《コイツ只者じゃないスーパー天才級バスや……》奥田学さん愛媛県新宮ダムを攻める

でかバスハンターとして世に広く知られる奥田学さん。実はその一方で、国内外を問わず、海や淡水の大物ゲームにも造詣が深い。いわば『フリースタイル』。そこで氏の釣行を深堀りすることで、新たなバスフィッシングの可能性を模索していく。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 シーバス特集

孤高のでかバスハンター四国を制す!

超濃密スキルが、悪条件を完全打破

奥田「予想通り、厳しそうやね……」

三寒四温の春。その三寒目に当たる日が今回の釣行初日。結果的には五寒へと続く最中、諸条件を加味して向かった愛媛・新宮ダム。バックウォーターを眼前に、奥田学さんはこう語り始めたのだった。

奥田「最高気温10度……下がり過ぎでしょ。ちょっと前まで20度越えてたのに。しかも、今日から雨。余計に釣りづらくなるやろね」

最上流に差す魚がいないどころか、小魚さえ皆無の生命観ゼロ状態。季節の進行としては、産卵後で回復し始めたバスが果敢にベイトを追ってもいい頃ではあるが……想定外の現実がそこにあった。

奥田「経験値の少ないフィールド、かつ日程も制限されている中で、ひとつひとつじっくりと探っていく時間はない」

気象情報を頼りに選んだのは四国山間部のリザーバー

釣行当日は西日本、特に紀伊半島で大雨の気象情報。「少しでも雨を避けるべく四国へ。濁流となりやすい河川ではなく、リザーバーやなと」選んだのは生涯2回目となる新宮ダム(愛媛県)。入漁料は1日1,500円。とはいえ、想定外の大雨が降り続いた……。

次の釣り場として選んだのはやや下流側のシャローフラット。効率重視でまずはアーマジョイント190SFで広く探り、魚のコンディションを確認する戦略だ。

するとファーストブレイク周辺で食い上げバイト。その刹那、複数尾の姿を確認した。

奥田「この急激な気温変化で元気のないバイトやったね。でも、魚は季節的にいるべき場所にいることがわかった」

当釣行で仕留めた最初の1尾

アーマジョイントに反応した個体をフォローのフィネスで確実に仕留めた。ロッド1本を手に、もう1本を腰に。2タックル体制だからこそ、即座の対応が可能だった。

すかさずフォローで投入したコブシのジグヘッドリグが奏功。だが、しかし、その後が続かない。

奥田「彼らはただ者じゃない……。ルアーを投げた瞬間に見切られる。気付かれないようにアプローチしても、今度はラインを見て人間を察してしまう……。スーパー天才級や……」

移動した先は、普段から攻め続けられているであろう場所だった。ディープ隣接のシャローフラット、フィーディング場として理想の地形には50cm前後のスクールが見えた。だが、人間からも見やすい分、魚からも察知されやすいのは必然だった。

奥田「今をモノにしんかったら、ほかはもうない」

何かを感じた奥田さんは、バンタム1711MH+-SB/2にセットしていたクローラーベイトを高比重ノーシンカーのマンバへスイッチ。2.4gのネイルシンカーを挿入して、ラインをよりボトムへ密着させたドッグウォークを開始。

そして、遂にそのときが来た!

フィーディングタイムを捉えロッド汎用性で制した1尾

「群れの中では小さい方ほうが食ってしまったけど、まずまずのサイズやね」実測47cm。この1尾の後ろにいた魚たちは目測で「優に50アップだった」と言う。夕マズメで時合のタイミングで集結したのか、この1尾を仕留めた直後に魚の気配は消えてしまった。

「サーチ&バイト」希薄な土地勘を覆す読みとワザ

季節が逆戻りする冷雨……サーチ&バイトで活路を!

