鋭く長い刃が並んだ戦闘的な顔、ギラギラに照り返すスラリと長い鋼色の身体。立ち泳ぎをするからとも、太刀に似ているからとも言われる風変わりな魚、タチウオ。秋が深まるにつれ接岸して釣りやすくなり、場所によってはタチウオ狙いの釣り人の竿が林立する。近年では船から周年狙えるようにもなってきている。それほどに人を魅了する理由のひとつは美味しいから、だろう。最大で2m弱にもなる巨大魚でもある。あっさりとしていながら旨味があり、脂も乗る。炙れば皮目は香ばしく、水分も飛んで歯ごたえももっちり。
●文:ルアマガプラス編集部
タチウオについて
強面だが上質な白身が老若男女に愛される
スズキ目サバ亜目タチウオ科タチウオ属。魚体は長細く扁平。歯が鋭く、頭部から尾の先端近くまで背ビレが連なる。体表は鏡のように滑らかな銀白色。立って泳ぐこともあり魚群探知機で捉えづらく漁師泣かせ。神出鬼没の幽霊魚とも呼ばれる。最大で1.5m近くまで成長する。
代表的なブランド
大分の「くにさき銀たち」が名高い。はえ縄漁を基本に漁獲、1本1本をていねいに氷締めして鮮度を保ったタチウオは、市場で高い評価を受けている。ここでの旬は春から夏までとされる。ほかにも紀伊水道を産地とする紀州「紀ノ太刀」もブランド化に成功している。
おすすめ料理 | 旬 | 全国の主な産地 |
---|---|---|
刺身、塩焼き、ムニエル、など | 初夏から秋 | 東京湾、駿河湾、瀬戸内海、紀州水道、大分湾 |
タチウオの炙り刺し
香ばしさが引き立つ「炙り」のひと手間見た目も風味も上げて極上のお造りに仕上げる。
材料(1人前)、調理時間目安(20分)
- タチウオ:半身
- ツマ:大根の細切り適量
- 大葉:1枚
- 塩:適量
- さしみしょう油:適量
- ワサビ:適量
作り方
【手順1】
金網に乗せて軽く塩をふる
冊に切った身を、皮を上にして金網またはグリルに乗せ、上から軽く塩をふる。あくまで軽く、わずかだけかける。
【手順2】
ひっくり返して火にかける
皮に塩をふったら、ひっくり返して皮を下にして火にかける。炙るのは皮面のみ。塩も皮面だけふる。
【手順3】
皮にコゲ目がつけばOK
切り分ける厚さは、身の大きさに合わせる。身が細い場合は、厚めに引いた方が食感はいい。ツマを盛り付けた皿に乗せれば完成。
【ワンポイント】炙ることで見た目も味も引き立たせる
タチウオの体表の銀色ははがれやすく、その状態でのお造りは見た目にもあまり美しくない。そこで炙った焦げ目で美味しそうに仕上げる。また小骨が多い魚で本来は隠し包丁を入れるが、炙ればそれも不要に。
完成!
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