アカエイと遭遇し対策の重要性を改めて認識。ウェーディング時のリスクと被害を低減する方法を考察

ウェーディングの釣りで必要不可欠なエイ対策。近年、個体数が増加傾向にあるという調査結果もあり、ますますその必要性、重要性が高まっている。そこで、鋭い毒針を持つアカエイの被害リスクを少しでも下げるために、何が必要かを考察した。

●文:ルアマガプラス編集部

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東京湾を始めとした都市港湾部にも広く生息。海水浴場に入ってくる場合も

スズキやチヌ(クロダイ・キビレ)のルアー釣りは、ここ最近のコロナ禍の影響もあり多くの釣り人に人気のターゲットだ。東京湾などの都市港湾でも、ウェーダーと呼ばれる胸あたりまである胴長を着用し入水して釣りをするウェーディングを愛好する人も多い。

干潟や河川の河口付近でウェーディングを楽しむ釣り人を見かけることが多い。

このウェーディングの釣りをする際に気をつけたいのが、エイ(主にアカエイ)の存在である。あまり一般的には知られていないが、アカエイは毒の針を持つ生物で、人にとって危険な面をもつ生物。また、釣りだけでなくビーチなどでの海水浴でも遭遇する可能性はある。そこで、アカエイはなぜ危険なのか、そして被害のリスクを下げる方法はあるのか? といったことを考察していこう。

【アカエイ】
比較的、温かい水温を好み、浅瀬の砂底のエリアに多く生息。砂の中の貝や甲殻類、小魚などを捕食する。自ら人を襲うということはないが、誤って踏みつけたり近寄って驚かせると、刺されることがある。

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エイが人を狙って襲うことはまず考えられないが…

アカエイは砂底に潜んでいることが多く、貝類や甲殻類、小魚などを捕食しているおり、人を狙って襲うということはまずない。特に、陸上にいれば全く心配する必要はないのだが、ウェーディングという釣りは、海の砂底のエリアに入って行うことが多い。そのため、普通ならあまり考えられないアカエイと人間(釣り人)との不幸な遭遇が発生してしまうのである。また、エイはその個体数が増加傾向にあるという調査結果もあり、ウェーディング中に出会ってしまう確率も高くなっていると考えられる。

河口や干潟などはアカエイが好むエリア。

人を狙って襲わないアカエイだが、人が不用意に近づいてきたり、あるいは砂底で潜んでいるアカエイを踏んづけたりすると、身の危険を感じて攻撃してくるのである。アカエイは尾の付け根付近に毒のあるトゲを持っており、尾を人の脚などに巻きつけたり打ち付けたりしてこの毒針を刺す。

この毒針は非常に鋭利で、ゴム長や靴下、ズボンなどは簡単に貫通する。毒針部分を拡大した下の写真を見るとわかりますが、両サイドにはカエシのようのものがついていて、一旦刺さると抜けにくくなっている。

アカエイの毒性は強く、刺された周辺の組織が壊死していき、激痛に見舞われる。驚くことに、この毒に対する解毒剤は存在していない。もし刺されたら、すぐに病院で治療してもらう必要がある。ちなみに、毒は主にタンパク質で構成されているようで、40〜60℃で加熱すると毒が変性するため痛みや症状が和らぐという。

アカエイの毒針は鋭利でゴム長や布などは簡単に貫通する。また、両サイドはギザギザしたカエシがあり、刺さりやすく抜けにくいという極悪な仕様となっている。

ちなみに、毒で壊死した組織が完治するには長い時間を要し、場合によっては半年、1年かかることもあるという。

ウェーディング時にはエイガードを装着! 単独の釣行は極力避けよう

では、アカエイの被害に遭うリスクを下げるにはどうすればいいのか?

エイガードを装着する

エイガードというのは、ウェーディング時のエイの被害を低減するための装備だ。大きく分けて2タイプが存在する。まず1つが、ウェーダーの中に着用するソックスタイプのエイガードだ。ケブラーなどの、刃物にも強い高強度繊維を使用しており、エイの毒針の貫通を防ぐ効果がある。ただし、厚みがあるので、ウェーダー購入時にエイガード分の余裕を考慮したサイズを選ぶ必要がある。あと、刺された場合、ウェーダーには穴が空いてしまうというデメリットも。

パズデザインのレイガードⅡ

もう1つが、ウェーダーの上に装着するタイプ。これだと、エイが攻撃してきてもウェーダーに被害をおよぼすことなくリスクを低減できる。また、ソックスタイプよりも安価な選択肢も多い。デメリットとしては、水中での歩行で少なからず抵抗が生じる(歩きにくくなる)のと、隙間ができるものもあるのでそこから毒針が刺さってしまう可能性もあるという点が挙げられる。

ウェーダーの上に装着するタイプのエイガード。安価で、ウェーダーのサイズを問わないのが利点だが、歩きにくくなるというデメリットもある。

この他に、エイやサメが持つロレンチーニ器官を電気的に刺激して、アカエイを遠ざけるというタイプのエイガードも存在する。物理的なエイガードとの併用が効果的だろう。

ism(デニズ)の海園というエイガード。黄色いコードの先端が端子となっており、固定ベルトで両足にそれぞれ固定し、電気刺激でエイを遠ざける仕組み。

ウェーディングスタッフを使用する

ウェーディングスタッフとはステッキ(杖)のことで、進行方向をステッキで探ることで、万が一エイが潜んでいた場合に事前に逃すことができ、踏んづけてしまう可能性を低減してくれる。ほとんどのウェーディングスタッフはコンパクトに折り畳めるため、釣りをしているときは邪魔にならない。気をつけたいのは、淡水専用のものを使用するとサビで固着してしまうので、海水対応のものを選ぶようにしたい。

ウェーディングスタッフ(パズデザイン)

単独釣行は極力避ける!

これは、予防というよりは、万が一の事態に備えた対策だが、エイの被害に遭った際に岸まで戻るための介助が必要となる可能性があるので、仲間とともに釣行したほうが安心だろう。連絡や意思疎通が取れる範囲に仲間がいれば、最悪の事態を避けることもできる。

【閲覧注意】実釣撮影時にアカエイに遭遇し、対策の重要性を改めて認識

ウェーディングでの実釣の撮影をすることもあるルアマガプラスですが、先日、東京湾某河川での撮影時にアカエイと遭遇。突然目の前でエイが跳ねたため、かなり驚いたものの被害はなかったものの、幸いなことに被害はなかった。しかし、この出来事で、改めてエイ対策の必要性と重要性を実感。

目の前でアカエイが跳ねた瞬間。改めて、エイ対策の重要性を実感し、この記事の作成に至った。ちなみに、遭遇シーンは21:30と32:41の2回。

東京湾河口でのフリーリグチニングゲームを動画でチェック!

釣り人は、スタッフよりも先行して歩くため、どうしてもエイと遭遇する確率は高くなる。ちなみに、この際のアングラーは森浩平さんという、チニングのエキスパート。もちろん、エイ対策は万全でインナーソックスタイプのエイガードを着用、スタッフも外付けタイプのエイガードを着用。このような砂底の河口周辺では特に、アカエイとの遭遇率は高くなるため、未然に被害を防ぐためにも対策は万全にし、単独釣行は避けたい。

「釣果よりも安全を最優先にして釣りに臨む」。エイの生息範囲に自ら近づく釣りだからこそ、特にこの気持ちが重要となるだろう。


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