「究極の血抜き・津本式」は誰にでも出来る、魚という食文化の革命だった! 魚の食としてのポテンシャルは跳ね上がる!



先日、津本式書籍化プロジェクトを開始するために、「究極の血抜き・津本式」を提唱する津本光弘さんご本人に東京に来ていただき、記者は津本式の簡単なレクチャーを受けることになりました。津本式とは、魚屋に勤める、津本光弘さんが開発した魚の仕立て方のこと。この締め方、仕立て方で処理した津本さんの送り出す魚は、超・長期熟成に耐えうる食材に変化します。鮮度が命、鮮度こそが魚の味だった。そんな時代がもしかして終わるのかもしれない。そんな予感さえする、理論と技術。そして、熟成された魚の味……。<2020年3月5日加筆修正>

【Profile】津本光弘(つもと・みつひろ)

釣り人、料理人、魚屋などなど。現在大注目の魚の締め方「究極の血抜き・津本式」の開発者。現在は宮崎県の長谷川水産に勤めながら、自身の開発した「津本式」の研究、普及に勤める。

旬という言葉や、高級魚に騙されるな。食としての魚の価値は「高められる」

食材の熟成という概念、技術は、近年、食のプロの間でも特に注目される分野でもありますよね。熟成肉に始まり、足がはやく、腐敗しやすい魚でさえも「熟成魚」としてもてはやされています。しかし、どちらもなかなか素人レベルではそれを家庭で実現し、味わうことのできないある意味プロの技として紹介されてきました。

サバのお寿司。津本さんいわく「サバはコンディションにもよるけど、熟成5日目くらいが美味しいよ」こちらは西新宿の「sushi bar にぎりて」さんで食べられる津本式処理を行われて熟成させたもの。しめ鯖でないですよ! 生のお寿司ですよ! ちなみにやれば、1ヶ月くらい鮮魚のまま熟成させることも可能! サバでですよ!(処理法があります)

特に魚ともなると、方法次第では危険な「腐敗」と直結しますので、素人がやるべきではない分野だったと言えます。ところが、今回紹介する「究極の血抜き・津本式」の方法は比較的安全に、その分野に素人が足を踏み入れることが出来るエポックメイキングな理論と技術として開発者の津本光弘さんにより公開されました(現在<2020/3/5更新>、YouTubeで190本以上の、魚の締め方、処理の方法が公開されています)。

いち早くそれに気づき、実践に移したのは、その技術と最も親和性の高い釣り人だったんですね。それはなぜか。津本式の効果を始まりの段階から、魚にその技術を注ぎ込めるのは生きた魚とニアに接することのできる釣り人か、漁師しかいないからです。本職として津本式という仕立てを実践する、魚屋の津本さんでさえ、その領域にあまり立つことができないと言います。

津本「1から10までの時系列があるとするでしょ。僕のやってる仕立て方は、数字の若い段階から取り入れると、その魚をその魚のポテンシャルの最大レベルまで引き上げることができるんです。それができるのは1、つまり生きてる魚を釣り上げて、即座に閉めれる立ち位置にいる釣り人か漁師だけなんです。つまりは新鮮な魚を手に入れられる可能性が、極めて高い人たちが釣り人で、釣りってのは身近な趣味でしょ。僕は魚屋ですけど、せいぜいさっきの時系列で言うと3〜4くらいからのスタート。1〜2に立てる釣り人には勝てないんですよ」

釣れた魚は生きている。生きている状態から即、手順をもって締めるのが旨さにつながる。脳締め→神経締めの手順が逆転しても魚の味は変わると言う。

その親和性の高さ故に、「津本式」という魚の処理の方法は、釣り人から高い注目度を受け、そして、いま、その津本式処理をされた魚のポテンシャルを知って、プロの料理人たちがざわつき始めました。魚という食材が大げさでなく、違う次元に行くのです。従来の魚の美味しさを否定するわけでではないですが、熟成という技術をもって、魚の味が変貌するのだ。

なので、津本式で仕立てられ、熟成された魚を食べてみてください。味には好みがありますので、これが至高だとは言いません。でも、明らかに新しい食の形として、「魚」の味が変わるのです(個人的にカルチャーショックを受けました)。

津本式で処理されたガラは、また次元の違う旨味を広げる。こちらガラスープ。(sushi bar にぎりて)


津本式の理屈をざっくり書いてみる

事細かく書くと、それこそ本が1冊作れるレベルのノウハウですし、それは本に譲ります(2020年1月20日発売!)。なので、概念的なことを含めて、ざっくりQ&Aでまとめてみます。

Q.津本式で締めると何が変わるの? どういう原理?

