近年日本のソルトルアーフィッシングシーンの中でも、圧倒的な人気を誇り、一大ジャンルへと飛躍したサーフからのヒラメ釣り。広大な砂浜から、少ない情報や自身の観察力を駆使し、導き出さなければいけないその釣りは、決してイージーとは言えないが釣り上げたときの感動と爽快感は図り知れない。そんなヒラメゲームの新たな攻略法を探究し、発信し続けるアングラーが「ミッチー高橋さん」である。第3回目の連載はミッチーさんが毎年訪れ、近年東日本のサーフスポットのメッカとして盛り上がる「宮城サーフ」攻略の模様をお届けしよう。
●写真/文:高橋慶朗
語っていただくのは全国各地のサーフを渡り歩く初代ヒラメ王・ミッチーさん!
東日本のサーフ聖地・「宮城サーフ」ってどんなところ?
ミッチー高橋「皆様、こんにちは! DAIWAフィールドスタッフのミッチー高橋です。お盆も過ぎて、早くも秋の気配が感じられる日が増えてきましたね。僕も相変わらずサーフゲームにショアジギング、ロックショアと全国各地にロケやテストで飛び回ってます!」
――相変わらずお忙しいなか、原稿執筆ありがとうございます! ところでミッチーさん、先日お電話した際に『今年も東北のアツいフィールドに行ってくるよ!』と仰ってましたが…」
ミッチー高橋「そうですそうです! 今年も行ってきましたよ~宮城サーフ(仕事ですが)。相変わらずの人気フィールドでしたね。東北もサーフゲーム盛り上がっていましたよ!」
――実は私ルアマガソルトの誌面はもちろん、SNSや動画では東北サーフを拝見したことはあるんですが、行ったことがなくて…実際どんな特徴があったりするんですか?
ミッチー高橋「そうですね、宮城サーフは宮城県仙台湾の南部に位置するサーフの総称で、仙台湾に沿って、北は石巻サーフから南は仙南サーフまで、広範囲にヒラメ、マゴチの有数ポイントが広がっています。
主なシーズンは4月中旬から11月下旬で、シーズン開幕から5月まではヒラメが釣れる確率が高いのですが、6月以降はマゴチが産卵で大量に接岸するため、毎年、産卵の終了する8月初旬まではマゴチの数釣りで賑わうのがこのエリアの風物詩となっています。
ですがサーフゲームの人気も加熱し、注目度も高くなったため魚がルアーにスレはじめ、なかなか口を使わなくなっているのが現状で、年を追う毎に釣果は下がっています」
――ヒラメも座布団クラスがいて、マゴチはかなり釣れるという話は聞いていましたが、流石にスレてきてはいるんですね…。
ミッチー高橋「今では連日アングラーで賑わいを見せていて、早朝から入れ代わり立ち代わりルアーがキャストされることで魚がルアーにスレてしまい、朝一番の時間帯以降は、なかなかヒットを得られなくなってますね。
ヒットルアーの主流も、ミノーなどのプラグよりナチュラルなアクションを演出できる『ジグヘッドワーム』と、飛距離が出てより沖のポイントを攻めることのできる『メタルジグ』の二極化となり、殆どのアングラーがこの2つのルアーで釣りを組み立てるようになっています」
――既に東北サーフでも「サーフフィネス」が浸透しているんですね。
ミッチー高橋「しかし、ワームは確かに良く釣れるんですが、飛距離が出ないのが欠点であり、ジグは飛距離は出るもののワームの様にゆっくりとナチュラルに誘えないのが欠点。
ワームの届く距離より沖に居る魚は、スローでナチュラルなアクションで攻略できなかったのですが、近年ではジグに近い飛距離が出て且つワームに近い誘いも出来る『ヘビーシンペンのパターン』も確立され、現在はこれら3アイテムのローテーションによる攻略が主流になっています 」
――サーフフィネスに+αの武器が確立されたわけですね。
ミッチー高橋「今回はこれらをより進化させた、飛距離が出せて食い渋りに有効なダウンサイジング釣法対応の小型タングステン製ジグヘッドワーム&メタルジグと、メタルジグ並みの飛距離が出て超スローな誘いも可能なぶっ飛びヘビーシンペンのローテーションで激渋の石巻サーフを攻略してきたので、その模様を紹介したいと思います」
タフ化する宮城サーフを打破するサーフフィネス「三種の神器」
ミッチー高橋「今回の宮城県遠征は、サーフを舞台に『FJロデム3TG』『FJヒラメタルZ TG 30』『オーバードライブ95S』を使用した実釣解説動画を撮影するという取材です」
ミッチー高橋「当初は釣果の出ていた仙南サーフでのロケを予定していたのですが、数日前のシケの影響で海岸に海草が多く浮遊しており、釣りが困難であったことからシケの影響を受けていない石巻サーフで実施することに。 初日は移動日でしたが、下見をするために15時に現地着。
まずは海岸に降りて離岸流を探すと、見える範囲に3か所の離岸流が見て取れました。その中でも一番大きな離岸流には先行者が居ましたが、しばらく様子を見ていると、釣れていないようで、隣の離岸流へ移動していったので、入れ替わりでその場所へエントリー」
アングラーの入れ替わりが多い有望スポット(離岸流)は「ジグヘッドワーム」でスタート!
