【バス釣りセオリー検証15】ルアーの標準ウェイトは「3/8oz」って本当?【北大祐×木村建太】



Webメディアや雑誌、テレビやYouTubeなどでまことしやかに語られてきた「バス釣りのセオリー」。それを学ぶことでレベルアップできるはずが、実は逆効果になっているのかもしれない。まずは、バスアングラーなら誰もが見聞きしたことのあるフレーズを検証していこう。そんな目的で全32回+αの様々なバス釣りにまつわる「セオリー」の検証を、北大祐さんと木村建太さんの対談で贈る新刊ムック『僕たちのバスフィッシングに、セオリーは必要ない。』。

今回は「検証15 ルアーの標準ウェイトは『3/8oz』って本当?」なんとなく釣り具店のラインナップのボリュームゾーンになっているように見える「3/8oz」そこには秘密が……。全文まるごとお届けします!

北大祐×木村建太、おふたりのプロフィール

【Profile】

北大祐(きた・だいすけ)

1982年石川県出身。ヒューマンフィッシングカレッジ卒業後、プロトーナメントの道へ。フィネス全盛期にありながら、クランクベイトやスピナーベイトなどハードベイトを多用するスタイルに活路を見出し、以降、国内最高峰カテゴリーJBトップ50において通算4勝、年間優勝2回、Basserオールスタークラシック3勝など、日本の主要タイトルを総なめにする。2018年に自身のブランド『ペイフォワード』を設立、ワンエイトやKITなどをリリース。2019年からはバスフィッシングのさらなる深奥を求めてアメリカでのトーナメント活動を本格化させている。

【Profile】

木村建太(きむら・けんた)

1982年京都府出身。10代からJBトーナメントに参戦するが、トップカテゴリー昇格を前にして渡米、FLWのコアングラーとしてエントリー(2005~2007年)。帰国後は琵琶湖でのガイド業やビワコオープン参戦などで注目を浴び、フロッグやパンチングなどのパワーゲームがトレードマークに。2013年からはバスマスターオープンにフル参戦、2021年にエリートシリーズ昇格を果たした。スリザークやバスターク、イヴォーク・シリーズなどルアーデザイナーとしても高く評価されている。2021年より、自身のプライベートロッドブランド『ウルフダウン』を始動。

検証15 ルアーの標準ウェイトは「3/8oz」って本当?

ルアーウエイトの基本は「1/2oz」である

釣り人はウンチクが大好き。新製品の新機構を絶賛したと思えば、入手困難な人気アイテムを奪い合ったり。道具に釣られているのは魚なのか、ヒトなのか……!?

――釣り具店に並んでいるハードルアーやラバージグなどを見ると、3/8oz(約10.5g)のラインナップがもっとも豊富です。まずはこのウエイトを揃えればOK、ということなのでしょうか。

「いやいや、むしろ軽すぎる。基本は『ハーフオンス』ですよ」

――1/2oz? 約14gですよね。重すぎません?

「重くて何かデメリットがありますか」

――それは……。

木村僕も1/2ozかな。チャター系に関しては浅いところを引いてバスを浮かすことが多いから3/8ozを多用しますけど、それ以外はもっと重くていい。むしろみんなが軽いのを投げてるフィールドほど、ウエイトを上げる意味があると思う」

――プレッシャーが高かったり食わせづらいときほど「小さく軽くする」のがセオリーでは?

「『あいたたた~』って感じです(笑)。それはライトリグを使ったフィネスの発想に過ぎない。たとえばスピナーベイトも、スピニングでしか投げられないほど『小さく軽く』していけば、バイトは増えるかもしれません。小バスの数釣りはできると思う。でもそれは同時に、本来のルアーパワーを削ぐことにもなってるんです」

木村「ルアーが軽いってことは、単純にスピードも落ちるわけで、それで見切られてる可能性をもっと考えないと。『スローにやれば食う』っていうのは大きな誤解

「軽いルアーは正確なキャストを決めづらいし、向かい風だと飛ばないうえに、目立たないからバスのそばにアプローチする必要も出てくる。つまり、わざわざ自分で難易度を上げてるのに等しい」

木村「ルアーがでっかいほうが、いろいろアバウトになって簡単なのに」

中層でジグを躍らせる『ジグスト』など、ウエイトによって性質が一変するルアーは多い。釣れないのはウエイトが軽すぎるせいかも?

「ルアーを小さくすれば食うだろうという理屈は、僕からすると『ルアーをエサに近づけようとする行為』なんですよ。だったら、『最初からエサ使ったらエエやん』と思ってしまう。ライトリグならまだしも、ハードルアーとかフルサイズのジグの話でしょ? 最初から小さくする意味がない」

木村「ランボルギーニに軽自動車のエンジン載せるようなもの」

「そうそう(笑)。そもそもベースのサオが軟らかすぎるのかもしれません。ミディアムパワーがバーサタイルだとされがちだから、自然と選ぶルアーも3/8oz前後になっちゃう。タックルも含めて見直したほうがいいです」



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『僕たちのバスフィッシングに、セオリーは必要ない』発売情報

過去の常識は非常識!? バス釣り脳をアップデートせよ!!

北プロと木村プロは、なぜセオリーの逆を伝えようとするのか。かつてセオリーとされた事柄のなかに、たくさんの誤解が混じっていたのではないか?
トーナメントプロとして活躍の場を本場アメリカへ移し、最先端を走り続ける北大祐と木村建太。次世代筆頭と言うべき2人が、半世紀にわたり日本で積み上げられたバス釣りのセオリーとウェブ上に溢れる釣果に結びつかない情報をバッサリと切り捨て、アップデートされた「現代のバスフィッシング様式」を語りつくす。

●発売日:2022年3月17日
●定価:1,980円(税込)