A.魚の持つ旨味成分は熟成させることで、その量が変化すると考えてください。その最適な時期は、従来の締め方では、腐敗を招くため、旨味のピークとなるタイミングで食すこと(提供すること)は難しかったのですが、津本式の処理を正しく行えば、腐敗の原因となる魚の血液を抜き出すことができ、容易にそのピーク時まで熟成させることが可能です。そして、いままであまり知られていなかった魚の旨味成分が出現します。また、血に所以の魚の癖や臭みもとりのぞかれますので、その魚が本来持つ美味しさが引き立ちます。なので、いままで、見向きもされなかった種類の魚が美味しく…、また、ウナギのように血に毒があるとされる魚も「刺し身」で食べることが可能になります(ちなみにウナギは技術がいります)。

ウナギの半生寿司。「どうしても生って、なかなか食べられないから食べてほしい」とは津本さん。食べたスタッフによると「意外ですが、ウナギです。ウナギの味がずーっと続きます。不思議です。広がる脂といい、ちょっと新しかったです」(sushi bar にぎりて)

Q.寝かせれば寝かせるほど、美味しくなるの??

A.魚のコンディションや種類によります。旨味成分が最大値に達するピークの見極めについては、料理人の範疇です。いままで知られていたイノシン酸由来の旨味でない成分の優位な立ち上がりタイミングなどがあり、その見極めが大事です。

Q.動画を見ました。独特な器具を使って処理をされていますが、あれがないと津本式は実践できないのでしょうか?

A.いいえ。一般的なナイフや包丁、ホースがあれば、津本式をほぼ100%の状態で処理できます。毛細血管レベルまで血抜き処理をしたいというプロやこだわりのある方は、専用のノズルを使えば便利ですよということです。100%が120%になるくらいのニュアンスで捉えてください。

Q.なんで、魚をはやく締めたほうがいいの?

A.魚に対して、最もストレスが少ない状態で、脳締め→神経締め→血抜き処理ほかをすることによって、旨味の元を保持できます。この処理が早ければ早いほど、魚の持つ「旨味」というポテンシャルを高めることができるからです。締め方の順番にもそれぞれ理由があります。

Q.魚屋やスーパーで買ってきた魚でも津本式は実践できますか?

A.はい。できます。ポテンシャルはどうしても落ちますが、血抜きの技術ですので、魚屋やスーパーで買ってきた魚でも実践できます。ある意味、ポテンシャルの低い魚のレベルを引き上げる仕立てでもあります。ちなみに、より美味しくするのは料理人さんのテリトリーです。

Q.熟成させないと津本式は美味しくないんでしょうか?

A.すぐに食べていただいても大丈夫ですよ。津本式による血抜きの威力は、鮮度が高い魚でも実感できますよ。

Q.血抜きをすると、血の旨味はなくなりませんか?

A.血の成分を紐解くと、血にも多少の旨味があることがわかっています。ですが、その血の旨味由来のものを大事にするか、それを抜くことによって日が経つごとに変化していく美味しさをとるかは、好みの問題と言えましょう。新鮮なものは血を利用できますが、そうでないものは利用しにくくなります。ですので、一般的には抜いてしまったほうが美味しく食べられるのではないでしょうか。血の旨味を補填する調理技術はあります。

さぁ、興味が湧いてきましたでしょうか。今後も、この締め方「津本式」のポテンシャルをご紹介していきます。最後にゃ本出しますので、ぜひご期待ください。コダワリすぎが玉に瑕な編集者が、ガリガリつくりましたよろしくお願い申し上げます。

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