〈初心者の釣り〉“ブリ(ワラサ)”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【青物御三家筆頭! 成長とともに名を変える海の侍】

●文:ルアマガプラス編集部

ブリ(ワラサ)とは?

ブリは、スズキ目アジ科に属する大型の肉食魚。日本近海に広く分布する回遊魚で、食用魚としてとても高い人気を誇る。また、釣りにおいては、その圧倒的な引きの強さから、ショア/オフショアを問わず多くの釣り人を魅了するターゲットだ。成長段階に応じて呼び名が変わる“出世魚”の代表格であり、関東では「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」、関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」などと大きさによって呼び名が変化する。本稿では、一般的に60~80cm程度の個体を指すワラササイズも含め、ブリとして解説する。

日本人に馴染み深い魚でもあるブリは釣りでも人気のターゲット。

ブリ(ワラサ)の生態

ブリは、春から夏にかけて餌を求めて日本海沿岸や太平洋沿岸を北上し、秋から冬になると産卵のために東シナ海などの南方へ南下するという季節的な大回遊を行う。食性は完全な肉食で、イワシ/アジ/サバ/イカ等を主なベイトとする。遊泳速度はとても速く、群れでベイトを追い詰めて捕食する。そのダイナミックな捕食シーンは「ナブラ」と呼ばれ、釣り人にとっては絶好のチャンスとなる。

小魚の群れを追い詰めて捕食する際に「ナブラ」と呼ばれるアグレッシブな捕食シーンが見られることも。

ブリ(ワラサ)の釣りシーズン

ブリは回遊魚であるため、釣れる時期や場所は季節によって大きく異なるが、基本的には通年狙うことが可能。

秋~初冬(ハイシーズン)

産卵を控え、越冬のために脂を蓄えながら南下してくる時期。いわゆる「寒ブリ」シーズンであり、大型で脂ののった個体が狙えるため、もっとも人気が高い。とくに日本海側ではこの時期のブリはブランド化されており、釣り人もこぞってこのシーズンを狙う。

春~夏

産卵後の体力回復と餌を求めて北上する個体を狙うシーズン。サイズは秋に比べて小~中型(ワカシ/イナダ/ワラサ)が中心となるが、数が釣れることが多い。とくにベイトフィッシュが接岸するタイミングでは、ショアからのキャスティングゲームも非常に盛り上がる。

ブリ(ワラサ)の釣り方

ショアから手軽に狙う方法から、本格的なオフショアゲームまで、多種多様な釣り方が存在する。

ショア(陸)からもオフショア(船)からも狙えるブリ。

ショアジギング

防波堤や磯、サーフからメタルジグを遠投して狙う、最もポピュラーな釣り方の一つ。体力は必要だが、陸から10kgを超えるブリを釣り上げることも夢ではない。

メタルジグと呼ばれる、小魚を模したルアーでブリを狙うショアジギング。

仕掛け例

  • ロッド: 9ft~10ft台のショアジギング専用ロッド(M~Hクラス)
  • リール: スピニングリール 5000~8000番(ハイギアモデル推奨)
  • ライン: PEライン 2号~3号
  • リーダー: フロロカーボン/ナイロン 40lb~80lb
  • ルアー: メタルジグ 40g~100g

インショアキャスティング

釣り場までが近く、ショア感覚でオフショアゲームが楽しめるインショアゲームなるものが近年注目を集めている。機動力の高いボートでブリのナブラや魚影を探し、ミノーやジグ、時にはダイビングペンシル等のトップウォータープラグを投げて魚を誘い出す釣り方。よりライトなタックルで大型魚とファイトできるところが醍醐味だ。

仕掛け例

  • ロッド: 7ft~8ftのボートキャスティングロッド
  • リール: スピニングリール 4000番~5000番
  • ライン: PEライン 1.5~2.0号
  • リーダー: ナイロン 30lb~40lb
  • ルアー: ミノー/メタルジグ/ブレードジグ/ダイビングペンシル/ポッパー等

ライトジギング

ジギングは、メタルジグと呼ばれるルアー(疑似餌)をまるで生きている魚かのように操作して魚を騙す釣りである。中でもライトジギングは近海(水深80m程度まで)で比較的軽量なジグを使って手軽に楽しめるジギング。タックルも軽量なものが多いので、力に自身のない方でも十分楽しめるのが魅力だ。ワラサクラスがメインターゲットとなることが多いが、時期によってはブリサイズがヒットすることも多々ある。ヒットした瞬間、ロッド全体にかかる重量感がたまらない。

比較的軽量なメタルジグを使うライトジギングでブリがヒットすることも。

仕掛け例

  • ロッド: 6ft前後のライトジギングロッド
  • リール: オフショア用スピニングリール 4000~6000番/オフショア用ベイトリール
  • ライン: PEライン 1.5~2.0号
  • リーダー: フロロカーボン 30lb~40lb
  • ルアー: メタルジグ 60g~150g