――見える範囲で3箇所もあるって、かなり稀有なシチュエーションですね!それはアングラーも多いはずです…。
ミッチー高橋「ですよね(笑)。おそらくこの場所は朝から入れ替わり立ち代わりで複数のアングラーがルアーをキャストしていたと思われるので、スレた魚に効果的なFJロデム3TG 30gのヒラメバーニングをセットし、離岸流の最深部を超スローのリフト&フォール&ポーズでアプローチしました」
ミッチー高橋「先行者も諦めて移動したことから、すぐにはヒットしてこないだろうと判断し、同じコースを何度も繰り返し攻める作戦を試してみると、1時間強経過したところで、読み通りいきなりゴンとヒットしてきたのですが、すぐにフックアウト。食い渋り時はルアーをついばむような小さなバイトのことが多く、ヒットしてもすぐバレてしまうことが多いんです。 ちなみに、当たったのはかなり手前で、リフト&フォール後のポーズ中のバイトでした」
――反応させられても、ワームのロデムで喰いが浅いとは…相当タフですね(汗
ミッチー高橋「まぁ粘れば釣れそうだったんですけどね。その日はプラだったのでこの魚は明日の本番の為に深追いはしませんでした」
マズメ時の沖を「アピールカラーのメタルジグ」でチェック!
ミッチー高橋「その後、日も大分傾いてきたタイミングだったので、今度はワームで届かない沖のエリアをヒラメタルZ TG 30オレンジゴールドイワシで探るパターンを試すことに」
ミッチー高橋「思い切り遠投したのち、一度ジグを着底させてからスローリトリーブでハンドル5回巻毎のストップ&ゴーで攻め、時折ポーズを入れていると、ポーズ後の巻き始めにゴンッとヒット!」
ミッチー高橋「今度はしっかりとフッキングが決まり、まずは47cmのヒラメをキャッチ。 その後も、同じパターンで40cmのマゴチを釣り上げ、初日はここで終了となりました」
――「サーフフィネス」だからこそ、そのエリアの魚の有無や状況を把握できたんですね。
ミッチー高橋「そうですね、ポイントを見つけられるし、粘るべきかどうかも判断しやすいです。ルアーの進化がもたらした釣法の進化ですよね」
光量が少ないマズメ前は「夜行カラー」からスタート
ミッチー高橋「翌日は撮影本番ということで、夜明け前から同じ離岸流にエントリー。周囲が明るくなるまでは、アピールと手返しを重視して夜行カラーのヒラメタルZ TG 30ピンクグローをセットし、通常のストップ&ゴー(早めのリトリーブでハンドル5回転)で離岸流全体を手返し良く探っていきます」
ミッチー高橋「しかし、このエリアはまだ産卵を控えたマゴチの大群が接岸しておらず、朝マズメが満潮の潮止まりと重なっていたこともあり、日が昇ってもノーバイトが続きます。周囲にもずらっとアングラーが並んでいるが、誰もまだ釣れていない様子でした。
魚の活性が低い時は「ジグヘッドワーム+ナチュラルカラー」をチョイス!
