《ブラックバスで街中お祭り騒ぎ》バスマスタークラシックを見に行こう!

バスフィッシングの本場、アメリカ。何もかも最先端を行き、「バス」という魚を取り巻く環境さえも変えてきた団体、それがB.A.S.S.。では実際にはどれくらい盛り上がっているのか? 何が行われているのか? どんなドラマがあるのだろうか? 編集部はバスマスタークラシックトーナメント会場となるテネシー州ノックスビルへと飛んだ。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 新製品情報

そもそもB.A.S.S.って?

古い街並みとモダンが融合するノックスビル

各会場がまとまったクラシック人気の開催地

最も権威のある大会であり、祭典でもある、バスマスタークラシック。今回トーナメントの舞台となるのはテネシーリバー。そして、そのほとりにある街、ノックスビルがこのお祭りの会場となる。

ノックスビルと言えば、州立最大規模であるテネシー大学の所在地で、バス釣りハプニング映像でも有名なビル・ダンスが被っているキャップは同大学のトレードマークをあしらったものだ。

そんなノックスビルは2019年にもクラシックの場として選ばれた人気の街である。その理由の一つは会場間のアクセスの良さ。ボートランプ、エキスポ会場、ウエイイン会場の3つがコンパクトにまとまっており、各会場間のシャトルバスなども用意されているため、観客は移動のストレスなくイベントを楽しむことができる。

もう一つは観光としての街並み。ノックスビルのダウンタウンには19世紀初頭の美しい街並みが残っており、当時の建物を利用した個性的なショップやレストラン、ギャラリーなどのほかに、レンガ造りの建物が並ぶマーケットスクエアと呼ばれる広場など、純粋に観光地としても楽しめる。

しかも、バスマスタークラシックが開催されるとなると、街全体がイベントを盛り上げようとお祭りムードになる。その光景はファンからしたらたまらないのである。

街中、お祭りムードに!

クラシック開催前夜にはエキスポ会場でキックオフパーティが行われ、花火やドローンショーで会場は盛り上がった。試合期間中は街中のバーでクラシックのライブ中継を他の観客と共に観戦。

渡米に必要なモノ

  • パスポート
  • ESTA申請
  • 国外運転免許証
  • 航空券の手配
  • ワクチン接種照明(3回以上)

海外旅行と聞くと、やや身構えてしまうかもしれないが、基本的には手間のかかることはそんなにない。強いて言うなら、新型コロナウイルスのワクチンを3回以上接種した証明書があると、入国出国の規制が緩和されることぐらいだろうか。

現地で見た! ちょこっとクラシックコラム

米国でのネットワークの強さが魅力!アメリカへ行くならデルタ航空がおすすめ!

渡米するにあたり、どの航空会社を利用するべきか? ルアマガ的おすすめはデルタ航空だ。デルタ航空を利用する場合、日本から直接行ける主要都市は、アトランタ、デトロイト、ロサンゼルス、ミネアポリス、シアトルの5ヶ所。東西南北のバランスが良く、そこから乗り継ぎによる国内のアクセスにも優れているため、特にバス釣りが盛んな中南米に行く場合はアトランタの利便性が非常に高い。また主要ハブ空港には日本語を話すグランドスタッフが常駐しているため、安心して利用することができるだろう。羽田空港に米国航空会社で唯一ラウンジを構えているのも大きなメリットだ。

フットレストで長旅も超快適!
今回利用した「デルタ・プレミアムセレクト」は所謂プレミアムエコノミーで、広い座席かつ深いリクライニングが可能。

ノックスビルMAP

各会場がコンパクトに!

各会場の距離が徒歩でも行ける距離感。会場間を行き来する無料のシャトルバスも用意されているし、街中なのでタクシーも捕まえやすい。昨年のクラシック開催地、レイクハートウェルの場合は各会場の移動が車で30分くらいかかったので、ノックスビルは観客側に優しい場所だ。

ノックスビル周辺 オススメスポット!

釣りも食も見どころ多し!

ノックスビルに来れば、街が大学か? というくらい大きいテネシー大学にまず圧倒される。その他にクラフトビールや人気のカフェも多く、トロフィー級のバスもいるレイクチカマウガや巻頭で木村さんの取材を行ったチェロキーレイクも近い。

テネシー大学

プリテンシャス

レイクチカマウガ

ピートス

エキスポ

来て、見て、触って、お買い物も! フィッシングショー in USA

クラシックと同時開催されているエキスポは日本でいうフィッシングショー。大手メーカーや日本のメーカー、ローカルブランドなどなど、多くのブースが並ぶ。買い物やエキスポならではのセール品も楽しみのひとつで、ロッドを何本も持って歩くお客の姿も。

エキスポ会場は業界きっての情報通、成尾拓史さんにガイドを依頼。この様子はルアマガプライムにて動画で公開されるのでお楽しみに!

