【すぐ切れない!?】バス釣りにPEラインはナシ!? 基礎基本やメリット・デメリットを解説!

パワーフィネスによるカバーの釣りや真冬のメタルバイブの釣りなど、バス釣りにおいてもPEラインを用いた釣りはどんどん浸透してきている。しかしナイロンやフロロカーボンなど、モノフィラメントラインばかり使っていたアングラーからすれば、PEラインは間違いなく敷居が高い。ここではそんなPEライン初心者のために、抑えておくべきベーシックな内容をQ&A形式でまとめてみた。

簡単!PEラインとリーダーの結束方法

●文:ルアーマガジン編集部

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【Q1】PEラインとそれ以外のラインの違いって何?

【A】1番の違いは構造! PEラインはタコ糸みたいなライン

現在市販されている主なラインは4タイプ。その中でもナイロンフロロカーボンエステルといったタイプは、モノフィラメント(単一繊維)と呼ばれるタイプ。

ナイロン=ポリアミド
フロロカーボン=ポリフッ化ビニリデン
エステル=ポリエステル

といった素材を主に用いたラインであり、断面が1本の棒の用になっている。

一方、高分子量ポリエチレンを原材料とするPEラインPE(ポリエチレン)の極細の原糸を複数本編み込むことで1本のラインとなっている。タコ糸や刺繍糸ををイメージするとわかりやすいかもしれない。

【Q2】なぜ最近PEラインがバス釣りにも広まっているの?

【A】バス釣りのスタイルが増えたこととフィールド状況の変化によるもの

パワーフィネス

フロッグ

マイクロベイト

PEラインの登場により海釣りが大きく発展したと言われているが、後年バス釣りに浸透し始めた当初のPEラインはフロッグゲームでの使用やトップウォータースタイルにおける認知度が高かった程度。

その後、海のライトゲームブームの到来により、極細PEラインが登場。バスフィッシングでも使用されることはあったとされているが、当時の製品はバスタックルとの相性が悪く、またフロロカーボンラインでも事足りるといった背景から広く浸透することはなかった。

しかし近年、パワーフィネスやメタルバイブの遠投セッティングといったバス釣りのスタイルの増加や、タフ化するフィールド状況により小さく軽いルアーを使う必要性が増加したといった理由でPEラインの特性に注目が再び集まっている。また、技術の進歩により優れた製品も多くリリースされるようになった。

【Q3】PEラインはどんな点で優れているの?

【A】強度・感度・遠投性 etc…

最大の優位点は、何本もの極細の糸が集まることで生まれる強さ(重いものをぶら下げたときの切れにくさ)。同じ太さでも、モノフィラメントに比べておよそ4倍という、圧倒的な強さを誇るのである。
逆に同じ強さのラインを比較した時、PEラインは太さをかなり細くすることが可能。空気や水の抵抗を受けにくくなるため、遠投性やルアーのフォールスピードが上がると言った利点にもつながっている。

また、PEラインはその他のラインに比べて伸びが少ない。
バス釣りで多く使用されているフロロカーボンラインの伸び率が25%程度なのに対し、PEラインは5%以下。伸びが少ないことはすなわち水中情報をより減衰すること無く手元まで伝達させやすく、フッキングパワーもダイレクトに伝わりやすいという利点になっている。

さらに、モノフィラメントラインと比べてしなやかなことが多く、スプールの巻き癖もほとんどつかない。比重が軽いため、ラインそものもが水面に浮きやすいのも特徴と言えるだろう。

比較項目PEフロロナイロン
引張強度強い普通普通
擦れ強度弱いやや強い強い
伸び伸びないやや伸びるやや伸びる
比重低い高いやや低い
滑り良い普通普通
張り弱い強い普通
耐久性強い普通やや弱い
遠投性高い普通やや高い
価格高い普通安い

【Q4】PEラインに弱点は無いの?

【A】根ズレに弱く、扱いにも注意が必要

多くの強みを持つPEラインだが、当然弱点もある。その最たるものが、擦れる力(摩擦)に弱いということ。極細の糸が集まっているので引っ張る方向には強いのだが、硬いものと擦れれば極細の糸が次々に切断されていき、あっという間にラインブレイクしてしまうのである。

また表面が非常になめらかであり、結び目がほどけやすいというデメリットも持つため、ノットには注意が必要だ。

さらにメリットである伸びの少なさは悪い方向にも働く。例えば引っ張る方向には強いPEだが、急激に強い力がかかる(バックラッシュで急にルアーが止まったり等)とラインそのもののクッション性が低いため、結び目や小キズなどの弱い部分から簡単に切れてしまうほか、魚のバイトを弾いてしまうことも。

さらに非常に軽いため、風の影響を受けやすい点も欠点と言えるだろう。

【Q5】値段が高いって聞いたけど本当?

【A】販売価格は高いけど長く使えることが多い

ナイロンやフロロに比べ、販売価格では割高な傾向にあるPEライン。しかしそれらのラインに比べて長時間仕様による劣化が少ないこともあり、ランニングコスト的には大差ないとも言えるだろう。また近年はリーズナブルな製品も多く展開されているため、気軽にPEタックルを組めるようになっている。

【Q6】「4本編み」「8本編み」って聞くけどなにそれ?

【A】同じ素材でも性質に差が出るPEラインの構造の違い

PEラインは1本の釣り糸となる前の段階で一定本数の糸から構成される。その本数は4本、8本、12本といった本数が一般的で、4本編み、8本編みといった呼び名で呼ばれる。

特徴としては、編み数が増えるほどラインの断面が真円に近づき、表面が滑らかになっていく。一方、1本あたりの太さが細くなるため、PEラインの弱点である摩擦に対する弱さがより顕著になってくるのだ。

逆に編み数が減ると、擦れに対しては強くなるものの、ガイドの抜けが悪い、キャスト時に糸鳴りがするといった欠点につながっていく。また、同じラインで比較した場合、編み数が増えるほど高価になる。

比較項目4本編み8本編み12本編み
水や空気の抵抗やや大きい普通小さい
ガイド抜けの良さやや悪い普通良い
擦れ強度強い普通弱い
張り強い普通弱い
価格安い普通高い

【Q7】色々な製品があるけどどう違うの?

【A】編み数の他にはライン表面のコーディングが違ってくることが多い

PEラインに使用されるポリエチレン素材の種類は少なく、メーカーが異なるPEラインであっても、大本は同じ繊維を用いられていることが多い。しかし、そのグレードや編み込み方法や密度、コーティング(表面加工等)が製品ごとの違いとなり、ラインのコシ(張り)や表面の滑らかさ、頑丈さといった個性に繋がっているのである。

【Q8】PEラインを使う上で何に注意すれば良い?

【A】PEラインの弱点に気を使うべし!

モノフィラメントラインのように吸水や紫外線によって劣化する心配の無いPEラインは比較的長期間使用できる。ただし、表面のコーティングは劣化するため、滑りやガイド抜けが悪くなるといった懸念は存在する。

また、細いPEラインになるほど外部からのダメージに弱く、フックのカエシが引っかかった、手荒れした指先で擦った、といった程度でも致命的になりかねないため、注意が必要である。

非常に滑りがいいため、スプールに直接巻くとスプールが空転してしまうので、モノフィラメントラインの下巻きは必須。リーダーとの結束にも注意が必要だ。

おすすめのPEラインは?


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