正式発表直後の月下美人ニューアイテムを早速アジング実戦投入!最新タックルの進化がヤバい!

DAIWAの月下美人担当のフィールドテスター、渡邉長士さんの連載「今日もいいチョーシ」。今回は、公開されたばかりのNEWアイテムを使用して、秋田へ遠征釣行! その結果やいかに…!?

●文:渡邉長士

2024 新製品情報

マルチに活躍するライトゲームエキスパート

渡邉 長士(わたなべ・たけし)

千葉県房総半島外房エリアの出身・在住で、幼少期から海釣りに親しむ。10代でルアーによるアジ釣りを始めた房総アジングのパイオニアだ。旬の獲物を追ってサオを振るマルチアングラーでもあり、近年はサーフアジングやオオニベにも傾倒する。DAIWAフィールドテスター。

今回も引き続き、東北のアジング事情をレポート

ルアマガ+をご覧になっている皆さま、こんにちは。渡邉長士(わたなべたけし)です。2023年の夏は災害級の暑さが続いていますが、もう少しすると秋がやってきます。朝晩が少しひんやりする頃は絶好の釣りシーズン。気候も良く様々な魚種が狙える時期で、アジやメバルなどのライトゲームも最盛期を迎えます。

そんな秋に向けてライトソルトゲームブランドの「月下美人」は様々なアイテムをリリースします。ということは、夏にはすでに発売前の製品やサンプルが上がってきているタイミング。そこで今回は出来立てホヤホヤの新製品たちを使ったデイアジングを楽しんできたのでレポートしたいと思います。

向かったのは東北の秋田県。前回の当連載でも東北アジングをレポートしましたが、デイアジングをするには魚影の濃い東北の日本海側のエリアが今の時期にはピッタリです。釣り番組の「The Fishing」のロケの裏側も書いている前回の記事をまだ読んでいない方はぜひチェックしてみて下さい。

1泊2日の強行スケジュールで実釣!

さて、今回の秋田アジングも実はロケだったんです。新製品のPR動画ロケですが、撮影は7月後半で1泊2日の2日間というタイトなスケジュール。もちろん移動を含めての日程なので、実際は秋田に滞在できるのは24時間ほど。釣りができる時間はさらに短くなります。

そこで私1人でロケ前日に現地へ飛び、下見をすることにしました。魚影の濃い秋田とはいえ、さすがにぶっつけ本番はリスクがありますからね。お昼前に秋田空港へ到着しレンタカーを手配してまずは秋田港からチェック。

道の駅とセリオンタワーの目の前にある岸壁からアジが狙え、ファミリーフィッシングにも人気のポイントなのですが、この日は濁りが強くサビキ釣りでもアジは釣れていません。少し前に秋田は豪雨災害があり、その影響が海にも残っているようです。そこでもう少し濁りの影響が少ない場所へ小移動して竿を出してみることにしました。

月下美人の新アイテムを早速投入!

タックルですが、早速ロッドとリールが新アイテムになります。まずロッドですが、月下美人 AIRシリーズがリニューアルし、アジング用5アイテム、メバリング用5アイテムの全10機種がリリースされます。

全体のコンセプトとしては、細く・軽量で・シャープに操作できるハイレスポンスロッドになったこと。ルアーの存在感が増すような高い感度と、ルアーまで即座にアクションが伝わるような高い応答性の超攻撃的ロッドで、前モデルと同じような番手で比較すると約15%軽量化してます。

ガイドは当然AGS、グリップは手と一体化するようなフィーリングのゼロシートのため、前モデルよりも操作性が向上し、アタリを感じた瞬間に体が思わず反応するようなスピードゲームが楽しめます。

この23月下美人AIRの中からまず選んだロッドは「月下美人 AIR A 53L-S」。このロッドでまず目を引くのはリアグリップレスのデザイン。今回のシリーズは感度と操作性に直結する軽さを追求し、できる限り軽量化を目指していたためリアグリップを無くしました。そうすることで重量が手元に集中し、シェイクなどの動作が軽快になります。また、ナットをダウンロックにし、ナットを極限まで小型化することで軽量化とブランクタッチもしやすくなってます。

実はプロトではアジング用の全ての機種がリアグリップレスでしたが、長めのレングスでは持ち重り感が増してしまい、キャストもしにくく、軽くなるメリットよりもデメリットが大きくなるため採用しませんでした。5ft台のモデルであれば軽量化のメリットの方が大きくなったため、今回リアグリップレス設計を採用しました。

リールも、ニューモデルの月下美人を使用!格段に向上した性能を実感!

