〈初心者の釣り〉“ニジマス”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【身近なフィールドで楽しめる淡水ゲームフィッシュの王様】

●文:ルアマガプラス編集部

ニジマスとは?

ニジマスはサケ目サケ科に属する淡水魚。本来は北アメリカ大陸の太平洋岸を原産とする外来種だが、日本には1877年に移入され、今や全国の管理釣り場や、水温の低い河川/湖沼に定着した(自然繁殖している地域は限られていますが)。体側にある鮮やかな虹色の縦帯が名前の由来であり、その美しさから「レインボートラウト」とも呼ばれる。手軽に狙える一方で、奥深いゲーム性を持つことから、初心者からベテランまで幅広い層の釣り人を魅了する人気のターゲットだ。

ルアーゲームのターゲットとして非常に人気のあるニジマス。

ニジマスの生態

冷たくて酸素が豊富な清流を好む冷水性の魚。適水温は10℃~18℃程度とされ、高水温には弱い。食性は肉食で、水生昆虫/落下昆虫/甲殻類/小魚/魚卵など、口に入るものなら何でも捕食する好奇心旺盛な魚だ。自然環境下では春に産卵期を迎えるが、管理釣り場では養殖された個体が年間を通じて放流されており、季節を問わず釣りを楽しむことができる。

ニジマスの釣りシーズン

ニジマスは、釣る場所によってシーズンが異なる。管理釣り場ではほぼ一年中狙うことができる。

管理釣り場では一年中狙えるターゲット。

管理釣り場(通年)

管理釣り場(エリアトラウト施設)では、年間を通してニジマスが放流されているため、季節を問わず楽しむことができる。とくに、水温が安定する春と秋は、ニジマスの活性が高く、数釣りが期待できるベストシーズン。夏は水温が上がりすぎて活性が鈍る施設もあるが、高地にあり水温が低い施設では問題なく楽しめる。冬は低水温で動きが鈍くなるものの、多彩な誘い方で口を使わせるテクニカルな釣りが面白い。

自然渓流/湖(春/秋)

自然の河川や湖沼に生息するニジマスを狙う場合は、禁漁期間が設けられていることが多いため、各地域の漁業協同組合のルールを確認する必要がある。一般的に、春の雪解け後から初夏にかけてと、水温が下がり始める秋がハイシーズンとなる。

ニジマスの釣り方

管理釣り場を中心に、ルアー/フライ/エサ釣りと多彩なアプローチで楽しめるのがニジマスの魅力。

どの釣り方でも繊細な誘いが重要になる。

エリアトラウト

管理釣り場でルアーを使ってニジマスを釣るスタイル。「エリアトラウト」と呼ばれ、とても人気が高い。軽量なスプーンやプラグ(クランクベイトなど)を使い、その日の状況に合わせたルアー選択や誘い方が釣果を大きく左右するゲーム性の高い釣りだ。

ニジマスは管理釣り場で狙うのが一番釣果を得られやすい。写真の管理釣り場は神奈川県の足柄キャスティングエリア。

仕掛け例

  • ロッド: 6ft前後のエリアトラウト専用ロッド(XUL~ULクラス)
  • リール: スピニングリール 1000番~2000番
  • ライン: ナイロンライン 2~4lb/エステルライン 0.2~0.5号+フロロカーボンリーダー 2~4lb
  • ルアー:
    • スプーン: 0.6g~3g程度。カラーや形状を状況に合わせて使い分ける
    • クランクベイト: フローティング/シンキングなど。ただ巻きするだけで魚を誘える
    • ミノー: 小魚を模したルアー。トゥイッチなどでリアクションバイトを誘う

小型のプラグやスプーンでニジマスを狙う。

エリアトラウト(フライ)

フライ(毛針)を使ってニジマスを釣るスタイル。水面に浮く「ドライフライ」や、水中で使う「ニンフ」「ストリーマー」などを使い分ける。キャスティングから魚とのやり取りまで、一連の動作が美しく、優雅な釣りとして人気がある。

虫や魚を模した「フライ」。

仕掛け例

  • ロッド: 7ft~8.6ftのフライロッド(#3~#5番)
  • リール: ロッドの番手に適合するフライリール
  • ライン: フローティングライン(WFまたはDT)
  • リーダー: 7.5ft~9ftのテーパーリーダー(5X~7X)
  • ティペット: フロロカーボンまたはナイロン 0.6号~0.8号(6X~7X)
  • フライ:
    • ドライフライ: エルクヘアカディス/パラシュートなど(水生昆虫を模したもの)
    • ニンフ: フェザントテールニンフ/ヘアズイヤーニンフなど(水生昆虫の幼虫を模したもの)
    • ウェットフライ/ストリーマー: マラブー/ウーリーバガーなど(小魚や大型の水生昆虫を模したもの)

管理釣り場ウキ釣り

おもにエサ釣り区画が設けられている管理釣り場で楽しめる、もっとも手軽な釣り方のひとつ。ウキの動きでアタリを取るため、子供や初心者でも簡単に楽しむことができる。

仕掛け例

  • ロッド: 4m~5.4mの渓流竿や万能のべ竿
  • 道糸: ナイロンライン 0.8号~1.5号
  • 仕掛け: シンプルなウキ釣り仕掛け
    • ウキ: 玉ウキ/トウガラシウキなど視認性の良いもの
    • 目印: ウキの上下にゴム管などで固定
    • オモリ: ガン玉(ウキの浮力に合わせて調整)
    • ハリス: 0.6号~1.0号を30cm程度
    • ハリ: マス針/渓流針 5~7号
  • エサ: イクラ/ブドウムシ/釣り堀専用の練りエサなど

ニジマスの食べ方

ニジマスは上品な味わいの白身魚で、さまざまな調理法で美味しく食べられます。ただし、寄生虫(アニサキスなど)のリスクがあるため、生食(刺身)で食べる場合は、必ず生食可能と明記された養鱒場のものを利用するべき。

非常に美味なニジマスだが、生食は寄生虫のリスクがあるので要注意。

塩焼き

ニジマス料理の定番中の定番。シンプルながら、ニジマス本来の風味と、ふっくらとした身の食感をもっとも楽しめる調理法だ。化粧塩をしてじっくりと焼き上げるのがコツ。

ムニエル

三枚におろした切り身に塩コショウと小麦粉をまぶし、バターで焼き上げる洋風料理。バターの香ばしい風味とニジマスの淡白な白身が絶妙にマッチする。レモンを絞って食べると、さっぱりといただける。

唐揚げ

骨まで食べられるように二度揚げしたり、三枚におろした身を一口大にカットして揚げたりする。カリッとした食感で、子供から大人まで楽しめる。カレー風味やハーブソルトで味付けするのも良い。

燻製

手間と時間はかかるが、その味は格別。ソミュール液に漬け込み、塩抜きをした後にじっくりと燻すことで、凝縮された旨味とスモーキーな香りを楽しめる保存食となる。お酒のおつまみに最適だ。

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