ショアジギングはロッド、リール、ラインとメタルジグだけで完結する非常にシンプルな釣り。しかしタックルや釣り方の違いによりアジや根魚、ヒラメ、シーバス、果てはブリやハマチなどの巨大青物まで、多様な釣り物を楽しめる奥深さをも持ち合わせている。この記事ではそんな「ショアジギング」という釣りのすべてを解説していく。
●文:ルアマガプラス編集部
ジギングは船だけのゲームじゃなかった!!
ここ数年で大きな盛り上がりを見せている釣りの新カテゴリーが「ショアジギング」。もともとは船で沖に出て、深場に生息する大型青物や根魚をメタルジグで狙う「ジギング」に端を発している。それをショア=岸でやるから「ショアジギング」というわけだ。その一方で、船でのジギングもショアジギングと区別するために「オフショアジギング」と呼ばれることもある。
ショアジギングで釣れる魚はさまざまで、使うメタルジグの重さや探る水深によって変わる。例えば10g前後の軽量ジグで岸際の水深2m程度を探ればカサゴやシーバスが釣れる。
そうかと思えば、磯場で100gオーバーのヘビージグを遠投すれば、10kgクラスのヒラマサやブリと格闘することもできるという、幅広い魚種を狙えるのもショアジギングの魅力のひとつだ。
また、時期によって釣りやすい魚も異なり、例えば秋ならば青物が岸際に寄りやすい時期なので、地域によっては防波堤や沖堤防からイナダやサワラ、タチウオがコンスタントに狙える。カサゴをはじめとした根魚類は、比較的1年中狙うことが可能だ。
ショアジギングはメタルジグの重さにより主に「3階級」が存在!
ショアジギング種類 | 略称 | ジグ重量 | 主な対象魚 |
---|---|---|---|
スーパーライトショアジギング | SLSJ | 20g以下 | カサゴ、メバル、アジ、小型青物 |
ライトショアジギング | LSJ | 20~60g | イナダ、サバ、ショゴ、シイラ、サゴシ、タチウオ、根魚 |
ショアジギング | ショアジギ | 100g | ブリ、ヒラマサ、カンパチ、シイラ、サワラ、マグロ |
最軽量級:スーパーライトショアジギング(SLSJ)
20g以下の軽量ジグを使うのが「スーパーライトショアジギング(SLSJ)」で、ショアジギングカテゴリーの中でもっとも新しいクラスといえる。
最近では1g前後の超軽量ジグも登場し、これまでマイクロワームでしか反応しなかったターゲットも手返し良く狙えるようになってきた。
ミドルクラス:ライトショアジギング(LSJ)
次が20~60gのジグを使う「ライトショアジギング(LSJ)」。シーバスタックルやエギングタックルを流用して楽しめるということもあり、1番広がりを見せているクラスといえる。
ベリーヘビー級:ショアジギング
そして、100g前後という3ケタ台の最重量級ジグを使用するのが「ショアジギング」。荒磯や沖磯に渡ってヒラマサを中心とした青物を狙うのがメインで、ルアーフィッシングの中でも相当エクストリームな部類と言っても過言ではない。
ジギングとは表現しますが、使うタックルやポイント、狙う魚などが共通することから、場合によっては大型プラグを使ってのサーフェスゲームを指すこともある。
ショアジギングに共通なのは、広範囲を手返し良く探れる「遠投タックル」!!