合わせるリールはライトソルト専用設計のスピニングリール「月下美人」。このリールの大きな特徴はエアドライブデザインが採用されたこと。エアドライブデザインとは、意のままにルアーを操作することを追求した次世代スピニングリールの設計思想で、最大4つのテクノロジーで構成されています。

巻き出しが軽く、ハイレスポンスな回転を生み出すエアドライブローターの搭載を必要条件として、軽量でトラブルレスなエアドライブベール、不要な肉を限界まで削ぎ落して軽量化を突き詰めた薄肉設計のエアドライブスプールが月下美人には採用されています。

と、エアドライブデザインをカタログ的な説明をしてしまいましたが、釣り人的に説明すると、これが採用されるか否かで全然違います。まず、ローターが軽くなるため慣性が低く、巻き出しが軽くなりピタッと止まります。そして実釣で最も重要なのがリトリーブ中も巻きが軽くなること。巻きが軽いとアタリや潮の流れなどのわずかな変化がハンドルの重さの違いとなって浮かび上がってきます。

正直言って、この手の微妙な変化だと釣り入門者には分からないかもしれませんが、経験を重ねたアングラーならこの“違い”を感知できるはずです。この感覚的な変化は、従来のローターではなかなか感知しにくい部分で、分かる人にとっては、実は重要な変化なんです。

そしてボディはZAION Vのモノコックボディ。ZAION Vとは、カーボンハイブリッド樹脂で、金属を凌駕する軽量性と金属に匹敵するほどの強度を持つ素材。そのMAXスペックともいえるZAIONのエッセンスを受け継いでいるのがZAION Vです。

そしてモノコックボディとはボディカバーを廃し、ボディに直接高精度のプレートをねじ込むことで固定した強靭・耐久テクノロジー。これによりギアの支持精度、剛性、気密性も向上し、従来ボディカバーを止めるネジに取られていたスペースが無くなることでドライブギアのサイズを極限まで拡大することにもなりました。

と、またもカタログ的な説明でしたが、一言でいえば“強い”ということです。従来のボディカバー方式だと樹脂ボディでは高負荷がかかると歪んでしまい、パワーのロス、ギアの摩耗、防水性の低下などがありましたが、モノコックボディではボディが歪むことはないため、シーバスやクロダイがヒットした時などの高負荷でも軽い巻き取りが可能で耐久性もアップしています。

そして、ライトソルトゲームに特化したスペックがATD TYPE-Lのドラグと、ラインローラー部の2BB(ボールベアリング)化。ラインローラーがスムーズに回転することで糸ヨレを軽減し、ドラグの滑りも妨げません。ちなみに、ベアリングは錆びにくいCRBBになっています。

ラインナップはLT1000S、LT2000S、LT2000S-Hの3アイテムで自重は全て165g。軽くて強いリールなんです。その中でも今回はLT2000S-Hのハイギアモデルを使います。

明日の本番のための、プラクティス実釣開始!

まずは1gのジグ単からスタート。ソフトルアーにも新製品がありますが、明日の撮影もあるため、ここでは温存しアジングビームをセット。

水深4mほどのポイントで中層をスイミング気味に攻めると早速ヒット。上がってきたのは15cmほどの小型のアジ。小さいとはいえ真昼間に普通に釣れるのはさすが秋田。

その後は連発! といきたいところでしたが、ポツポツと同サイズがヒットする微妙な感じ。やはりニゴりが影響しているのでしょう。

そこで、一気に北上し男鹿半島へ向かい、半島付け根にあるポイントをチェック。この場所は、かつて初めて秋田でアジングをした時に衝撃を受けたポイントで、そのときには日中にも関わらず、9gのメタルジグで連発した実績がある場所。

そんな期待大のポイントでしたが、このタイミングでは群れに当たらず足元で豆アジがポツポツとヒットする程度。この程度では撮影場所とするのは微妙。ということで、また一気に北上して青森との県境にある漁港へ移動。

以前来たときには、ここでも日中に連発したため期待していましたが、夕マヅメでやっと豆アジが数尾釣れるだけという貧果。これはなんだか嫌な予感がします…。

いよいよ実釣本番!意外な結果に衝撃を受けるスタッフ一同…!