昨日のプラで魚が居ることは判っているので、まだ魚の活性が低いと判断し、ナチュラルカラーのロデム3TG 30グリーンゴールドレッドベリーにルアーチェンジし、前日のプラと同じ要領で離岸流の最深部をスローリトリーブのストップ&ゴー&ポーズで攻めてみると、やはりポーズ後にゴンとヒットするも、この魚もすぐにバレてしまいます」
ミッチー高橋「やはり魚は居るようなので、この魚を釣るために、ポイントを休ませる意味も兼ねてヒラメタルZ TG30グリーンゴールドレッドベリーにルアーチェンジし、今度は離岸流の沖を集中的に攻めてみると、直ぐにワームと同じパターンで沖でもヒット、しかし直ぐにバレてしまいます。ただし、明け方よりも下げの流れが出始めており、明らかに魚の活性が上がり始めてきました」
ミッチー高橋「再びロデム 3TG 30グリーンゴールドレッドベリーに戻し、先ほどヒットした場所を再トレースすると、結果はすぐに出ました。同じパターンでヒットしてきたのは、48cmのヒラメでした。」
――有望な場所は休ませることやルアーを変えてのアプローチは効果的なんですね。まさに3度目の正直!(笑)。
沖の流れが効き始めたら「メタルジグ」で遠投&丁寧にサーチ!
ミッチー高橋「ここで沖の状況を観察すると、目で見て取れる程のしっかりとした流れが出始めていたので、ヒラメタルZ TG30グリーンゴールドレッドベリーにルアーチェンジし、リフト&フォール&ポーズで攻めてみると、やはり直ぐにヒット!が、この魚もフックアウト。まだ活性は上がりきっていない模様。」
遠投+沖をスローに誘うなら「ヘビーシンペン」一択!
――釣れてはいるものの、確かに歯痒い状況ですね。この状況を打破するのは…
ミッチー高橋「はい、このような時に効果的なのが『ヘビーシンペン』なんです。ジグでヒットしているのはかなり沖ですが、飛距離が売りのオーバードライブ95Sなら届く距離だったので、ややアピール重視のアデルヒラメピンクイワシで同じ場所を攻めてみると、やはり直ぐに結果は出ました」
ミッチー高橋「思い切り遠投したのち、一度着底させてからのスローのストップ&ゴーのフォール中にゴンッとヒットしたのは、50cmのマゴチ」
――沖にいるコンディションのいいグッドサイズですね! スゴイ!!
速い流れはメタルジグ『ヒラメタルZ TG 30』の真骨頂!
ミッチー高橋「この魚を撮影している間に流れは更に強くなり、そろそろジグでヒットしてくるだろうと読んで、今度は自分が食い渋り時に一番信用しているカラーであるヒラメタルZ TG30ダブルレッドゴールドで沖の同所を攻めてみると、スローリトリーブのストップ&ゴー&ポーズのポーズ中にヒット!」
ミッチー高橋「上がってきたのは43cmのマゴチで、フックは下唇の外側にフッキングしていたことから、ポーズ中のジグを上から襲ってきたことが判ります」
――確かに!かなり活性が高くなってアタックした感じですね。
このパターンはポーズ中のヒットで良く見られるフッキングの仕方で、これを見ればポーズが如何に重要であるかがお分かりでしょう」
――活性が高いときだからこそ「喰わせの間」は重要なんですね!
ミッチー高橋「その通り! リトリーブのみでも反応がいい場面もありますが、止めなければ喰わせられないタイミングもあります。よって現場で都度色々と試しながら調整してみてください。
3本目を釣ったあと、時計を見るとまだ午前9時で、昼までの下げ潮、午後の上げ潮とまだまだ釣れそうではあったのですが、雷雲が迫っていたこともあり撮影はここで強制終了となりました」
――強制終了とはいえ、 3つのルアーを状況に応じてアジャストさせて釣ったわけですから! 流石です!!
サーフフィネスの欠点を打破する「タングステンルアー」&「ヘビーシンペン」
――今回の仙台サーフを振り返ってみて、いかがでしたか?
