「釣り場に行くとあっちもカバー、こっちもカバー。ルアーを投げられる場所がわからなくて困ってるんです!」な~んて嘆いているそこのアナタ! カバーが有るならカバーを撃てば良いのだ! え? カバー撃ちが苦手だって? もうひと安心。ここは行列のできるカバー相談所。あらゆるカバーの釣りに精通した3人のセンセイが、アナタの疑問をバッチリ解決して、カバーに対する苦手意識をなくしてくれるぞ! 今回は「基本、好きなカバー嫌いなカバー、カバー用ルアー」の3項目を聞いてみた。
●文:ルアーマガジン編集部
3人のセンセイをご紹介
沢村幸弘センセイ
バスフィッシングの黎明期より活躍し、今なお数々のトーナメントで好成績を残すレジェンドアングラーにして二代目陸王。JBトップ50遠賀川戦では、圧倒的強さで連勝し「遠賀川の神」の異名を持つ。河口湖のショップ「キャリル」を経営するかたわら、リールのチューンやカスタムパーツの開発も行う。ベイトフィネスを日本に浸透させた張本人である。
川村光大郎センセイ
最多陸王戴冠者にして、大人気メーカー・ボトムアップ主宰。オカッパリのみならず、ボートでもその実力を遺憾なく発揮し、あらゆるメディアで引っ張りだこの名実ともに人気ナンバーワンアングラー。カバーに対するあらゆる釣りに定評があり、中でも針先を完全に隠せる『スナッグレスネコリグ』を世の中に広めた功労者と言っても過言ではないだろう。
川島勉センセイ
房総リザーバーのウルトラスーパーロコアングラー。これまでにも数々の名作ルアーを手掛け、ロコテクを全国レベルへと昇華させてきた。そしていよいよ自身のブランド「BETOBETO」をスタート。ますますの活躍に注目が集まる。ソフトベイトを用いたカバー撃ちはもちろん、ビッグベイトやスピナーベイトなど、ハードルアーでのカバー攻略も得意とする。
【Q1】「カバー撃ち」ってそもそも何なのでしょうか?
【沢村センセイ】バスフィッシングの中心的存在
岩も木も人工物も、全ての構造物がバスが身を寄せる障害物。なので、バスフィッシングにおいて中心的な釣りになってきますね。といっても、季節や魚のコンディションでカバー撃ちはとても幅広い釣りになってきます。先日のJBマスターズ三瀬谷戦では、水深5mのアウトサイドベンドに流れ着いて溜まった流木をライトリグで狙ってビッグフィッシュを獲りました。これもカバーの釣りですからね。
【川村センセイ】バス釣りの基本であり、僕にとって頼れる釣り
基本というのはストラクチャーを好むバスの習性上、狙った場所にキャストを決めて、釣るという部分。頼れる釣りというのは個人的にアドバンテージを感じられるからですね。具体的には、キャストの精度、近づき方、誘い、リグなど、バリエーションが多いほうだと思います。
【川島センセイ】近距離戦ができる!
バス釣りには欠かせない1ジャンルですね。自分のバス釣りにおいても5割は占めると思います。良いところは、バスがカバーの中にいることによって距離が近くなってもそれが不利にならないことですかね。こっちが気づかれにくいわけです。エレキを踏んでいなければ、1mくらいまでは近づけると思いますよ。それからカバーの中には食べる気になっている魚も多いので、騙しやすいことも多いです。
【Q2】好きなカバーと嫌いなカバーを教えてください!
【沢村センセイ】カバーに好きも嫌いもありません(笑)
好き嫌いを言ってる時点で釣れる魚を切り捨てているようなものですから。どんなカバーも魚が釣れる可能性があるならやりますよ。
【川村センセイ】好き:ウッドカバー 嫌い:消波ブロック
好きなカバーは葉っぱの繁ったウッドカバー。利根川や小貝川に良く生えてるアレ(編集部注:おそらくヤナギの仲間)が一番好きですね。理由は単純にバスが好きというのと、水面に沿って伸びるだけじゃなくて、伸びた先で水中に根を張るから。あとは、結構複雑なのでアングラー側のスキルが求められるのもいいですね。「これぞ、カバーフィッシング」なカバーです。嫌いなのは幅の長い消波ブロック。撃ち所を絞りにくく、効率が悪い。ブロック越しになるので、リグの落ち感も悪いし、ラインブレイクの危険も高い。効率も悪いから飽きちゃいます。
【川島センセイ】好き:ウィード 嫌い:竹
好きなカバーは…意外に思われるかもしれませんが『ウィード』ですかね。亀山にあるようなカバーって大体やってるから、ウィードは新鮮に感じるんですよ。パンチングも好きだし、エビモなんかのパッチを撃つのも好きですよ。逆に嫌いなのは『竹』! たまに違う方向の竹があると、枝の付け根に挟まったりして煩わしいので…。
【Q3】使用頻度の高いカバー用ルアーを3つ教えてください
【沢村センセイ】
リーダーレスダウンショット/ネコリグ/ノーシンカー
ボートでも岸からのアプローチでもオールシーズン使えるようなものと考えると、よく使うリグはリーダーレスダウンショット、ネコリグ、ノーシンカーの3種類。シンカーの重さやワームは、カバーの濃さやバスのコンディションで使い分け。なかでも特によく使うワームは、スイミーバレット3.8inと4.8in(共にサワムラ)です。
スイミーバレット
【川村センセイ】
リーダーレスダウンショット(ブルスホッグ、へアリーホッグ、スクーパーフロッグ)
そこそこ隙間に入れやすく、スキッピングもまぁ可能。テキサスよりもワームの姿勢とアクションがよく、移動距離を抑えることができますね。
ブルスホッグ(リーダーレスダウンショット)
カバージグ(ギャップジグ)
隙間への入れやすさとスキップ性能はリーダーレス以上。撃つだけじゃなく、そのあとも泳がせて引いてこられるのが強みです。
ギャップジグ+ブルスホッグ
スナッグレスネコリグ(ブレーバー、ブルスホッグ)
食い渋ったときにやっぱり頼りになる。よりフィネスが求められる時に。
ブレーバー(スナッグレスネコリグ)
【川島センセイ】
テキサスリグ(パインシュリンプ)
テキサスはいろんなカバーにとりあえず投げちゃいますね。オールラウンダーです。シンカーを変えて色々な場面で使えるのもいいですよね。例えば浮きゴミを狙うとき、軽いシンカーなら上や直下をジワジワと誘えるし、重くすれば速いスピードで貫通させて使えますからね。
パインシュリンプ(テキサスリグ)
高比重ノーシンカー(カバークロー)
リグを組むのが簡単なので、ヘビー過ぎないカバーだと楽ちんです(笑)。崩落跡みたいな縦スト系のカバーで、ジワ~って誘えるのも強みですよね。
カバークロー
リーダーレスダウンショット直リグ(ファイボス)
浮きゴミなどを貫通させやすいというのもありますが、ずる引いたときなんかにフックが確実に上を向くじゃないですか。あれが良いですよ。
ファイボス
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
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