今季2023年、JB最高峰プロシリーズ・トップ50へと昇格した安江勇斗選手。JBプロとして年間を通じてのフル参戦は今年で4年目。キャリアはまだ浅いが、内に秘めた未知数の潜在能力を存分に発揮する時をこの眼で確かめたい。ルーキーイヤーの全5戦に完全密着した模様をお届けすることにしよう。
●文:ルアーマガジン編集部
安江勇斗さんのプロフィール
安江勇斗(やすえ・ゆうと)
1992年7月24日生まれ(30歳)、愛知県出身・茨城県在住。スポンサー デプス、リューギ、ワールドタックルハウス、バスブリゲードジャパン、東レ。2023トップ50ゼッケンNo.34。
安江勇斗・JBプロ戦主な戦績
JBプロ戦は過去に漁師生活の合間を縫って参戦したJB霞ヶ浦を経て、年間を通じてのフル参戦は今季で通算4年目。経験はまだ浅いが、ここぞという場面で確実に見せ場を作るデプスのDNAを内に秘めている。
年数 | 獲得順位 |
---|---|
2022年 | マスターズ年間16位、第1戦霞ヶ浦12位・第2戦河口湖26位 |
2021年 | マスターズ年間45位、第2戦霞ヶ浦第3位・第4戦野尻湖6位 |
2017年 | JB霞ヶ浦年間14位 |
全てを注ぎ込み、ついに立ったスタートライン
亡き友に誓った、悲願のバスプロ宣言
安江「アイツと約束したんですよ。『絶対にバスプロになってやる』って」
高校に入学して間もない日のこと、共に地元のフィールドで釣りを楽しんでいた友人が不慮の事故で急逝。安江勇斗少年は部屋に閉じこもり、悶々と塞ぎ込む日々が続いたと振り返る。
安江「何もやる気が起きなかった……。でも、アイツの想いは無駄にできないなって。俺が頑張ろうって」
一時は暗闇の中を彷徨い、自暴自棄にもなり、自身の存在意義さえも失いつつあったという。当時は「陰キャ」になりつつあった自身だがある日、外に目を向け、釣り場はもちろんイベントにも足を運ぶようになっていった。
その後、ふとしたきっかけから知り合ったのが、同じ県内に住む同学年の加木屋守さん。バス釣りを通じて10代を共に過ごし、いつしか夢を語り合う仲にもなった。
安江「今じゃ、だいぶ先越されちゃいましたけどね、ハハハ。オレはまだまだこれからです」
かつて共に遠征した霞ヶ浦の魅力に惹かれて定住。およそ7年の漁師生活を経て、一昨年よりJBマスターズにフル参戦。2年目となる昨年はついに最高峰トップ50への昇格権利を掴み、今ここに立つ。
安江「自分にはまだ力が足りない。弱音じゃないです。そう思っているからこそ頑張れる。努力でねじ曲げてやるぞって」
安江勇斗のトップ50ルーキーイヤーが今、始まる。
計約20泊、馴染みの宿で試合直前の準備
「緊張はもう、ない」過酷な漁師生活で鍛え上げられたフィジカル、そして強靭なメンタル。本誌陸王モバイルへの参戦もさらなる底力の礎にもなった。あとは結果を見せるだけだ。
トップ50七色ダムは60馬力制限戦
「惨敗」安江の挑戦はまだ始まったばかり
「同じミスはもう2度と繰り返さない!」
安江勇斗の挑戦、第1回目。結果から言えば「惨敗」だった。「言い訳はしたくない」とは言うものの、敢えて予選を振り返る。
初日、最初のスポットで1投目にバイトを得たのはワカサギベイト(デプス)だった。流れや風で押し流された落ち葉が溜まるエリアに活路を見出し、立ち木やレイダウンの周りにシュート。着水させ放置するだけで、プリスポーンの魚をコールアップすることを彼は知っていた。
だが、しかし……甘噛みが続く。3投連続でワカサギベイトが空を切る。その後も行く場所行く場所でバイトを得るも、ランディングへと至ることがない。
安江「ようやく1本獲れたのは、ちょっと動かした時だった。放置ルアーだけど、あの日は程よく動かした方がより深いバイトを得ることがわかっていたのに……」
水面に出たのは計13回。うち獲ったのは1本のみ。豪雨の中ですり減っていくメンタルを研ぎ澄ますも、あと3本をフォローで獲るのが精一杯だった。仮にそのミスを半分でも獲れていたら、2日目の展開はまた変わっていただろう。しかし、試合にタラレバは禁物だ。
計13バイト1キャッチ。初日に暗雲が立ち込める
安江「表彰台の選手を見れば、春が確実に進んでいたことは明らか。その日その場の変化に対応できなかったのは、自分の経験不足。いや実力不足。このミスはもう絶対に繰り返さない。これからの俺を見ていてください!」
安江勇斗は誓いを胸に、次戦の舞台へと向かう。
今季のトップ50の駆動力は、後半3戦はバスボート戦だが、開幕戦は60馬力制限、第2戦はエレキ戦。つまり次戦は狭小なボートかつ低推進力での戦いとなる。
エレキ戦となれば通常は別艇からの取材となるが、彼は敢えてハンディを負うことを望んだ。記者の体重は70kg、機材でプラス10kgの計80kgはエレキ艇にどう影響を与えるのか、前例は少ないためその実は定かではない。
安江「試合で重要なのはそこじゃないと思うんです。思う存分に自分の釣りで戦えるかどうか、そこが大切だと思う」
次で最高峰2戦目となるルーキー。安江勇斗は挑戦し続ける。
自分にはまだ力が足りない。弱音を吐くわけじゃない。努力でねじ伏せればいいだけ!
やや沖の立木に群がる魚影を探してのライブシューティング。より細く長いワームの動きに着目して、各サイズのローテで計4尾。「精度が足りなかった。実力不足です」無念。
2023JB トップ50 試合結果
ワカサギベイト(デプス)
使用タックル
[MMZでか用]
項目 | タックル |
---|---|
ロッド | ゲインエレメントGE-610MRムービングエレメント(デプス) |
リール | タトゥーラSV TW7.3L(DAIWA) |
ライン | ソラローム ビッグバスフロロ16lb(東レ) |
[ワカサギベイト用]
項目 | タックル |
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ロッド | サイドワインダーHGCS-65MLRレーザーウィッパー(デプス) |
リール | タトゥーラLT2000S-XH(DAIWA) |
ライン/リーダー | ソルトライン アジングPE0.4号/トヨフロン スーパーL・EXハイパー1.7号(共に東レ) |
[ネコリグ用]
項目 | タックル |
---|---|
ロッド | ゲインエレメントGES-66MLSシェイキングエレメント(デプス) |
リール | タトゥーラLT2000S-XH(DAIWA) |
ライン | エクスレッド5lb(東レ) |
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
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