経済効果30億円!? バスが歓迎される国。

アメリカはバスフィッシングが大衆文化としてしっかり根付いている。前の頁でも記した通り、B.A.S.S.の働きもそれに大きく貢献しているのは間違いない。

特にバスマスターは大手メディアFOXスポーツがテレビで生中継を行うほど人気なのだ。

ROCK THE RIVER

スタート会場はノックスビルのダウンタウンにある「ボランティアランディング」というボートランプから。テネシーリバーの象徴でもある、「ヘンリーストリートブリッジ」に圧倒される。B.A.S.S.ストアではそれをモチーフにしたグッズも展開していた。

しかも、バスマスタークラシックの開催地となる街には州内外、そして海外からも観光客が訪れ、ホテル、外食、ショッピングなどによる経済効果をもたらしてくれる。その額がクラシック期間の数日で日本円にして約30億円というから驚きである。それだけの人が動き、お金が動き、街を豊かにするのだから、街中のあちこちに「Welcome Bassmasters!」と書かれたフラッグが立つのも納得がいく。街にはバスマスターの存在を知らない人はいないし、それに集まる人間を歓迎してくれているのだ。

ボートランプは選手たちのテイクオフ(出船)を見守る観客で一杯に。

そして、この環境を作り上げているのが「バス」という魚だということ。たった数日間でこの経済効果をもたらす魚種はほかにはないだろう。アメリカは早くからその価値に気が付き、エンターテインメントとビジネスとして、成功させている。

街中の至る所にある、バスマスター歓迎のフラッグ。ダウンタウンではレプリカのトーナメントシャツを着ている人たちもたくさんいた。

B.A.S.S.バックステージツアー

選手たちが試合を行っている日中の間、ウエイイン会場となるアリーナ内をスタッフのガイドの元、見学することができる。

現地で見た! ちょこっとクラシックコラム

ジョージャッカールアーズの工房へ訪問!

フラットサイドクランク発祥の地、テネシー州。そのとある町のはずれにひっそりと工房を構えるジョージャッカールアーズへ訪問。クランクマニアなら喉から手が出るくらい欲しい名作の数々がズラリと並ぶ。

ソニーB

ロブ・コクラン

かつて、日本でアメリカンフラットサイドクランクブームの火付け役となった、フラットシャッドベイツ社のソニー・マクファーランドの愛弟子でジョージャッカールアーズのビルダー。ソニー氏から受け継いだ、代表作・ソニーBはロブの手によって今もなお作られている。

BIG BASS! BIG STAGE!! BIG DREAM!!!

最高の舞台で戦い抜いたふたりのサムライ――。

史上2人目の外国人! ガッシーが快勝‼

今年もバスマスタークラシックに新たな1ページが刻まれた。優勝はカナダ出身、ジェフ・ガスタフソン選手。2004年の大森貴洋選手に次ぐ、史上2人目となる外国人選手がクラシックを制覇したのだ。

寒波の到来からの試合期間は暖かい日が続いた今試合。多くの選手が苦戦する中、連日トップウエイトを持ち込んだガスタフソン選手。2日目終了の段階で、誰もが優勝を確信するも、3日目はまさかの失速。しかし、前日までのリードが奏功し、2本のウエイインで逃げ切るかたちとなった。

老若男女、満員のアリーナから祝福されるガスタフソン選手。そこには国籍や人種の差はなく、栄光を掴んだ新たな英雄を称えようとするすべてのバスファンの姿があった。

また、日本を代表して戦った、木村選手と伊藤選手も成績だけ見れば残念かもしれないが、この権威のある大会に日本人の選手が出場することだけでも誇りに思い、健闘を称えるべきだろう。

現地で見た! ちょこっとクラシックコラム

バスプロショップス コダック店売れ筋ルアーベスト4

ノックスビル最寄りのコダック店へ。ちょうどスプリングセール期間のため、平日でもお客さんでにぎわっていた。

春の定番クランクには王道のラパラ、そしてアメリカでも人気のメガバス、ライブシューティング用のシンキングジャークベイトが売れ筋に上がった。

DT6(ラパラ)

created by Rinker
ラパラ(Rapala)

スタンナ112+1(バークレイ)

マグドラフトフリースタイル(メガバス)

カナダ初! ジェフ・ガスタフソン優勝!!

日本とアメリカを繋ぐ、未来をつくる

釣り人のアシストをする新たな希望の芽生え――。

今回のバスマスタークラシック取材は、B.A.S.S.及びデルタ航空、テネシー州の協力あって、実現が可能となった。その協力を仰いでくれたのが「フィッシングアシスタント」という団体である。

彼らは日米のバスフィッシングを繋げるための活動をしており、若手アングラーたちがアメリカへチャレンジするための負担を少しでも軽減しようと働いている。そして、釣りによる日米の交換留学なども視野に入れており、双方がそれぞれの文化で学んだことを自国の未来に繋げようとしているのだ。

また、アメリカ人による日本への関心が高まっている昨今、行政と手を組んだレジャーによるインバウンドなど、バスフィッシングを軸に日本とアメリカの距離を縮めようと働きかけている。

ネガティブな話が多い日本のバス事情も、こうした動きによる相互の文化理解や経済による活性化が進めば、もしかしたら変わるかもしれない。

まだ彼らの活動は動き出したばかり。希望ある未来へ向かう彼らの動向に注目したい。

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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