3クラスごとに使うメタルジグの重さが違うというのは前述の通りだが、その重さに対応できるだけのパワーを持っているタックルが、それぞれに必要となる。
各種ショアジギングに向くロッド
例えばロッドならば、メーカーごとにパワーの目安は異なり、大まかには「SLSJ」ならL~ML、「LSJ」ならML~MH、そして「ショアジギング」ならH~XXHといったところです(※もちろん、例記以上のパワーが必要な場合もある)。
ただ、いずれにも共通していえることはメタルジグを遠投して広範囲を探ることを前提としたゲームなので、遠投可能な9ft前後のロッドが必要不可欠になる。
ショアジギング種類 | ロッドパワー | ロッド長さ | 主な対象魚 |
---|---|---|---|
SLSJ | L~ML | 9ft前後 | カサゴ、メバル、アジ、小型青物 |
LSJ | ML~MH | 9ft前後 | イナダ、サバ、ショゴ、シイラ、サゴシ、タチウオ、根魚 |
ショアジギ | H~XXH | 9ft前後 | ブリ、ヒラマサ、カンパチ、シイラ、サワラ、マグロ |
各種ショアジギングに向くリールとライン設定
3クラスで全く対象魚の大きさが違うショアジギング。当然リールやラインの設定も異なってくる。
ショアジギング種類 | リール | ライン | リーダー | 主な対象魚 |
---|---|---|---|---|
SLSJ | 2000~3000番 | 0.6~0.8号(PE) | 10~14lb(フロロ) | カサゴ、メバル、アジ、小型青物 |
LSJ | 3000~5000番 | 1~1.5号(PE) | 20~30lb(フロロ) | イナダ、サバ、ショゴ、シイラ、サゴシ、タチウオ、根魚 |
ショアジギ | 6000番以上 | 2~10号(PE) | 40lb以上(フロロ) | ブリ、ヒラマサ、カンパチ、シイラ、サワラ、マグロ |
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ラインやリーダーはもちろん、結束にも気を使うべし
おおまかにクラス分けされているショアジギングだが、不意の大物にも耐えられるよう太めのラインを結ぶのがおすすめだ。そしてリーダーはしっかり結ぼう。磯のように根ズレの心配がある場所ならば、さらに太くて強靱なリーダーが必要となる。
さらに、メタルジグとリーダーとの結節だが、SLSJ~LSJならば直結、もしくはスナップを介した結束でもOKだが、10kgオーバーの青物を狙うショアジギングの場合はスナップだと伸ばされたり破壊されたりする可能性も高い。溶接リング&ハイパワースナップでの結節が必要不可欠だ。
メーカーが推奨するジグを使うのが間違いない!
使用するメタルジグに関しては、各メーカーが『ショアジギング対応』と謳っている商品で、あとは対応重量さえオーバーしていなければOK。対応モデルはキャスティングでもフック絡みが少ないアシストフック仕様になっているモノも多いので、特にチューニングは必要ないことが多い。
最近ではショアからのスロージギング対応モデルや、タダ巻きだけで釣れるイージーなモデルなど、さまざまなタイプのジグが数多く発売されている。
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巻くだけOK! ブレード付きメタルジグ『マキッパ(メガバス)』
その名のとおり巻くだけでも釣れるメタルジグ。考え抜かれたボディ形状により安定した姿勢で泳ぎ、オリジナルフックセッティングでブレードへのバイトもしっかりと捉えることが可能!!
ショアジギングのアクションは「全泳層をサーチ」
ショアジギングの基本的な釣り方だが、まずは遠投してジグを可能な限り遠くまで飛ばそう。リーダーを長めに垂らし、遠心力を利用してのオーバーヘッドキャストなら、力んで投げなくてもジグは遠くまで飛んでくれる。
ジグの着底後は1回シャクリ上げたら1回リールを巻く『ワンピッチジャーク』を繰り返し、水面まで斜め上方向に引っ張ってくる過程で全泳層を探っていこう。時にはイレギュラーなジャークや、ストップしてのフォーリングで誘ったりするのもポイントだ。
また、表層に群れているベイトフィッシュに鳥の群れが大挙して襲いかかる『鳥山』や、ベイトフィッシュの群れを水中からフィッシュイーターが襲って水柱が上がる『ナブラ』が見えれば、迷うことなくジグをキャスト! 表層を高速巻きしたり、強いジャークでジグを激しく踊らせたりして、バイトを誘ってみよう。
ただ、目の前に鳥山やナブラが現れると興奮してしまったり焦ったりしてしまい、周囲に目が行き届かない恐れもある。キャスティングの際には周囲の安全を確認したうえで、落ち着いてジグを投げよう。
ショアジギングのシーズンはいつ?
軽量級から重量級まで、そして釣れる魚もお手軽なモノからモンスターまでと、幅広く楽しめるショアジギング。さてショアジギングのシーズンはいつ頃がベストでだろうか。答えは「いつでもOK!」。季節により沿岸部に寄ってきて小魚を追いかける魚は変わってくる。
青物であれば、ブリを基準とするのであれば夏頃はイナダ、秋から冬にかけてはワラサクラスが狙える。磯場であれば10kg以上の大物が狙える場所もある。近年では秋頃からのタチウオも人気が過熱気味。サワラ狙いなら冬から春。カサゴなどの沿岸性の強い根魚であれば周年で狙うことができる。
ショアジギングはどのようなシーズンでも狙い方を考えれば釣果が期待でき、応用できる範囲の広い釣り。ぜひともチャレンジしてみてほしい。
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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