低水温期、見事に値千金の1本を仕留めた梶原智寛さん…その釣りを完遂するキーはフロロカーボンラインにあった。今回は梶原さんの冬バスにおけるもうひとつの必須キー『PEライン』について解説していただくことにしよう。
●文&写真:近藤圭一
梶原智寛プロフィール
【Profile】
梶原智寛(かじはら・ともひろ)
昨季2023年、国内最高峰トーナメント・JBトップ50で年間優勝を果たした若武者。シャローからディープ、眼力から魚探サイトまであらゆる技巧に隙のないオールラウンダーで、次世代を担うアングラーとして注目の的だ。1999年12月27日生まれ、福岡県出身
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フロロカーボンで獲れない魚はPEの出番
取材当日、ビッグベイト&スイムベイトから、シャッドプラグへと切り替え、見事に冬の価値ある1本を仕留めた梶原智寛さん。
いずれの釣り方も「2回のトゥイッチ、3秒のステイ」を繰り返し、「冬のキーは、釣りのリズム」であることを証明。冬バスが潜むカバー周りを制するためには「釣りだけに集中できる、不安のないライン選び」が大切であることも付け加えてくれた。それが『アブソルートAAA』という唯一無二のフロロカーボンラインだ。
梶原「付け加えるならば、普段使っているライン強度より1ランク落としても何も不安がなく使えるライン。例えば、ビッグベイトなどに20lbを使っている方なら、16lbに落としても強度に不安はなく、ルアー本来が持つよりナチュラルなアクションを追求できますね」
- 巻き糸量:80m平行巻き
- カラー:ナチュラル
- ポンド数:2.5・3・4・5・6・7・8・10・12・14・16・20・25・30lb
どんなルアーに使っても絶大な信頼を置ける、いわばバーサタイルなフロロカーボンラインが『アブソルートAAA』。だが、梶原さんが絶大な信頼を置くのは、それだけではなかった。
梶原「ワーミングでは時にPEラインが必要になる場面もあります」。はたして、その真意とは。
『アバニ ソルトウォーターフィネスPE X8』という唯一無二
梶原「冬、特にありがちな状況が強風。風が強いと思い通りにルアーが飛ばない。またラインが風に煽られて、今何をやっているかが手元に伝わらないなんてことも度々あるかと思います。僕が使うのは…」
絶大な信頼を置くフロロカーボンライン『アブソルートAAA』だが、こんな時ばかりはライン自体に伸びがなく感度に優れたPEラインが優勢なのだという。いや、PEラインとカテゴリーをひと括りするべきではなかった。
梶原「『アバニ ソルトウォーターフィネスPE X8』。これ、一択です!」
アバニ ソルトウォーターフィネスPE X8
- 巻き糸量:150m
- カラー:クリスタルホワイト
- 号数:0.2号・0.3号・0.4号
梶原さんが声を大にしたのは「PEの常識を超えた」と絶賛するライン。海釣りフィネス用と名は付くものの、バスフィッシング界隈でも既に巷で定評の逸品だ。
梶原「まず触ってみてください。表面がザラザラせず、まるでエステルラインであるかのようにツルツルです。つまり、ガイドの糸抜けが良く、ごく軽いリグでも圧倒的に飛距離が伸ばせます。さらには仮にライントラブルがあったとしても、すぐに解きやすい」
梶原さんはこの日、0.3号をメインラインにフロロカーボンリーダー1.5号(*6lb相当)をセット。狙いのカバー、ピンスポットから距離を置いたロングディスタンスで精度の高いキャストを決め続けた。
梶原「例えばサイトフィッシングでも有効ですね。思い通りのスポットへ、ロングキャストが決まる。冬の今ではなかなかチャンスはありませんが、シーズンインすればサイトの強力な武器にもなりますね」
冬の今なら強風下で、春になったらサイトも視野に入れた釣りの幅が広がる。
梶原「価格は少々高価です。でも、僕の使用頻度で2ヶ月ほど使い続けても何も問題がない。結果的には非常にコスパの良いPEラインです。全てにおいて、僕のPEライン使用歴でこれ以上のものはなく、パーフェクトです!」
使ってみればわかる、その凄さ。春に向け、今のうちから手に入れておくのも一興だ。