ジギング

水深100mを超えるような深場で大型回遊魚を狙う本格的なオフショアジギング。使用するタックルも大型化し、ライトジギングとは打って変わって体力的にはハードだが、エリアによっては10㎏を超えるサイズのブリと出会える確率が高い釣り方の一つだ。豪快なファイトは多くのアングラーを魅了し続けている。

大型のブリを狙うならジギングがオススメ。

仕掛け例

  • ロッド: 6ft前後のジギングロッド
  • リール: スピニングリール 6000番~8000番/ジギング用ベイトリール
  • ライン: PEライン 3~4号
  • リーダー: フロロカーボン 60lb~80lb
  • ルアー: メタルジグ 150g~200g

泳がせ釣り

主に船釣りにおいて、大物釣りの代表的な釣り方の一つである。アジやイワシ等の生きた小魚を餌にする釣りで、ルアーに反応しないようなシビアな状況でも食わせやすい。逃げ惑う餌が飲み込まれ、海面に向かってロッドが絞り込まれる瞬間は興奮すること間違いなし。

仕掛け例

  • ロッド: 青物泳がせ釣り専用船竿/7:3調子2.0m~2.7m程度の汎用船竿(パワーがあるもの)等
  • リール: 2000番~3000番程度の中型電動リール/ジギング用ベイトリールでも可
  • 道糸: PEライン 3号~4号程度
  • 仕掛け: 市販の泳がせ釣り仕掛け(ハリス8号~12号程度でシングルフック推奨)
  • オモリ: 60号~100号

オモリ号数、仕掛けや道糸の太さに関しては、船宿毎に指定があることが多い。乗船前に必ず確認しよう。

落とし込み釣り(縦釣り)

極太のサビキ仕掛けでベイト(イワシやアジ)を釣り、そのベイトが付いたまま仕掛けを海底まで落として大型のブリを狙う合理的な釣り方。いかに多くのベイトを付けられるかが釣果に直結する。ベイトが付いたかどうかが目視で分かる「繊細な穂先」と大型魚が掛かっても負けない「バットパワー」を兼ね備えた専用竿があるとより面白い。

仕掛け例

  • ロッド: 落とし込み釣り専用竿/青物泳がせ釣り用竿でも可
  • リール: 使用するPEラインが300m以上巻ける電動リール/大型ベイトリール
  • 道糸: PEライン 2号~4号程度
  • 仕掛け: 市販の落とし込み釣り専用サビキ(幹糸/ハリスが極太のもの)
  • オモリ: 60号~100号

サビキ仕掛けは針に魚皮がついているもの、平打ち空針のもの等、様々なタイプがある。ベイトの食いつきが変わってくるので、バリエーションを揃えておくと状況に合わせやすい。ハリスの太さも同様である。オモリ号数、道糸の太さに関しては、船宿毎に指定があることが多い。乗船前に必ず確認しよう。

完全フカセ

主に日本海の遊漁船で行われる釣法。潮に乗って流れる船からパラパラと撒き餌のオキアミを撒き、そこへ刺し餌のオキアミを投入、撒き餌と刺し餌を同調させてブリやマダイ、ヒラマサを狙うのだ。魚がヒットすると勢いよくスプールが回転し、強烈なファイトが幕を開ける。大型魚とのダイレクトなやりとりが楽しめる釣りである。

仕掛け例

  • ロッド: 6:4~7:3調子で2m~3m程度の汎用船竿(しっかりと曲がり込む竿が良い)
  • リール: 中型~大型電動リール(完全フカセ対応モデルが使いやすい)
  • 道糸: フロロカーボン 6~8号(最低200m以上巻いておく)
  • 仕掛け: 基本は道糸に針を結ぶだけ。状況により潮受けゴムや極小ガン玉を追加する

ブリ(ワラサ)の食べ方

ブリは日本を代表する高級食用魚であり、その食べ方は多岐にわたる。とくに冬の「寒ブリ」は格別の味わいだ。

刺身

鮮度の良いブリの旨味と食感をダイレクトに味わえる食べ方。とくに腹身は脂がのっており、とろけるような舌触りだ。背身はさっぱりとしており、食感の違いを楽しむことができる。

ブリしゃぶ

冬のブリ料理の王様。薄切りにしたブリの切り身を、昆布出汁にさっとくぐらせてポン酢やごまだれでいただく。余分な脂が落ち、ブリ本来の上品な甘みと旨味を堪能できる。

照り焼き

甘辛いタレがブリの脂と相性抜群の定番料理。ご飯のおかずとして不動の人気を誇る。ふっくらとした身にタレがよく絡み、食欲をそそる。

ぶり大根

ブリのアラと大根を一緒に煮込んだ冬の家庭料理の代表格。ブリのアラから出る濃厚な出汁が染み込んだ大根は絶品だ。身だけでなく、骨のまわりの旨味まで余すことなく味わえる。

冬のブリ料理といえばブリ大根。

塩焼き

シンプルながら、ブリの味をしっかりと感じられる調理法。振り塩をしてじっくりと焼き上げることで、皮はパリッと、身はふっくらと仕上がる。カマの部分の塩焼きはとくに人気が高い。

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