【バス釣りセオリー検証07】「まずはサーチベイトで」の誤解【北大祐×木村建太】



Webメディアや雑誌、テレビやYouTubeなどでまことしやかに語られてきた「バス釣りのセオリー」。それを学ぶことでレベルアップできるはずが、実は逆効果になっているのかもしれない。まずは、バスアングラーなら誰もが見聞きしたことのあるフレーズを検証していこう。そんな目的で全32回+αの様々なバス釣りにまつわる「セオリー」の検証を、北大祐さんと木村建太さんの対談で贈る新刊ムック『僕たちのバスフィッシングに、セオリーは必要ない。』。

今回は「検証07 『まずはサーチベイトで』の誤解」。特定のルアーを使うサーチベイトという概念自体にとらわれてはいけない? 全文まるごとお届けします!

北大祐×木村建太、おふたりのプロフィール

【Profile】

北大祐(きた・だいすけ)

1982年石川県出身。ヒューマンフィッシングカレッジ卒業後、プロトーナメントの道へ。フィネス全盛期にありながら、クランクベイトやスピナーベイトなどハードベイトを多用するスタイルに活路を見出し、以降、国内最高峰カテゴリーJBトップ50において通算4勝、年間優勝2回、Basserオールスタークラシック3勝など、日本の主要タイトルを総なめにする。2018年に自身のブランド『ペイフォワード』を設立、ワンエイトやKITなどをリリース。2019年からはバスフィッシングのさらなる深奥を求めてアメリカでのトーナメント活動を本格化させている。

【Profile】

木村建太(きむら・けんた)

1982年京都府出身。10代からJBトーナメントに参戦するが、トップカテゴリー昇格を前にして渡米、FLWのコアングラーとしてエントリー(2005~2007年)。帰国後は琵琶湖でのガイド業やビワコオープン参戦などで注目を浴び、フロッグやパンチングなどのパワーゲームがトレードマークに。2013年からはバスマスターオープンにフル参戦、2021年にエリートシリーズ昇格を果たした。スリザークやバスターク、イヴォーク・シリーズなどルアーデザイナーとしても高く評価されている。2021年より、自身のプライベートロッドブランド『ウルフダウン』を始動。

検証07 「まずはサーチベイトで」の誤解

すべてがサーチベイト。釣りのスピードは関係ない

「サーチベイトって具体的に何のことだと思います?」

――一般的にはファストムービング系ルアー、スピナベとかクランクを指すことが多いのかなと。

「『サーチ=バスを探す』という趣旨で考えるなら、ルアーである以上はすべてが『サーチベイト』だと僕は思ってます」

木村「エブリキャストサーチ」

「朝だけ探すわけじゃない。昼も夕方も、ずっと探し続けるわけだから」

サーチベイトという概念に囚われないことも大切。

――まずファストムービング系でフィールド全体をチェックして、状況を把握して、そこから細かな釣りや、スローな展開に落とし込んでいく。それがセオリーなのでは?

「過去のバス釣り観はそうだったよね、っていうだけです。『状況を把握して』というのも怪しくないですか。最初は理想を追い求めてアグレッシブな釣りをしていても、1時間もバイトがなければ、すぐにルアーを変えちゃってませんか。それだと状況把握どころか、なんとなく気まぐれでやってるだけになっちゃう」

木村「速い釣りからスタートして、だんだん遅くしていってドツボにハマるケースもありますからね。もちろん、よく知らない湖なら最初にダーッと見て回りますけど、それは僕がそうやっているだけで、別にセオリーというわけじゃない。朝イチにライトリグから始めたっていいんです」

「ぜんぶ魚を探して、釣るための道具ですからね」

木村「『サーチ』って呼ぶから勘違いしやすいのかも。朝イチにとりあえずコレで始めます、っていうルアーは『スターティングベイト』に過ぎないから。たとえばカバー撃ちでスタートして、やっていくうちに何かヒントが現われて、最終的に仕上げるのがトップウォーターなこともあれば、ビッグベイトに辿り着くこともある。もしくは朝から晩まで1種類でやり倒したほうが結果が出たりもする」

「『最初はサーチして、途中で正解がわかってスローダウン』のような1日の展開をイメージしすぎです。そんな絵に描いたような状況にはなかなか出会えません。フィールドもバスも刻一刻と変わっていくんだから、ルアーはなんであれ、ずっとサーチし続ける意識を持つことが重要だと思いますよ」



他の検証はこちら!

本書の掲載内容はこちら!

『僕たちのバスフィッシングに、セオリーは必要ない』発売情報

過去の常識は非常識!? バス釣り脳をアップデートせよ!!

北プロと木村プロは、なぜセオリーの逆を伝えようとするのか。かつてセオリーとされた事柄のなかに、たくさんの誤解が混じっていたのではないか?
トーナメントプロとして活躍の場を本場アメリカへ移し、最先端を走り続ける北大祐と木村建太。次世代筆頭と言うべき2人が、半世紀にわたり日本で積み上げられたバス釣りのセオリーとウェブ上に溢れる釣果に結びつかない情報をバッサリと切り捨て、アップデートされた「現代のバスフィッシング様式」を語りつくす。

●発売日:2022年3月17日
●定価:1,980円(税込)