DAIWA公式サイトでスペックが公開され、大きな話題を呼んでいるDAIWA2020NEWベイトリールの旗艦モデル『スティーズAIR TW』。どうやら開発には、“ベイトフィネスの父”と呼ばれるK.T.F.(キャリルチューンドファクトリー)の沢村幸弘さんが関わっているようだが…極限のベイトフィネス機とウワサされる『スティーズAIR TW』の素性をつまびらかにしよう。
THEキング of ベイトフィネスが降臨!
近年、SVスプールとTWS(=Tウイングシステム)という最先端テクノロジーが進化を加速してきたことはご存知だろう。
両者の融合は単なる足し算に留まらない。回転性能が圧倒的に向上したSVスプールから送り出されるラインは、大開口部を備えるTWSによって放出を妨げない。
いわば高出力エンジンとアクセルの構図。
なおかつトラブルレスも実現する画期的な機構は、DAIWAバスフィッシング用ベイトリールの最高峰・スティーズSV TWをはじめとする各モデルに搭載。軽量リグからビッグベイトまで、幅広いウェイトのルアーに対応可能なことを世に証明してきた。
昨季2019年には、その頂きとも言える究極機・スティーズ CT SVが登場。そのコンパクトなフォルムのみならず、ベイトフィネスの領域もカバーするφ30mmSVスプールが魅せたインパクトは計り知れない。もはやベイトフィネスはSVの名の下に吸収されたも同然か…
否、DAIWAが進化のスピードを緩めることはなかった。
『スティーズ AIR TW』、極限ベイトフィネス機。新たな歴史が今始まる。
現代ベイトフィネスの父、沢村幸弘がスティーズ AIR TW全面開発協力!
DAIWA公式サイトに『スティーズAIR TW』の製品紹介ページがアップされた翌日、多くのアングラーがこのリールに関する衝撃の事実を知ることとなる。沢村幸弘さんが自らのブログで(11月26日更新)、『スティーズAIR TW』の開発に携わっていることを公言したからだ。
【Profile】
沢村幸弘(さわむら・ゆきひろ)
現代バスフィッシングの要・ベイトフィネスという釣法を世に知らしめたフロンティアにして凄腕チューナー。2007年に氏が手がけたKTFハイレブ(=高回転)チューンを元祖に、以降、続々と世を震撼させるモデルを発表。人呼んでMr.ベイトフィネスだ。
しかも沢村さんとDAIWAのチームプロジェクト『スティーズ AIR project』が始まったのは2018年春。我々の想像以上に長い年月を経て完成へと辿り着いたのである。
2019年のトップ50遠賀川戦では、クセのある同リバーで驚異的な強さを誇る沢村さんが下馬評どおり次点を大きく突き放すスコアで圧勝を遂げた。
その主軸となったリールは、発売直後で手持ちは「わずか2台」だったというCT SV700XHL。他ベイトフィネス機とは「明らかに異なる使い勝手」と発言していたのだが…。
実はこのモデル、AIRの礎となるKTFチューンが施されていたという。
ルアマガ取材チームが開発現場へと足を運んだのは、その2週間後のこと。事前情報はいっさいなく、ただ「密かに進めていたプロジェクトがある」という話を関係者から聞き出し、他言無用で取材を許可されたのだった。
そこで初お披露目となったのがAIRの全貌だ。
軽量ルアー対応の枢軸。史上最小口径で超回転“φ28mm AIRスプール”
CT SVのφ30mmをさらに凌ぐ超小口径スプール。
G1ジュラルミン製かつ超軽量マイクロBBを搭載して、薄肉軽量化かつ存分な強度を維持したブランキング加工。超軽量ルアーでも未だかつてない超回転を実現する。
AIRスプールの出力を加速するアクセル“TWS”
超回転でスプールから送り出されるラインが過剰な抵抗なくレベルワインドを通過。より軽量なルアーをより遠くへ、またフリーフォール性能も高める。
AIRブレーキシステムは外部調整ダイヤルで自身のベストなセッティングを選ぶだけで、AIRのエンジン部は期待を裏切ることはない。
ニッポンの匠が組み上げた超高精度コンストラクション
基準値が厳しいDAIWA強度テストの限界まで踏み込んだリールフットの下部には、国産の証が刻まれる。
東京都東久留米市の本社工場で名工がひとつひとつ組み上げ、寸分の誤差もなく仕上げたAIRはもはやアートの領域だ。
繊細なタッチで小ワザを導き出すNEWハンドルノブ“ハイグリップ I型フィネスノブ”
従来のおよそ半分にも迫る幅で、より繊細なタッチ感を可能にした新型ノブ。小型軽量ながらも確かなグリッピングで、ラインの回収能力をアシストする。
超次元ベイトフィネス! もはやパワーフィネスを凌駕か
「キャスティングとピッチング。その差が明確に分かれているからこそ、ストレスがない」
AIRブレーキシステムの絶対的アドバンテージ。沢村さんが19トップ50遠賀川戦で「わずか2台」のKTFチューンドCT SVだけを使い続けた理由がそこにある。
高回転時にはしっかりとブレーキは効くが、低回転時はインダクトローターが飛び出さずに低弾道で撃ち込める。外部ダイヤルで一度マグネットのセッティングを決めれば、いわばオートマチックにスプール自体がON/OFFを決める。名機T3AIRから始まった画期的な構造の系譜だ。
「ハンドル側プレートの幅を狭くして軽量化。全体的なウエイトダウンに貢献するだけじゃない。投げ感が圧倒的に変わる」
重心が竿の直線上に集中することで、より軽いルアーをより高い精度で撃てることを沢村さんは知っていた。ハンドルが回転軸に寄ることで巻きやすさにも繋がる。
「カバーの隙間がまるで広くなったように感じる。空間コントロールの切り札だね」
11月、最終テストで語った沢村氏の言葉が実に印象深く残る。
極小ワームのノーシンカーもベイトで戦える時代の到来。それを可能にするリールこそ、『スティーズAIR TW』なのである。
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