《豆知識》話題の「黄金アジ」と「黒アジ」は何が違う? 意外と役立つ美味しい『マアジ』の見分け方

先日、ネットニュースを見ていると、富津の『黄金アジ』の話題が。ただ、その黄金アジというのは俗称で、いわゆる釣り人界隈で認知されているマアジの金アジ型なのですが、その定義がちょっと曖昧な感じなので、アジマニアの我々釣り人が、もうすこしちゃんと、その見分け方についてお伝えしようかと思った次第です。ではいってみましょう。

2024 シーバス特集

●文:ルアマガプラス編集部

そもそもですが、どちらもマアジです!

金アジ、黄金アジ、キアジ、ヒラアジ。これが俗にいう美味しいと言われるマアジの俗称。逆に一般的なアジというのは黒アジと呼ばれています。先に、正解?となる典型的な写真を掲載しておきます。

はい。こちらはいわゆる金アジ、黄金アジ、キアジ、ヒラアジと呼んでいいであろう個体です。黄色めで、幅広なのが特徴。群れに当たると立て続けにこのタイプが釣れることも。アジは、黒アジにしろ黄アジにしろ似た傾向はありますが、黄アジはレアなのは間違いありません。 [写真タップで拡大]

で、こちらが同日、同じ水域で釣ったいわゆる黒アジの典型。シャープな体型なのが特徴。 [写真タップで拡大]

分類的には現状はどちらもマアジということになっております。この美味しいと言われる金アジ系の特徴を語るのに『全般的に黄色(金色)がかっていて』と解説されることが多いですが、半分本当で半分嘘です。

例えばですが、スーパーなどで売られているアジの場合、鮮度が落ちてきていると金色がかってきます…。逆に鮮度のいいアジというのは緑がかっています。と、まぁ、これ、ある程度、経験を積んでいたりしていると良い色か悪い色か判別がつくのですが、魚屋さんでも知識がないと判別できないことがあるレベルのお話。つまり、色で判別は、まぁまぁ難しいのです。

見分け方難しいぞーって例もせっかくなので羅列しておきましょう。

金アジと認定『したい』個体。 [写真タップで拡大]

色が黄色だし金アジ!? いや、これは黒アジ型と認定『したい』個体 [写真タップで拡大]

色だけみると金色! でもこれは黒アジ。 [写真タップで拡大]

黒アジですね。 [写真タップで拡大]

これは金アジでしょ! いや、黒アジ型。

これは金! いえ、黒アジ。何が言いたいかというと、区別つけるの難しいでしょ?というのが言いたいのであります。 [写真タップで拡大]

これは金アジでしょ!? といいたいところですが、黒アジかな、いや金アジでもいいかな…。どちらかというと『体型』で判断することが実は多いのです。その体型の魚がたまたま黄色い個体が多いという統計があるだけです。 [写真タップで拡大]

『金アジ』をあえて言語化して定義すると

黄金アジという名称そのものは、ブランド化されつつある名称なので少し置いときまして、いわゆる黄金アジに区分されるであろうキアジ、金アジ型というのは、金色というより黄色がかった体色をしており、通常のマアジより相対的に幅広の個体です。ゆえにヒラアジとも呼ばれます。

なぜ、黒アジ系より金アジ系が美味しいと言われるかというと、居着き個体と回遊個体の差だともいわれていますが、実のところこれは詳しくはわかっていません。

湾や港に居着いて生息するアジは、あまり運動せず流速の穏やかな場所で生活しているから、脂が乗りやすいなんて俗説があります。逆に外海を泳ぐアジは運動量も豊富で、流速のきつい場所での生活を余儀なくされるために筋肉質で脂が少ないなんて言われます(ゆえに細身でスタイリッシュ)。が、餌の質や海域によるので『俗説』と言われる類の話になります。

そもそも食味にそんな差があるのかと言われると、せいぜい、黒アジより金アジのほうが脂ノリが良いくらいで、実は黒アジでもアタリ個体は細身でシャープなくせに、めちゃくちゃ脂ノリの良い個体がいますので、そうなってくると食味の差なんてあってないようなもの。食べ慣れている人なら『ん、こっちの刺身のほうが少し脂ノリが良くて美味しいかも』と気づくレベルのお話です。

まぁ、食通の方でもブラインドで出されたら気づくかどうか。特に黒アジのアタリ個体と、いわゆる金アジ比べたらわからないでしょうね!

ちなみに、釣り人が金アジ型を釣りやすいのは、港などの防波堤区域などで釣りをする機会が多いからだと思います。逆に漁で取れるアジは必然的に外洋で獲ることが多いため、黒アジ型が多くなります。これだって俗説と言ってもいいでしょう。

議題に上がった富津の黄金アジが美味しいのは、東京湾という餌が豊富なフィールドでスクスクと育ったからであって、たまに混ざる正真正銘の金アジに依存するわけではないとも言えます。

なので、これは金アジだからブランドで美味しい、黒アジだから劣ると短絡的に判断しない方が幸せと言ってもいいでしょう。

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