撮影当日の朝はスタッフが到着する11:20まで秋田県の南側をチェック。暗いうちから由利本荘市にある2つの漁港をチェックするも結果は豆アジがポツポツ程度と状況は変わらず、アジの群れを見つけられないままスタッフと合流しました。

とりあえず船川のポイントからスタート。ここは足場が高いため横風があると釣りづらいのですが、そんな時に役に立つのが新ルアーの「ブレーキンビーム」。

コイツのコンセプトはなんといっても強い「ブレーキ力」。つまり潮噛みを良くして操作感をアップさせ、潮流や波などのわずかな流れでもリグが「揺らぐ」ため、潮流に流されるプランクトンを捕食している時に有効です。

そのブレーキ力を生み出すのが頭から出る特徴的なアームとボディのリブ。左右に広がるアームは一見するとアジが吸い込みにくく思うかもしれませんが、吸い込み時には前方に簡単に折れ曲がるため問題ありません。もっと太いボディも吸い込み時には折れ曲がるため、この程度はまったく問題ないんです。

サイズは1.3inと小さいため、まさにプランクトンパターンにピッタリで、ブレーキ力がジグヘッドをセットした状態で浮遊感を出せるワケです。

さて、話を当日へ戻すと、飛距離を出すためにブレーキンビームに2gのジグヘッドで攻めると、前日のプラと同様に豆アジがポツポツとヒット。その後は、ロッドを月下美人 AIR A 711M-Tに替え、キャロで遠投するも結果は変わらず。そこでもう少し先にある大きめの漁港へ移動することにしました。

ここはプラをしていなかったのですが、漁港に到着すると港内の水面が何やらザワザワ。見ると7cmほどの大量のサヨリが25cmほどのサバに襲われています。このサイズのベイトならアジも捕食しますし、生命感もありありなので期待できそう!

となれば、ここで使うのはもう1つの新ルアー「ピンビーム」です。コイツは2.6inながら非常にスリムで、ボディの半分以上を1.3mmの極細テールが占めています。この極細テールはシェイキングすると波打つようにウネウネと動き、ただ巻きでは微振動しかしないためメリハリのあるアクションが出せます。

大逆転の釣果で無事ミッションクリア!

当然吸い込みも抜群で、小魚をベイトにしている時には反則級の釣れっぷりになります。細いソフトルアーにありがちなフックの刺しにくさもボディ部は最大3.7mmあるため簡単に刺せ、ある程度硬い素材を使っているためズレにくいです。

まずはボイル周辺を1gのジグ単で攻めると早速サバがヒット。次にサバを避けるために堤防際に落とし、ボトムの少し上でカーブフォールさせるとコツンとアジっぽいバイト。サイズこそ15cmに満たない小型ですが、このバイトの出かたは良い意味で怪しい。

その予感は見事に的中。アジの姿は見えないものの、堤防際のボトム周辺には群れがいるようで、1キャスト1ヒットの入れ喰い状態がスタート! シェイクからのポーズを繰り返し、やや横引き気味にスライドさせるとすぐにバイトが出て、たまに20cmアップも混ざります。夕マヅメまで連発劇は続き、心配だった動画の撮影も無事にミッションクリアしました。

翌朝は隣の漁港をチェックすると、こちらもアジが大量。残りの撮影も済まし、あとはスタッフ全員で早掛け対決をして遊べるほどの釣れっぷり。

ちなみに、参加メンバーは私を入れて4人で、早掛け対決は1対1の総当たりで戦いましたが、優勝はロッド担当のグローブライド社員で3勝0敗。自分は1勝2敗でした(笑)。

豪雨の後ということで全体的にポテンシャルを発揮できなかった秋田でしたが、プラでダメなエリアを捨て、流入河川の少ない男鹿半島に狙いを絞ったのが功を奏して動画ロケも無事に成功しました。

これから秋にかけては水温も徐々に下がり始め、多くの地域でアジのハイシーズンを迎えます。今回使った新製品は8~10月発売なので、ぜひNewアイテムで秋のアジングを楽しんでみて下さい!