〈初心者の釣り〉“タチウオ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【神出鬼没! 幽玄に輝く銀のドラゴン】

●文:ルアマガプラス編集部

タチウオとは?

タチウオは、スズキ目タチウオ科に属する魚。その名の通り、銀色に輝く刀のような細長い体型が最大の特徴だ。鋭い歯を持ち、魚食性の強いフィッシュイーターとして知られる。日本全国の沿岸で釣ることができ、堤防からの手軽な釣りから本格的な船釣りまで、多様な釣り方でアングラーを魅了する。食味もとても良く、塩焼きや刺身などで親しまれている人気魚だ。

岸からも船からも釣れる人気のターゲット。

タチウオの生態

全世界の温帯から熱帯域にかけて広く分布する。ふだんは水深100m以深の泥砂底に生息しているが、夜になると餌となる小魚を追って水面近くまで浮上してくる、“日周鉛直移動”という特徴的な習性を持つ。この生態により、夜間は堤防などからも釣ることが可能となる。水中では頭を上にして立ち泳ぎをする姿が観察されることがあり、これもタチウオのユニークな生態のひとつ。獰猛なハンターであり、おもな餌はイワシ/キビナゴ/アジなどの小魚だ。

タチウオの釣りシーズン

タチウオは地域によって差はあるものの、ほぼ1年中狙うことができる。ただし、釣り方や場所によって釣果が出やすい時期は異なる。

時期によってはドラゴンといわれる大型サイズを狙うことも。

堤防シーズン(夏~秋)

接岸してくる個体が増える夏から秋(7月~11月頃)が、堤防からの釣りのハイシーズン。夕マヅメから夜間にかけて、餌となる小魚を追って活発に活動するため、電気ウキ釣りやルアーフィッシングで数釣りが期待できる。

船釣りシーズン(通年)

船からは基本的に周年狙うことが可能。とくに夏から冬にかけては、サイズも数もピークを迎え、「ドラゴン」と呼ばれる大型タチウオが釣れる確率も高まる。冬場は深場に落ちるが、船であればそのポイントを直撃できるため、シーズンオフはないと言える。

タチウオの釣り方

餌釣りとルアーフィッシングの両方で楽しむことができ、その釣り方はとても多岐にわたる。

ライトジギング

船からメタルジグを使って狙うルアーフィッシング。さまざまなアクションでジグを操作し、その日のヒットパターンを見つけ出す楽しさがある。フォール中のアタリが多いのも特徴。

ガツンとした強烈なアタリが楽しいジギング。

仕掛け例

  • ロッド: 6ft前後のライトジギングロッド
  • リール: ベイトリール/スピニングリール 3000~4000番
  • ライン: PEライン 0.8~1.2号
  • リーダー: フロロカーボン 20lb~30lb(5~8号)の先にワイヤーリーダーや太めの先糸を接続
  • ルアー: タチウオ用メタルジグ 80g~200g(パープル/ピンク/ゼブラグローなどが人気)
  • フック: バーブレスの4本フックなどが多用される

タチウオ専用ロッドも数多く販売されているので要チェック。

パープル、ピンク系のジグは必ず持っていこう。

ワインド

岸からも船からも楽しめるルアーフィッシング。三角形のジグヘッドに専用ワームをセットし、ロッドを大きくしゃくり上げて左右に激しくダート(ジグザグに動かす)させてタチウオの捕食本能を刺激する。

仕掛け例

  • ロッド: 8ft前後のワインド専用ロッド/シーバスロッド(Mクラス)
  • リール: スピニングリール 2500~3000番(ハイギア推奨)
  • ライン: PEライン 0.8~1.0号
  • リーダー: フロロカーボン 16lb~20lb(4~5号)の先にワイヤーリーダーを接続
  • ジグヘッド: ワインド専用ジグヘッド 1/2oz (14g) ~ 1oz (28g)
  • ワーム: ワインド専用ワーム(3~4インチ)、カラーはグロー(夜光)やピンクが定番

アクションのスピードや大きさなどで釣果が変わるワインドゲーム

電気ウキ釣り

夜の堤防釣りの代表格。キビナゴなどの餌を付けた仕掛けを潮に乗せて流し、電気ウキのアタリで釣る。ウキが海中に引き込まれる瞬間は興奮度が高い。

仕掛け例

  • ロッド: 磯竿 2~3号 4.5m~5.3m
  • リール: スピニングリール 2500~3000番
  • ライン: ナイロンライン 3~4号
  • ウキ: 円錐型電気ウキ 1~3号
  • ハリス: ワイヤーハリス #46~#48 長さ30cm~50cm
  • ハリ: タチウオ針 1/0~2/0
  • エサ: キビナゴ/イワシ/サンマの切り身など

天秤仕掛け

船からのエサ釣りの定番。天秤を使用し、オモリで仕掛けを底まで沈め、指示されたタナ(水深)を探る釣り方。シンプルながら奥が深い。

仕掛け例

  • ロッド: 7:3調子または8:2調子の船竿 2m前後
  • リール: 小型電動リール/ベイトリール
  • ライン: PEライン 1.5~2号
  • リーダー: フロロカーボン 8~10号
  • 天秤: パイプ天秤 40cm前後
  • オモリ: 船宿指定の号数(例: 60~100号)
  • 仕掛け: 1本針または2本針仕掛け(ハリス8~10号)
  • エサ: サンマやサバの切り身/コノシロなど

タチウオテンヤ

船釣りの主流となっている釣り方。ヘッドとフックが一体化したテンヤにイワシをワイヤーで固定し、積極的に誘いをかけてアタリを即座に掛けていくゲーム性の高い釣法。

ルアーゲームのような感覚で楽しめるタチウオテンヤ。

仕掛け例

  • ロッド: タチウオテンヤ専用ロッド 1.8m前後
  • リール: 小型電動リール/カウンター付きベイトリール
  • ライン: PEライン 0.8~1.5号
  • リーダー: フロロカーボン 8~12号を1.5m+先糸フロロ14~16号を30cm
  • テンヤ: 船宿指定の号数(例: 40~60号)
  • エサ: 冷凍イワシ

タチウオの食べ方

上品な白身は、さまざまな料理に合う万能選手。ただし、皮と身の間に小骨があるため、調理法に応じて骨切りなどの下処理をするとより美味しく食べられる。

癖が少なく、さまざまな料理を楽しめるタチウオ。小骨には要注意。

塩焼き

タチウオ料理の王道。適度な脂が乗った身は、シンプルに塩で焼くだけで絶品だ。皮目の香ばしさと、ふっくらとした白身の旨味を存分に堪能できる。

刺身/炙り

鮮度が抜群であれば、ぜひ試したいのが刺身。三枚におろして皮を引き、細切りにする。淡白ながらも深い旨味と独特の食感が楽しめる。皮目をバーナーなどで軽く炙った「炙り刺し」は、香ばしさと脂の甘みが引き立ち、さらに美味。

酒の肴にオススメしたいタチウオの炙り

天ぷら

大葉と一緒に揚げるのが定番。熱を通すことで身がふっくらと柔らかくなり、子供から大人まで楽しめる一品となる。揚げたてに塩や天つゆで食すのが最高だ。

ムニエル

バターと醤油の風味が、タチウオの上品な白身と見事にマッチする。小麦粉をまぶしてカリッと焼き上げることで、外は香ばしく、中はふっくらとした食感に仕上がる。

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