〈初心者の釣り〉“カワムツ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【身近な川で輝く清流の宝石】

●文:ルアマガプラス編集部

カワムツとは?

カワムツは、コイ目コイ科に分類される淡水魚。西日本の河川を中心に広く分布していたが、近年はアユの放流などに伴い東日本でも生息域を広げている。かつてはA型/B型の2種とされていたが、現在ではA型が「カワムツ」、B型が近縁種の「ヌマムツ」として分類されることが多い。身近な河川の中上流域で手軽に釣ることができ、その美しい魚体と小気味よい引きで、初心者からベテランまで多くの釣り人を楽しませてくれるターゲットだ。

カワムツの生態

おもに河川の中上流域から上流域にかけて生息し、流れが比較的緩やかな淵や淀み、障害物のまわりを好む。雑食性で、流下してくる水生昆虫や落下昆虫/付着藻類/小さなエサなど、口に入るものなら何でも食べる貪欲さを持つ。とくに初夏から夏にかけての繁殖期になると、オスの体には赤や黄色の鮮やかな婚姻色が発現し、とても美しくなる。この姿から「清流の宝石」と称されることもある。

婚姻色のカワムツ

カワムツの釣りシーズン

カワムツは水温が低い冬場は活性が下がるものの、水深のある淵の底などで越冬するため、ポイントを選べば周年狙うことが可能。ただし、もっとも釣りやすいのは、水温が上昇し活発にエサを追い求める春から秋にかけて。

ハイシーズン(4月~11月)

春になり水温が上昇し始めると、冬眠から覚めたカワムツが積極的にエサを探し始める。とくに婚姻色がもっとも美しくなる初夏は、警戒心も薄れ、数釣りが楽しめる絶好のシーズン。夏から秋にかけても高活性は続き、川遊びのついでに気軽に楽しめるターゲットとなる。

オフシーズン(12月~3月)

水温が10度を下回ると深場でじっとしていることが多くなり、釣るのが難しくなる。しかし、水温が比較的安定している深みのある場所や、日中の暖かい時間帯を狙えば、釣果を得ることも不可能ではない。

カワムツの釣り方

カワムツはさまざまな釣り方で狙うことができるが、もっとも手軽で一般的なのがウキ釣り。流れの緩やかな場所に仕掛けを流し、アタリを待つシンプルな釣りだ。

大きなサイズのカワムツは引きも楽しめる。

ウキ釣り

カワムツが集まりやすい淵や淀み、岩などの障害物の影に仕掛けを流し込んで狙う。エサを撒いて魚を寄せる“寄せエサ”も効果的。ウキがピクピクと動いたり、スッと水中に引き込まれたりするアタリは明確で分かりやすい。

仕掛け例

  • 竿: 3.6m~5.4m程度の万能延べ竿/渓流竿
  • 道糸: ナイロン 0.6~0.8号
  • ウキ: 玉ウキやトウガラシウキなどの小型の渓流用ウキ
  • オモリ: ガン玉(G2~G5)をウキの浮力に合わせて調整
  • ハリス: ナイロン 0.3~0.4号(道糸に直接ハリを結んでも可)
  • ハリ: 袖針 3~4号/秋田狐 2~3号
  • エサ:
    • 練りエサ: 市販の淡水小物用練りエサ
    • 虫エサ: サシ(ハエの幼虫)や赤虫
    • 川虫: 現地で採取したクロカワムシやピンチョロなど(食いが抜群に良い)

カワムツの食べ方

小骨が多い魚であるため、骨ごと食べられる調理法が向いている。釣った後には泥抜きのためきれいな水で数時間生かしておくと、より美味しく食べることができる。

釣れたカワムツを食べる際は泥抜きがオススメ。

唐揚げ

もっともポピュラーで美味しい食べ方。下処理をしたカワムツに塩コショウで下味をつけ、片栗粉をまぶして二度揚げする。こうすることで骨までサクサクになり、スナック感覚で食べることができる。独特の風味があり、ビールのつまみに最適だ。

甘露煮

じっくりと時間をかけて煮込むことで、骨まで柔らかくなる。醤油/砂糖/みりん/酒で甘辛く煮詰める。山椒の実などを加えると、風味が一層引き立ち、保存食としても重宝する。

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