“吊るし”で制する『アブソルートPE X8』
梶原さんがPEラインを要する、もうひとつの釣りがパワーフィネス。スピニングタックルに組み込むことで、ごく小さく軽いルアーやリグをヘビーカバー奥へと送り込ませる釣り。魚の反応を手元へしっかりと伝達する感度に優れ、伸びの少なさが確実なフッキングを実現。さらにはカバー奥から魚を引き剥がす高強度も発揮するのがPEの役割だ。
梶原「『吊るし』の釣りに、欠かせないのが『アブソルートPE X8』ですね」
アブソルートPE X8
- 巻き糸量:150m
- カラー:ダークグリーン+モーショングリーン
- 号数:0.8・1・1.2・1.5・2号
これもまた前段同様に一択だ。梶原さんはこの釣りでは1.5号を選択する。
梶原「たとえラインが枝や草などカバーを介しても食い込むことなく、たとえ弛んだ状態でもしっかりと水中の様子が手に取るようにわかる優れた感度を発揮。なおかつライン自体が程よくしなやかなので、スタックしそうな場面でも事前に察知できる感度を持つ上に、シェイクしながらの回収で簡単にルアーをピックアップできますね」
感度の高さとしなやかさが、ロストを激減。またダークグリーンとモーショングリーン、2種類のグリーンマーキングによって、クリアウォーターではステルス性能が高く、マッディウォーターでは高い視認性を発揮して、より思い通りの操作性に貢献する。
PEラインに必須のアイテム『PEにシュッ!』
- 容量:100ml
- 他ラインナップ:[携帯用]・[ノンガスタイプ]・[業務用]
梶原「どちらのPEラインにも使うのが『PEにシュッ!』です。使い方はいろいろです。リールに糸を巻いた状態でひと噴きして、ライン全体を滑らかにコーティングして飛距離アップ。ティッシュなどに染み込ませてガイドの内側を拭けば、糸抜けが良くなって、遠投性能が増すばかりか魚とのやりとりもよりスムーズになりますね」
『PEにシュッ!』は、ライン表面に撥水性保護膜を形成するラインスプレータイプ。PEのみならず、ナイロンやフロロカーボンラインでもその威力を発揮できる
冬は細部に至るまで“リズム”を意識せよ
梶原さんが溺愛するラインはフロロカーボンの『アブソルートAAA』、そしてPEは用途に応じて『アバニ ソルトウォーターフィネスPE X8』と『アブソルートPE X8』を使い分け。いずれのラインも当釣行に帯同して、それぞれ存分な威力を発揮したことは言うまでもない。
今回は冬の1本を獲るべく、主にフロロカーボン編ではハードルアー、今回のPEライン編ではソフトルアーにマッチさせるラインを解説していただいた。フロロカーボン編では「冬のキーは、釣りのリズム」と語ったが、それはハードルアーとソフトルアーのいずれの釣りにも有効なメソッドだという。
梶原「例えばダウンショットリグ。シェイクの幅やスピード、力の入れ加減に至るまで一定のリズムは大切です。全てのルアーやリグでそれぞれそこまで意識すると、自ずと釣果は増えると思います」
日本一の男が鍛え上げてきた冬の経験値が、数々の実績を裏付ける。
梶原「冬はバスがいないのではない。必ずルアーを見ています。あとは食い付かせるタイミングをアングラー側が作るだけなんです」
恐れるな、前を向け。冬に値千金の1本を仕留めるために。
タックル【梶原智寛×PEライン】
※上から順に
[ダウンショットリグ用]
- ルアー:Gテールサターン(レイン)+マスバリ♯3+シンカー1.3g
- ロッド:グラディエーター・アンチGA-610LS-STフィクサー(レイドジャパン)
- リール:16ヴァンキッシュC2500SHG(シマノ)
- ライン:アバニ ソルトウォーターフィネスPE X8 0.3号(バリバス)
- リーダー:バーマックス磯ゼロハリス1.5号(バリバス)
[パワーフィネス用]
- ルアー:エグダマ タイプレベル4.5g(レイドジャパン)+ヤビィ(NOIKE)
- ロッド:グラディエーター・アンチGA70HS-STパワーノーズ(レイドジャパン)
- リール:スピニング2500番
- ライン:アブソルートPE X8 1.5号(バリバス)
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