ヒロ内藤さんに聞いた「ペンシルベイトは死んだのか? 説」【横沢鉄平の※諸説あります】

バス界には様々な通説がある。しかし通説があれば風説や異説も飛び交い、諸説がある。そんな諸説を深掘りする連載企画、今回のお題は「ペンシルべイトは死んだのか?」そういえば最近、ペンシルべイト使っているだろうか? 持って行ってる? 最後に釣ったのはいつ? 実はもう何年も前だったりして。そんなペンシルべイトの現在地を探り、安否の確認をしてみよう。アメリカと日本のバス釣りに精通する、ヒロ内藤さんに伺った。

●文:ルアーマガジン編集部

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ヒロ内藤(ひろ・ないとう)
1982年、アメリカ留学中に日本の雑誌によるバスマスタークラシック取材をサポート。それをきっかけにバグリー社に入社。その後プラドコ社に勤務。長年、アメリカと日本のバスフィッシングの架け橋を務めてきた偉人の一人。現在Youtubeなどのメディアで活躍中。

死んだのではない殺されたのだ

最後にお話を伺ったのは、アメリカのバスシーンを知り尽くし、日本のバスアングラーのために尽力してきた重鎮、ヒロ内藤さん

内藤「最近の日本のルアーを見て凄く心配になるのは、本物っぽいのが一番いいという傾向が強いことだね。あとは、投げれば勝手に食ってくれるのがいいルアーということになってる。それがダメとは言わない、でも、それでいいのかなと思うね」

なぜ、エサを使わずに、わざわざルアーで釣りをしているのか? その原点に立ち返れば、内藤さんの言わんとしていることもわかってくる。

内藤「1902年、ジェームズヘドンが僕たちアングラーに向けて、カタログ上に残したメッセージがある。『ルアーを自然界に生きる生物に似せたところで、得るものはない』とね。ヘドン社では、その信念が今までずーっと受け継がれている。僕も何もしないでルアーが勝手に食われちゃうような、そんな釣りで釣れる魚は欲しくないのよ。折り重なる枝と枝の間を通す究極のキャストでポイントに入れて、そこから2回くらいアクションさせて、ドカーンと出たらそれは楽しいじゃん。それが僕の求める釣りの世界なんだ」

長い前置きとなったが、内藤さんはついにペンシルについて言及し始めた。

内藤「ペンシルは死んだ…と言ってるでしょ? 僕は違うと思う。ペンシルはみんなが殺したんだと思ってる。だってさ、誰も買わない、誰も使わない、だから話題に上がらない、だから売れないという負のスパイラルになっているよね。ペンシルを使って釣れる人と釣れない人の違いはというと、ストライクを作り出すための仕掛けを、どれくらいやってるかというのが重要なんだ。例えば切り株の横ギリギリを通して、1回コツンと当てるのは誰でもやる。そこをハーフトゥイッチというテクニックを使って、何度もしつこく当ててみるとかね。すると、ドーンと出たりする」

ハーフトゥイッチとは、左右どちらか一方のスライド幅を半分にして、ペンシルの泳ぐコースを曲げていくテクニック。こうした技術を駆使してバスを騙したときの楽しさは、また格別なのだ。

5人の諸説を総合すると、出しどころさえ間違わなければ、ペンシルも十分活躍できそうな気がしてきた。死んではいないけど、仮死状態みたいなものかもしれない。日本のルアーは、小手先のギミックを練り込み過ぎた感がある。ただ、ペンシルだけはそうはいかない。なぜならギミックを入れると、ある意味ペンシルではなくなってしまうからだ。だからわかりやすい進化がなく、影が薄くなったのかもしれない。ペンシルのギミックは、自分の腕で加えればいい。それを知れば、ペンシルの本質に開眼するだろう。内藤さんの言葉で、目が覚めた気がした。

ヒロ内藤さんのペンシルセレクト

スーパースプーク・ボイオ【へドン】

1~2年前にヘドンから発売された小型ペンシル。オーソドックスなデザインだが、使い易くてよく釣れる。内藤さんオススメの1本。

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