年々難易度が高まる各地のバス釣りポイント。しかし、フィールドを熟知した達人たちは新しい解決法を生み出し続け、釣り続ける。その秘訣を、ちょっぴりおすそわけしてもらいましょう。松本光弘さんはトップウォーターを専門とするルアー工房「痴虫」のビルダー。手ずから製作するだけあり、トップへの思い入れは深い。その一方で、いくらこだわってもどうしても魚が出ないことも多いはず。そんなとき、痴虫はどうする? キーワードは…「トンボパターン」!?
【Profile】
松本光弘(まつもと・みつひろ)
トップウォータールアーブランド『痴虫』ビルダー。趣味的な領域を超えた「試合で武器になるトップ」を追求し、積極的にトーナメントにも挑戦中。ハンドメイドのウッドルアーに加え、近年はインジェクションモデルにも領域を広げている
1尾を絞り出せる「ダブルスイッシャー」
約10年前からH-1グランプリや牛久沼たまやオープンなどに参戦を続けてきた松本光弘さんだが、ここ数年は亀山湖のローカルトーナメントに軸足を移している。その理由は?
松本「よそに行ったときに楽だからです(笑)。亀山湖はプレッシャーもキツいし、ぶっちゃけツラいことも多いですけど、釣りの上手い人ばかりで勉強になる。ただ、最近は上流でのサイトフィッシング以外ではなかなかビッグフィッシュが出ません。トップウォーターの最盛期を迎えても、がんばってなんとか釣っているのが実情です」
トップオンリーでツワモノ揃いの大会に挑んでいる時点で大きなハンデがあるわけだが、そんな状況でも“なんとか釣れる”方法があるのだろうか。
松本「ダブルスイッシャーに頼ってます。トップの世界では昔から『困ったらダブルスイッシャーの棒引き、ホトケ引き』というセオリーがあるんですよ。釣果にカウントされないぐらい、釣れて当たり前の技」
繊細な波動を生むダブルスイッシャーを、超低速で引く。i字系やシンキングプロップがメジャーになる以前から、トッパーたちはこの技を知っていたのだ。
松本さんの具体的なローテーションを挙げると、まず一番手に来るのがギルメキシコ70。ブルーギルをイメージした扁平ボディのプロトタイプで、浮き姿勢の異なる「(生)・(死)」の2タイプを製作している。
松本「細身のダブルスイッシャーよりも、こういうギル型のほうがサイズを選びやすい。さらに言えば(生)よりも横浮きの(死)のほうが、明らかにデカい魚が反応します」
押さえのトンボ・パターン
ギルメキシコだけで展開できるのが理想だが、そうもいかない場合は細身のダブルスイッシャーにローテーション。カバーの外側を巻くときはニューメキシコ100やトンボメキシコ(いずれもプロトタイプ)を選ぶ。これらは松本さんにとって「ベイトフィッシュや昆虫を意識したタイプ」。特に最近の亀山湖ではトンボが捕食されている場面を数多く目撃しているという。
松本「飛んでいるトンボの真下を、スイッチが入ったバスがワァーッと追いかけていたりするんです。そういうときはシルバー1色に塗ったものを選んだりしています。トンボに見えているかどうかわかりませんが」
また、カバー最奥に撃ち込みたいときは小さい海馬ダブルスイッシャー(55&75)が扱いやすい。
松本「この場合は、着水後にパンパンと首を振らせるアクションも入れます。長い距離を追いづらい魚に対して、首振りで時間を稼ぐイメージ。ただしロッドワークを嫌がるタイプもいるので、棒引きと両方を試したほうがいいです」
最後に、トップウォーターを前提とした亀山湖でのエリア選択について聞いてみた。かつては平均水深の浅い上流域のほうが魚との遭遇率が高いと感じていたそうだが…?
松本「最近はプレッシャーで潰れてしまうことも多いので、おもに川筋の下流から本湖でやってます。エリアはいろいろありますが、9月に入ってもシェードは大事。ほかの人が入りづらいオーバーハングのなかや、クモの巣が残っているようなスポットを探してみてください」
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