大きさで言えば2~3cm大で、フットボール状のフォルムが一般的なフロート。キャロライナリグのように、リーダーの途中に装着してリグを組むというスタイルがほとんどだ。

ただ、そんなジグ単にも弱点はある。それは飛距離を出しにくいこと。1g未満のヘッド重量だと頑張ったところでせいぜい20mも飛ばず、ビギナーに至ってはキャストすら難しく感じるかもしれない。

しかし、とあるお助けアイテムを使えば極小ジグ単も遠くへブッ飛ばすことができ、これまでは常夜灯周りの近距離ポイントしか探れなかったけれども、ブレイクの向こう側や沖で発生したボイルなどの『竿抜けポイント』も攻められるようになるのだ。

遠くでしか釣れない状況が、確かにある!
ジグ単は確かに釣れる。ただし、それは近くにアジの群れがいるときに限る。沖にクルーズする群れを狙いたい、ブレイク付近で食べ応えのあるエサを捕食している大型アジを狙いたいならば、フロートリグは必要不可欠なのだ。

それが今回の主役である『フロート』で、簡単に言ってしまえばライトリグを遠投するための飛ばしウキだ。ただ、ウキと言っても『浮く』だけではなくイロイロな種類が存在するので、その辺りを詳しく見ていこう。

Q.フロートリグということは…使えるのは表層だけ?

A.フローティングはもちろんスローシンキング、シンキングとタイプは色々ある!
フロートは飛ばしウキの一種だが、アジングやメバリングなど、より繊細なアクションやテクニックが要求されるライトゲーム専用にセッティングされたものを、ひと括りにして『フロート』と呼んでいる。

ただ、フロート(Float=浮く)と表現してしまうと、「浮くということは…探れるのは表層だけ!?」と思われるかもしれない。しかし、中層をまんべんなく探れるスローシンキングや、ボトム付近に生息する大型個体にもチャレンジできるシンキングなど、そのタイプはさまざまなのだ。

比重の違う数種類のウキを使いこなすフカセ釣りの経験者なら、イメージしやすいかもしれない。 そして、メーカーのアプローチの仕方や開発アングラーのこだわりにより、リグへの装着方法にもいろいろなタイプがあるので、シチュエーションや自分のスタイルに合ったフロートを見つけることが重要だ。

フロートには、大きく分けると3つのタイプがある

この記事ではフロートを、沈下速度別で大きく3つのタイプに分けて見ていく。実際には、各社のフロートには、さらに細かく沈下速度を設定しているものもあるので、フロートリグに慣れてきたら、是非ともチャンレンジしてみて欲しい。

【フローティングタイプ】

水面に浮くので、表層レンジ攻略に最適!

『フロート=浮く』を体現した、もっともオーソドックスなタイプ。より遠くへと飛ばすために自重が重くなっても、水に対する比重が低いのでフロート自体は水面キープ。極小ジグ単ならば沖の表層を探ることができる。

ソアレ タイディ[シマノ]
タイディには、沈降速度別に6つのタイプが選べるようになっている。最も軽い1.3g、次に軽い1.5gは海面に浮くため、より浅いレンジを攻略可能となっている。また、ラインを切ることなくそのまま装着可能。フィンが付いているの操作中にクルクル回りにくいため、糸ヨレを低減。※写真は3.5gです

【スローシンキングタイプ】

任意のレンジをキープしたいならこのタイプがオススメ!

着水後、何もしなければゆっくりと沈んでいくタイプなので、任意のレンジまで沈めてからスピード調節をしながらリトリーブすると、レンジをキープしてアジの群れがいるタナから外れずに探り続けることができる。

月下美人月ノ雫II[DAIWA]
■軽量ジグヘッドを手つかずの沖のポイントまで届ける飛ばしウキ。
■飛距離に優れたティアドロップ(涙型)形状で、着水した時の音がメバルの捕食音に近い。仲間の捕食音に刺激されて活性が上がる傾向があるメバルに特に効果的。
■視認性に優れた夜光仕様。
■パイプ内蔵により糸通しが簡単。

【シンキングタイプ】

ほぼキャロライナリグに近く、ディープレンジ攻略に適している。

体積にかかわらず水に対する比重が高いので、小さなモデルでもしっかりと沈み、ボトム付近をしっかりと探ることができる。フロートリグのカテゴリーだが、バス釣りでもお馴染みのキャロライナリグに近い使い方になる。

MキャロVer.II[ティクト]
着水後、沖に向かって斜めに沈む、バックスライドフォールが特徴。バージョン2では、バックスライド時のフォール角度が選択できるようになり、より細かい戦略を展開できるようになった。

アジングエキスパートの「フロートリグ活用術」

では、アジングエキスパートの皆さんは、フロートリグをどのように活用しているのか? 自身が、実際に使用するフロートリグを元に、解説をして頂いた。

家邊克己「プランクトンのフォールが再現可能」

プランクトンが漂う姿をイミテートするために、0.4gの極小ジグヘッドを使えばSキャリーとワームが同調してスローフォールするという比重セッティング。プランクトンの群れの中にリグを可能な限り長く留めておける。

【使用フロート&タックル】

Sキャリー[サーティフォー]

家邊克己(やべ・かつみ)
コアなアングラーからは圧倒的な支持を得るライトゲームブランド・サーティーフォーの代表。現代アジングの基礎を築いたパイオニアであり、現在もその発展に尽力。

トミー敦「遠浅サーフのアジを効率良く攻略!」

遠浅のサーフで沖のブレイク沿いにアジの群れが回遊していたり、ジグ単では届かない位置でボイルが発生していたりするときにはフロートリグの出番。フロートはリーダーを移動するようにセットし、スイベルを介してハリスを装着。

【使用フロート&タックル】

Mフロート[ティクト]

トミー敦(とみー・あつし)
ライトゲームタックルメーカー・ティクトに所属するアジング&メバリングのエキスパートアングラー。本誌アジング王バトルでは、初代王者に輝いている。

丹羽善嗣「重心移動搭載で飛距離のアドバンテージが大きい」

空気抵抗の少ないボディに重心移動システム『AR-C』を搭載し、最大で80~90mの飛距離を叩き出せる。リトリーブすれば後端に配置されたリップが立ち上がり、水抵抗が生まれてゆっくり巻けるのに加え、レンジキープしやすい。

【使用フロート&タックル】

ソアレウルトラシュート[シマノ]

丹羽善嗣(にわ・よしつぐ)
シマノのライトゲームインストラクターで、アジングはもっとも得意なジャンル。ワームを使ったリグはもちろん、ハードルアーも駆使して良型アジを確実にキャッチしていく。

藤原真一郎「タイプを使い分けて全レンジを徹底攻略」

メインリーダーとは別にエダスを出して、その先にフロートを装着するのがFシステムの特徴。エクスパンダにはフローティングとダイビングの2種類があるので、表層から中層以降までレンジを刻んだ釣りには効果的なのだ。

【使用フロート&タックル】

シャローフリーク・エクスパンダ[アルカジックジャパン]

藤原真一郎(ふじわら・しんいちろう)
二代目アジング王にして、驚異的な飛距離を誇るフロートリグ『Fシステム』の考案者。シャローフリークや宵姫など、トガったタックル開発はお手のもの。

フロートリグは、ジグ単だけでは攻めきれないスポットを攻略できる、非常に威力の高いリグだということが、おわかり頂けただろうか? ここで解説した内容は、フロートリグを活用したアジングのほんの入口に過ぎない。各メーカーから、様々なタイプの個性的なフロートリグがリリースされているので、是非、試してみて欲しい。


※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。