日米のトーナメントシーンを股にかけた藤田京弥さんの戦いぶりを追うこの連載。初戦でいきなり決勝進出を決めたバスマスター・ノーザンオープンの舞台で、またしても初日2位の大躍進を見せる。
●文:ルアーマガジン編集部
藤田京弥さんのプロフィール
藤田京弥(ふじた・きょうや)
昨年はJB戦で10勝の偉業と共に、最高峰トップ50をはじめ3つのシリーズ戦で年間優勝を獲得。もはや国内に敵なしの天才アングラーは2022年、国内と世界の「二刀流」での頂点へと挑む。1996年4月2日生まれの26歳、埼玉県出身・山梨県在住。
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ウエイトとエリアの読みが的中。年間ランキングも3位に浮上!
――7月上旬に行なわれたレイクオナイダ戦、初日に藤田さんが持ち込んだ20lbオーバー(単日2位)には驚きました!
藤田「バラシもラインブレイクもない理想的な展開でした。でも2日目にあそこまで釣れなくなるとは……」
――プラクティスの内容から詳しく教えてください。このフィールドも初めて訪れる場所ですか。
藤田「はい。ニューヨーク州の湖なので、バスボートを置いている南部のテキサスから車で2日半ぐらいかかります」
――移動だけでもバテそう。
藤田「運転はむしろ幸せな時間ですよ(笑)。誰にも会わずにひたすら突き進むだけなので。ただ、到着してプラを始めようと思ったらバッテリーがダメになっていて、そこからまた往復8時間走って買いに行く、ということがありました。練習できたのは実質8日間ぐらいです」
――レイクオナイダは、スモールマウスが多い湖ですよね。
藤田「はじめは僕もそう思ってたんです。どこかに『ディズニーランド(伊藤巧)』があるんじゃないかと。ところが、初日は1尾釣るのがやっとのレベル。プラクティスの前半は1日数本しか釣れませんでした」
――アメリカのスモールなんて、ボッコボコに釣れるイメージですが?
藤田「個体数が少ないんだと思います。魚探を見ながら『いた!』と思って釣るとほかの魚種ばかり。ドラムやウォールアイ、パーチ、でっかいブルーギルの仲間とか、オヤニラミが大きくなったような魚とか。同じスモールフィールドでも野尻湖や桧原湖とはまったく違いますね。特に、沖の中層で群れているような魚は皆無でした」
――ではいったいどういう場所に?
藤田「全域に数え切れないぐらいのハンプがあって、そういうところに単独でついてます。それを1尾ずつ探して、1/4ozのダウンショットのシューティングで釣るのがメインとなったパターンでした」
――数日しか経験のない場所で、なぜ20lbというビッグウエイトが出せたんでしょう。
藤田「いちばん大きかったのは、そのポテンシャルを持ったエリアを見つけていたことだと思います。ほかにも釣れる場所はたくさんあるんですよ。湖の中央に有名なハンプ群があって、僕もプラではチェックしたんですが、4lb(=約1,800g)を超えるスモールがなかなか釣れない。最高でも5尾で18lb程度だとわかったので見切りました」
――ちょっと待ってください。今回の優勝者のウエイトは18lb台×3日間ですよ。
藤田「結果的にはそうでしたね。前の週のローカルトーナメントで19lb台まで釣れていたので、優勝するにはそれ以上だなと。それで4lbクラスがねらえるエリアをメインにしたんです」
想定外だったプレッシャーの破壊力
藤田「初日は朝からメインエリアに入り、12時ごろまでに30本ほど釣りました」
――釣りすぎです(汗)。
藤田「1,600gでも入れ替えできないので、最後のほうは「もったいないなぁ」と思いながらやってました。さすがに釣らないとサイズまではわからないので」
――同船したコアングラーはラッキーでしたね。
藤田「うしろでは1尾しか釣れてません。スモールに関しては」
――えっ?
藤田「2日目の人も同じですね」
――藤田さんが30尾釣っている間に、多少のおこぼれはないんですか。
藤田「そんなに甘くないってことです。1尾ずつシューティングで抜いていく展開なので、うしろからざっくりやっても釣れません」
――なるほど……。
藤田「ただ、初日の最後にコアングラーにやられちゃったんですよ。湖から流れ出るオナイダ川を30分ぐらい下ったところに、デカいラージマウスが釣れる場所を見つけてたんです。20lbが揃ったあと、午後からねらいに行ったのは良かったんですが、2.5kg級を抜かれてしまって。テキサスリグをポンポン落とせば飛びついてくるイメージがあったんですけど、この日は丁寧に誘ったほうがよかったみたいです」
――さて、2日目は一転して13lb10oz。風が出て荒れたようですが、ウエイトが伸びなかったのはそのせい?
藤田「初日にいろんな選手に叩かれすぎたんだと思います。2日目の朝、例のエリアに入ってエレキを下ろした途端、やばいなと思いました。ぜんぜん魚が映らないんです」
――バッティングも相当あったんでしょうか。
藤田「エリアが広いので船団というほどではないんですが、おそらく初日の昼に僕が離れたあとにも釣られまくったんでしょうね。バスマスターOPENは毎回200人以上の選手がいて、みんなガチなんですよ。本気でエリートを目指す若手が増えているようで、MLFから流れてきた選手もいるので」
――ハイレベル化してるんですね。
藤田「なのでプラの段階から、3日間スモールマウスだけでは持たないだろうと思っていて、決勝はラージマウスだけで勝負するつもりでした」
――その展開も見たかった!
藤田「予想よりプレッシャーの影響が早かったですね」
――とはいえ今回も16位入賞。ノーザンOPENの年間ランキングも3位に浮上ですよ。
藤田「次戦のチェサピークベイはほとんど海だと聞きました。それがどういうことなのか、まだよくわかってません(笑)」
藤田京弥2022トーナメントスケジュール
バスマスターオープン
試合日 | 参加試合 | 開催場所 |
---|---|---|
4月14~16日 | ノーザンオープン第1戦 | ジェームズリバー(バージニア州)【10位】 |
4月28~30日 | セントラルオープン第1戦 | ロスバーネットレイク(ミシシッピ州)【46位】 |
7月7~9日 | ノーザンオープン第2戦 | レイクオネイダ(ニューヨーク州)【16位】 |
9月8~10日 | ノーザンオープン第3戦 | チェサピークベイ(メリーランド州) |
9月22~24日 | セントラルオープン第2戦 | レッドリバー(ルイジアナ州) |
JBトップ50
試合日 | 参加試合 | 開催場所 |
---|---|---|
4月1~3日 | 第1戦 | 遠賀川(福岡県)【優勝!】 |
6月3~5日 | 第2戦 | 弥栄ダム(山口県)【11位】 |
7月22~24日 | 第3戦 | 北浦(茨城県・千葉県) |
9月9~11日 | 第4戦 | 霞ヶ浦(茨城県・千葉県)※現時点では、不参加の予定 |
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『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
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