アブガルシアのフラッグシップリール『ZENON(ゼノン)』。先行発売されたスピニング同様に、そのコンパクトさと軽さが圧倒的だと話題を呼んだが、実際に最軽量モデルのMG7は自重135g! 最重量モデルのビーストでさえ195gという、もはやこれまでの常識が通用しない世界となってしまっている。そこで、アメリカのB.A.S.S.トーナメントのエリートシリーズに参戦しリールを酷使しまくっている木村建太プロに、ZENONベイトリールの耐久性を含めて、アレやコレやを根掘り葉掘り語っていただいた。
●文:ルアマガプラス編集部
世界で闘うエリート琵琶湖野郎!
木村建太(きむら・けんた)
ビッグベイト、フロッグ、パンチングなどストロング系の釣りを得意とする超パワフルアングラー。現在はアメリカに拠点を移しバスマスター・エリートに参戦。昨年は(2022年)ノーザンオープンのジェームズリバー戦で優勝し、2023年度のバスマスタークラシックにも出場した。
それまでメインで使用していたレボからZENONに替えたとき、その第一印象は「クニャっとしてない」だったという。
木村「ZENONを導入するまでは全然気付かなかったんですが、キャストしたりバスとファイトしたりしてリールに負荷が掛かるときでも、ZENONは一貫してカチッとした剛性感を感じることができる。ところが樹脂ボディメインのレボに持ち替えると、わずかながらも樹脂ならではのタワミみたいな“クニャっ”とした感じがあるんです。やっぱりメタル製ボディになったことで、エリートシリーズのようにタックルを酷使する状況が多いトーナメントでは、使っていて安心感が全然違うと思います」
さらに細かい話として、剛性感を感じる理由を開発担当者から指摘されたという。
木村「ZENONではさらなるロープロファイル化の追求により、レベルワインドのライン放出口の高さがレボよりも1mmちょっと低くなっているようなんです。ロープロファイル化を促進することでよりコンパクトに握れるようになるのは当然ですが、実はもうひとつ大きな効果がある。ベイトタックルというのはロッドの上側にラインが通っているので、特にファイトの際にロッドに負荷が掛かるとき、ラインはロッドを中心にして右側か左側かのどちらかに逃げようとする力が発生するそうなんです。これはラインとロッドの距離が離れていればいるほど、その力は大きくなってバスとのファイトを邪魔しようとする」
木村「ところがレベルワインドのライン放出口が低くなる=ラインとロッドの距離が詰まることで、左右にネジレるような力は抑えられるので、これがクニャっとした感じが消えた原因だろうとのことでした。僕は機械に関しては使うだけで構造の知識などは素人なので『へ~』という感じですが、いずれにしても軽量&コンパクトでも剛性感は非常に高いですね」
また、ゼノンシリーズ3機種リリースされているが、木村さんがメインに使用するのが「ゼノンビースト」。ビーストの“小さくなった”スプール径32mmだが、実はキムケンさんのお気に入りだという。
木村「スプール径32mmは第3~第4世代のレボLTXなどに採用されていた、要はベイトフィネス用リールのスプール径で、ビーストとは真逆の存在ですよね。イメージ的にビーストならば直径がもっと大きくなって、太いラインをたくさん巻いて…という感じですが、僕はこの32mmがベストだと思う。というのも、アメリカのトーナメントでさまざまなフィールドを転戦するのはもちろん、日本の琵琶湖から小規模河川という大場所~小場所というあらゆる状況下での使用を考えたら、スプール径32mmがもっともバランスが取れているから」
木村「ラインキャパシティに関してもビーストは深溝だから、僕がフリップやスキップ、もちろんキャストでも使う16lbで100m、20lbで75mという十分な長さを巻くことができます。しかも、33mmや34mmなどの大径スプールと比較するとキャスト時の初速も速いので、キャストも決まりやすい。おそらく僕の釣りの8割は、このZENONビーストでカバーできると思います」
そして、もう1台がMG7。驚異の自重135gを達成したバーサタイルモデルだ。
木村「無茶苦茶軽い。ちょっと大げさな言い方かも知れませんが、リールを装着しているのにもかかわらず、ロッド単品だけを持っているような感覚に陥るくらい軽いです。しかもパーミングカップが異常なほどに小さいので、手のひらにスッポリと収まってしまう。その理由が30mmのスプール径なんですが、最初は正直なところラインキャパシティの心配はありました」
木村「ただ、これもビースト同様深溝なので、僕がジャークベイトで使っている12lbなら100m、14lbでも85mと、十分な量が巻けます。また、ビーストの32mmよりもさらに小径なので、キャストでの初速の立ち上がりがビースト以上に速く、ショートストロークの軽い力だけでルアーが想像以上に飛んでくれるんです」
小さなパーミングカップと反比例するように大きいのが、ギアボックス側だ。
木村「大口径&高剛性なブラスギアが内包されているので、コンパクトな見た目からは想像できないほどパワフルです。PE3~4号を巻いてカバー周りでの無茶なゲームでも、ゴリ巻きしてバスを引っ張り出すことができます。そして、そんなゴリ巻きのときに重宝しているのが、オプションパーツの『アブワークスDFLノブ』です」
木村「思いっ切り力を掛けて巻くときは、ノブをつまむよりも人差し指&中指を引っ掛けてウィンチのように巻いた方がやりやすい。そんなときは丸断面で長さのあるコイツの方が僕は使いやすい。僕はコルク仕様を好んで使いますが、EVA仕様もラインナップされています」
以上、キムケンさんが使うZENONビースト&MG7…アレ? もう1台の“LTX”は?
木村「僕は日本的なベイトフィネスはやらないので(笑)。どちらかというとMG7を使って、アメリカンベイトフィネスのようなゲームをやっています。今ならZENONビースト&MG7の2台があれば、僕のスタイルなら8~9割がカバーできると思います」
木村「そのくらい溺愛しているZENONなので、皆さんもチャンスがあったらぜひ触ってみてください。コンパクトさと軽さ、そしてそのパワフルさに驚愕するはずです!」
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