奥田「昨日47を釣った場所に1番可能性を感じている。あのタイミングが時合だったとしても、地形の条件は整っているだけにチャンスはあるはずやと思う」

2日目がスタート。こう道中で語った奥田さんだが、現場に着くと期待を裏切られたことに気付く。

奥田「シャッドキルウェザーや……。夜中に降り続いた冷たい雨でシャローは壊滅やね……」

生命観ゼロと見るや、大きく進路を変更。前日は上~中流を見て回ったが、この日は「より天候変化の影響を受けにくい」中~下流へとエリアのシフトを決断した。

地形の条件としては前日と同様に、ディープ隣接のシャローフラット。パターンフィッシングと言って良い。季節の進行がより早いエリアはさらなる数が見込めると踏んだのだった。この読みは、誌面をご覧いただいている通り、見事に奏功したことは言うまでもないだろう。

奥田「サーチ&バイト。ビッグベイトで魚を見付け、獲り切れない個体はフィネスでフォロー」

冠水ブッシュカバー周りで50cmに肉薄する40cm台後半を3連発。実に見事な展開。

ビッグベイトでサーチ、フォネスフォローで3連打!

見知らぬ場所を制すべく奥田さんが提唱する『サーチ&バイト』。ハナからフィネスではなく、まず強い力のルアーで魚を探し、獲り切れない魚はフィネスでフォロー。「シャロー勝負」未知の場所は地形を調べるより、答えが早い。今回のフィネスはカニ型のワームだ。

『毛ガニ』ラバーチューンでよりスロー&複雑波動でタフ制覇

ジグヘッドリグで使用したのはコブシ。ボトムで立つカニの姿を模した立体成型ワームが活躍。「毛ガニにすると、よりスローに動き、より複雑な波動を生み出せる」要チェック。

ニードルをボディに刺し、ラバーを挟んで抜けばすぐ毛ガニ仕様に。「腹から背中へ4カ所、横方向に2カ所」が奥田流チューン。

最後に奥田さんから〆の言葉。

奥田「午後には大雨で釣りは続行不可能な状態に。ダムは増水や足場の悪化という危険性もあるので、早めの避難を」

残った時間はご当地グルメを存分に楽しみ、帰路へと向かった。

奥田学さん使用タックル

カバー・高い足場・遠投を確実にこなすロングロッド

上のタックル<コブシほか用>

項目タックル
ロッドバンタム274M+
リールステラC3000XG+夢屋ハンドルノブEVAパワーラウンド型
ライン/リーダーピットブルG5 1号/フロロカーボン16lb
※0.8号/10lb、0.6号/6lbの替えスプールも用意。

下のタックル<マンバ、ビッグベイト他用>

項目タックル
ロッドバンタム1711MH+-SB/2
リールバンタムXG RIGHT+夢屋ウルトラストロングハンドル48mm
ラインアブソルートAAA20lb(バリバス)
※指定外は全てシマノ製品。

『道の駅・霧の森』でご当地グルメを堪能

名産品・新宮茶を使った料理やスイーツなどを体験できる道の駅で雨宿り。「香りとコシを楽しめる」極上粉茶使用の茶そば、「ずっと気になっていた」という霧の森大福につい笑みがこぼれる奥田さん。業界屈指のグルメを頷かせた。

帰路の道中、「行きつけ」という王王軒(読み わんわんけん)へ。「おそらく1番濃厚の個性派。自分の徳島らーめんランキングNo.1!」肉小にネギとメンマをトッピング、「麺固め」コールが奥田スタイルだ。

奥田学さんのプロフィール

奥田学(おくだ・まなぶ)

かつて琵琶湖北湖きってのビッグバスガイドとして名を馳せ、今なお日々のフィールドワークを欠かさないビッグバスハンター。

直立不動かつ強靭メンタル、誰が呼んだか愛称は「ロボ奥田」。艇からの釣りは言うに及ばず、陸からでも類稀なる才能を発揮。2010陸王の栄冠を獲得した際に右腕となったファイナルディメンション274Mは「陸王スティック」として知られ、代替わりしながらも全国で愛され続ける名竿だ。

スイムベイト&ジャイアントベイトを主軸とするシグナル主宰。


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