〈初心者の釣り〉“シロギス”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【砂浜の女王、麗しき海のターゲット】

●文:ルアマガプラス編集部

シロギスとは?

シロギスは、スズキ目キス科に属する魚。「キス」と言えば一般的にこのシロギスを指すほど、釣りの対象魚として、また食用の魚として古くから日本人に親しまれている。透き通るような美しい銀白色の魚体から「砂浜の女王」とも呼ばれ、その上品な見た目と裏腹に、ブルブルと竿先を震わせる明確なアタリが釣り人を魅了する。北海道南部から九州にかけての沿岸に広く生息し、とくに砂浜や砂泥底を好む。

砂浜の女王と呼ばれており、釣り人から人気のターゲットのシロギス。

シロギスの生態

シロギスは、波の穏やかな内湾の砂浜/干潟/港湾内の砂地に群れで生息している。おもな食べ物はゴカイやイソメといった多毛類や小型の甲殻類。海底の砂に潜っているエサを、下向きに伸びる口で器用に捕食する。水温によって生息水深を変えるのが特徴で、水温が高い夏は水深数mの浅場まで接岸し、冬になると水深20m以上の深場へ移動して越冬する。産卵期は初夏から夏にかけてで、この時期はとくに活発にエサを追うため、釣りの最盛期となる。

港湾や砂浜など、幅広いエリアで狙える。

シロギスの釣りシーズン

シロギスは船釣りであればほぼ周年狙うことができるが、岸から手軽に狙えるのは水温が上がる春から秋にかけて。

ハイシーズン(5月~10月)

水温の上昇とともに浅場に大挙して接岸してくるため、投げ釣りやちょい投げ釣りでもっとも釣りやすい時期。とくに6月~8月の産卵期は活性が高く、数釣りが楽しめる最盛期となる。初心者でも比較的簡単に釣果を得られるため、ファミリーフィッシングにも最適なシーズンだ。

落ちギスシーズン(11月~12月)

水温が下がり始めると、シロギスは越冬のために深場へと移動を開始する。この時期の個体は「落ちギス」と呼ばれ、体力を蓄えているため大型が多いのが特徴。数は出にくいものの、25cmを超えるような「尺ギス」を狙うには絶好のチャンスとなる。遠投して深場を探る本格的な投げ釣りが有利になる。

シロギスの釣り方

シロギスは海底をズルズルと引きずる「引き釣り」が基本となる。エサの付いた仕掛けを投げ、ゆっくりと巻きながら海底を探り、シロギスのアタリを待つ。

ちょい投げ釣り

防波堤や砂浜から、比較的軽いオモリを使って手軽に楽しめる釣り方。本格的な投げ竿がなくても、シーバスロッドや万能竿で代用できるため、初心者におすすめだ。

仕掛け例

  • ロッド: 2~3m前後のシーバスロッド/エギングロッド/コンパクトロッドなど
  • リール: スピニングリール 2000~3000番
  • ライン: PEライン 0.6~1.0号/ナイロンライン 2~3号
  • 仕掛け: 市販のちょい投げ用天秤仕掛け
  • オモリ: 片天秤またはジェット天秤 5~15号(8号前後が基準)
  • 針: キス針 6~8号の2本針仕掛け
  • エサ: イソメ/ゴカイ(1~2cmに切って使用)

餌となるイソメ

投げ釣り

4m前後の本格的な投げ竿と投げ専用リールを使い、100m以上遠投して広範囲を探る釣り方。人の少ない沖のポイントや、深場に落ち始めた時期のシロギスを狙うのに有効だ。

仕掛け例

  • ロッド: 4m前後の投げ釣り専用ロッド(オモリ負荷25~35号)
  • リール: 投げ釣り専用の大型スピニングリール
  • ライン: PEライン 0.6~1.5号 + テーパーライン(力糸)
  • 仕掛け: L型天秤/遊動式天秤/ジェット天秤など
  • オモリ: 20~35号
  • 針: キス針 7~9号の3~7本針仕掛け(多点針仕掛け)
  • エサ: イソメ/ゴカイ

天秤仕掛け

おもに船からシロギスを狙う場合の仕掛け。岸からは届かない深場のポイントを狙うことができ、冬でも安定した釣果が期待できる。繊細なアタリを取るための専用タックルが用いられる。

仕掛け例

  • ロッド: 1.6~2.1mの船キス専用竿(7:3または8:2の先調子)
  • リール: 小型両軸リール/小型スピニングリール
  • ライン: PEライン 0.6~1.0号
  • リーダー: フロロカーボン 1.5~2.0号
  • 仕掛け: 船用片天秤またはテンビンアーム
  • オモリ: 15~30号(船宿の指定に従う)
  • 針: 全長60cm~1.2m程度のキス用1~2本針仕掛け
  • エサ: イソメ/ゴカイ(ごく短く切って使用)

シロギスの食べ方

シロギスは淡白で上品な味わいの白身魚で、骨が柔らかく調理しやすい。さまざまな料理で楽しめるが、とくに加熱した際のふわふわとした食感が魅力だ。

釣り人の特権ともいえるキス料理はどれも非常に美味。

天ぷら

シロギス料理の王道であり、最高のご馳走。揚げたての身は驚くほどふわふわで、淡白ながらも豊かな風味と甘みが口の中に広がる。背開きにして中骨を取り除いてから揚げると、より食べやすい。

シロギス料理の代表である天ぷら

塩焼き

素材の味をシンプルに楽しむなら塩焼きが一番。丁寧に焼き上げたシロギスは、皮はパリッと香ばしく、身はしっとりとしており、上品な旨味を存分に堪能できる。

刺身/昆布締め

20cmを超えるような大型のシロギスが釣れた場合に試したい食べ方。透明感のある美しい身は、独特の甘みとほどよい歯ごたえがある。昆布で締めることで、旨味が凝縮され、さらにもっちりとした食感になる。

お吸い物

シロギスのアラや骨からは、とても上品で美味しい出汁が出る。三枚におろした際に出たアラを使い、お吸い物や潮汁にすると、シロギスの旨味を余すところなく味わうことができる。

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