「スピード感が必要な現在のバス釣りにはハードベイトが欠かせない」と語る金森隆志さんのオカッパリ攻略法とは? 今回は金森隆志による岸釣りにおけるハードベイトの『総論』。時代の最先端を走るために彼はいったい何を思考しているのか。カナモの真髄に迫る。
「粘りスト」金森隆志に心境の変化…?
金森隆志さんが本連載『岸釣りハードベイト選』において幾度となく口にしていたのは「スピード感」という言葉。しかしカナモは「粘りスト」。その釣り場のマックスサイズを仕留めるまで動じず、狙い通りにでかバスを獲ることで数々のドラマと伝説を築き上げてきた男だ。
そんなカナモに「速さ」という言葉を冠することには違和感があるかもしれない。しかし近年、彼自身のスタイルにも変化が見られるという。移りゆく時代の流れ、刻々と変化する釣り場の状況にマッチしたハードベイト攻略を語っていただいた。
どんどん上がっていくバス釣りの「スピード感」
バスの慣れに対応していく必要がある
当たり前のことなんですが、世の中すごく変わってきてますよね。10年ひと昔というように、インターネットが普及して、スマホが普及して便利になっていったり、色々と気づかないうちに変わっていることも多くて、スピード感もどんどん上がっていって、これは岸釣りでも一緒だなと。
ひとつは情報の多さと早さ。特にここ数年はSNSの普及でテクニックもルアーの情報も、ものすごく多くて移り変わるスピードが早くなっている。魚がその釣り方やルアーによって叩かれて、スレるのも早くなった。とにかく変化が目まぐるしい時代だと思います。
しかも魚は増加傾向ではなく、どの釣り場も本来の個体数に落ち着いてきている。ため池ならため池、河川なら河川に適した数になったと思います。
オカッパリの“限界”と、打開策としてのハードベイト
これってものすごく根本的なことなんですけど、岸釣りってキャストで届く範囲内でしかバスが釣れない。でも、魚の数が減ってきて、1尾1尾が賢くなってきているのに、それを意識している人が少ないと思います。この現状を打破するためには、ハードベイトの存在は欠かせない。
ハードベイトがどれだけ大事かというと、まず飛距離が出る。そして投げて巻く釣りなので手数が増えます。魚が賢くなっているなら、捕食を強く意識するタイミングと場所、いわゆる「時合い」をどう絡め取っていくかが今後の岸釣りにおいては欠かせないと思います。
「フィネス」の釣りは万能ではなくなってきた
一方でフィネスは「点」を釣る釣りです。テンポよく場を探りにくいオカッパリにおいては、状況次第でフィネスが効果的じゃないことも多い。
「釣れないからフィネス」という考えがあるけど、この考えも通用しにくくなってる。今まではフィネスはいつでも無難に釣れる釣り方だったけど、状況を理解した上で繰り出していくものに変わりました。
陸王を例にとって言うと、三原(直之)が五三川でギルロイドジュニアで50アップを釣ってキムケンに勝ちましたよね。あの瞬間にエイトトラップを繰り出せたから、あの50アップが釣れた。フィネスなら釣れたかと言うと、それはどうかなと思います。
これから求められるのは“こだわりすぎないこと”
今、時代のエッジ付近にいるアングラーはハードベイトの比率が間違いなく高くなってる。
キムケンは昔からハードベイト中心でしかも釣り方が年々進化しているし、繊細なマイクロピッチシェイクを得意とする川村さんですら、スピナベサイトで昨年の陸王レジェンドで優勝しました。伊藤巧もその典型ですよね。いろんなルアーを熟知して、その都度合ったものを繰り出すのが得意です。
ハードベイトってトップでもクランクでもルアーひとつひとつに思い入れが強いものだけど、それとは真逆の割り切った考え方をしないと正解にたどり着けない、っていうのが今のバス釣りなんじゃかないかと思います。
ルアーマガジン2020年9月号の陸王第2戦では青木大介選手と対戦!
次号ルアーマガジンの陸王戦は金森隆志VS青木大介の超ビッグカード。これまで語ってくれた己の理論を、金森隆志はどこまで活かし切ることができるのか。レジェンド陸王、カナモの活躍から今後も目を離すべからず!!