ミッチー高橋「やはり魚のストックが多い東北サーフといえど、近年のハイプレッシャー化は進んでいることを実感しました。ただ決して打開出来ない訳ではなく『サーフフィネス釣法』がより有効であることが分かりました」
ミッチー高橋「ヒラメ・マゴチがルアーにスレる理由は『ルアーを見せ続けること』が最大の要因となります。また、低水温期や海水温の急激な上下など、魚の活性自体が低くなると、ルアーの追いが悪くなります。
以前にも説明していますが、サーフフィネス釣法とはルアーのダウンサイジングなど、ルアーそのものを繊細にして口を使わす『ライトリグ釣法(ルアーのフィネス化)』と、巧妙な誘い方で口を使わす『テクニカル釣法(誘い方のフィネス化)』の2パターンで成り立ちます。
今回の東北サーフのように、人的プレッシャーや潮の動きが鈍い影響で、魚が食い渋っているケースでもその威力を発揮することができました」
――確かに。ただ、ミッチーさんのスキルがあったからこそ獲れた魚でもあったと思うんですが、ミッチーさんが使用した『ルアーの力』もかなり大きいのではないかと。
ミッチー高橋「その通り、サーフフィネス釣法+サーフフィネス対応ルアーのパフォーマンスがあってこその釣果です!サーフフィネス釣法が活躍するのは、一般的なプラグ、ワーム、ジグなどの釣りを一通り試して、アタリが出ないとき。このような状況こそサーフフィネスの独壇場となります。
ですが、サーフフィネスにも欠点があって、小型ジグヘッドワームは確かに良く釣れるのですが、軽量のため飛距離が出ず、強い流れでは浮き上がってしまいボトム周辺を引き辛くなります。またタングステン製メタルジグとヘビーシンペンはその比重の高さからサーフフィネスの真骨頂であるのですが、スローな誘いが苦手。
この欠点を打破したのが『タングステン製の小型ジグヘッドワーム』『小型メタルジグ』そして、超高比重でもスローリトリーブでしっかり泳ぐ『ヘビーシンキングペンシル』なのです」
ミッチー高橋「後編では今挙げた私の愛用するタングステン製ジグヘッドワーム&メタルジグ、そして新たな武器である高比重かつスローリトリーブが可能なヘビーシンキングペンシルの紹介及び使い方を徹底解説させて頂きます! 皆様是非ともお見逃しなく!」
今回のミッチーさんのヒットルアーはこちら
マズメ時に有効なアピールカラー+遠投性能
低活性時によりフィネスにアプローチできるジグヘッドワーム+ナチュラルカラー
沖をスローに誘うなら飛距離の出るヘビーシンペン!
ミッチーさんが食い渋り時に絶大な信頼を寄せるルアー&カラー!
ミッチーさんのサーフフィネス「3本柱」ルアーの動画は要必見です!
関連する記事
近年日本のソルトルアーフィッシングシーンの中でも、圧倒的な人気を誇り、一大ジャンルへと飛躍したサーフからのヒラメ釣り。広大な砂浜から、少ない情報や自身の観察力を駆使し、導き出さなければいけないその釣り[…]
近年日本のソルトルアーフィッシングシーンの中でも、圧倒的な人気を誇り、一大ジャンルへと飛躍したサーフからのヒラメ釣り。そんなヒラメゲームの新たな可能性や攻略法を探究し、発信し続けるアングラーこそが「ミ[…]
近年日本のソルトルアーフィッシングシーンの中でも、圧倒的な人気を誇り、一大ジャンルへと飛躍したサーフからのヒラメ釣り。広大な砂浜から、少ない情報や自身の観察力を駆使し、導き出さなければいけないその釣り[…]
とかく「離岸流」ばかりに注目されがちな現代ヒラメ攻略法。そこに「待った!」を掛けるのが、ヒラメ釣りに造詣が深い賢者・高橋慶朗さんだ。どんな場所のどこにヒラメはいるのか。これまでルアマガプラスではヒラメ[…]
広大なサーフでヒラメを釣り上げるためには、4タイプのルアーを効率よく使いこなすことが基本だと語る、DAIWAの高橋慶朗さん。ハイシーズンを迎えるヒラメゲームに役立つ、実戦ルアーローテーション法を解説し[…]