ジョイントに一家言ある各界の賢人たちに、エピソード、理論、テクニックなど、ジョイントにまつわるあれこれを聞いてみた金言集。9つのエピソードを読み終わると、ジョイントルアーの全体像が見えてくれるかもしれない。今回は、O.S.Pにて数々の名作を手掛けた小林明人さんが話題の火蓮(カレン)について語ってくれた。
【Profile】
小林明人(こばやし・あきひと)
JBトップ50で活躍するバスプロであり、ルアーデザイナーとしてO.S.P.にも力を貸す。ドライブビーバーなどをデザインした才人だ。スピニングリールを使わず、スピンキャストリールを使用することでも有名な異色の達人。
奇才・小林を悩ませたビッグベイトの難題
全国のビッグベイターが心待ちにしているルアーがある。それはO.S.P.の『火蓮(カレン)』。開発しているのはトップ50でも活躍する小林明人さんだ。火蓮は、ヘッド部がハード素材で、後部ボディがワーム素材というハイブリッドタイプ。そのワーム部分にスリットが入っていて、ジョイントの役目を果たしている。
速巻き能力と障害物回避性を両立させた、ビッグベイト。ワーム素材とハード素材を組み合わせたのが大きな特徴になっている。今年の春に発売予定だったが、コロナの影響などで秋頃に延期。それも決定ではないという。
小林「普通のハードルアーのジョイントだと、可動域くらいしか調節できない。その点、ワーム素材のボディにジョイントを設定すると、跳ね返る力や、動き出しのレスポンスも調節できます」
その特性を生かして、火蓮に求めたものは“ウォブル100%”のアクションだ。
小林「リップ付きでロールしないビッグベイトはほとんどありません。だからロールを消せばロールにスレた魚には効くはずです。それに速引きで使いたいので、その意味でもロールは消したかった」。
ロールアクションは速引きには向いていない。でも、カバー回避能力は持たせたいので、リップは欠かせない。リップはロールを産み出すので、難題だった。それを解決させたのは、アクションを生まないリップだった。
小林「火蓮はワームボディを取り外してヘッドだけにすると、リップが付いているのに、I字系のように真っすぐ泳ぎます」
でも、ワームボディを装着すると、ジョイントが水を受けてアクションを起こす。それに触発されてリップもアクションを産み出す。その配分はそれぞれ50%くらいだという。この絶妙なコンビネーションが“ウォブル100%の速巻き性能”と“障害物回避能力”を両立させたようだ。
小林「ビッグベイトで高速引きしながら、サンドバーで砂煙を上げたり、何かに当てたりする釣りは、今までできなかった。それをできるようにしたのが火蓮です」
ワーム素材なので、曲がった状態から戻ろうとする力が働く。素材の硬さや厚みで、その力は調節できるのだ。一方、ハード素材のジョイントはヒートン同士がこすれ合う音を出したり、ダート性が高いなどの特徴がある。
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