各地のフィールドを釣り歩く渡邉さんだが、意外にも大阪では釣りをしたことがないそう。今回の連載では、下調べなしの行きあたりばったりで、大阪でのアジングを楽しむ、という内容。初場所には新鮮な発見や驚きがあるものだが、渡邉さんは、大阪初場所釣行で、どんな刺激を受けてきたのだろうか…?
●文:渡邉 長士(DAIWA フィールドテスター)
マルチに活躍するアジングエキスパート
急遽決まった大阪釣行。下調べナシの24時間実釣!
ルアマガ+をご覧になっている皆さま。こんにちは。ダイワフィールドテスターの渡邉長士です。今回は先日の大阪釣行について書きたいと思います。
実は大阪府での釣りは初めて。いつもは初場所での取材やロケでは事前に下調べを徹底しますが、今回は急に決まったことと、プライベートということで下調べはゼロ。
そして滞在時間は24時間という短時間でしたが、素晴らしい出会いや初場所での発見などもあったのでレポートします。
あえて激戦スポットに突入!大阪のアジング熱を体感
大阪湾は青物、タチウオ、クロダイ、アオリイカなどの魚影が濃く、他にも様々な魚の狙える豊かなフィールド。というのは関東に住む私でも知っているほど、釣り人気の高いエリア。
その大阪に訪れたのが2022年の11月10日。場所は大阪と和歌山の県境付近となる大阪最南端のエリア。目的はプロモーション用の撮影でしたが、魚影の濃さもあって2日間の撮影で無事にミッションは完了しました。
帰りの便は午後5時30分でしたが、これまで大阪での釣りは未経験ということもあり、1人だけ居残りをして1日釣りをすることにしました。
スタッフと共に関空へ向かい、出発を見送った後はそのままレンタカーの手続きをし、さっそくフィールドへ!…というわけに今回はいきません。まったく土地勘もなければ釣り場の情報もない。そこでまずは情報収集。
せっかくなら大阪の激戦区を体験してみたいと思い、「大阪、アジング、人気ポイント」で検索するとルアマガ+の記事がヒット。それによると大阪南港にある「南港魚つり園護岸」でアジングができるらしい。
記事を読み解くと恐らく時合は夕方以降っぽいが、閉園時間は午後7時。現在地の関空からは1時間弱かかるため、到着は午後6時過ぎとなり釣りができるのは1時間もない。
悩んだ末に出した結論は、午前5時開園ということなので翌日の朝マヅメに行くことにしました。
「南港海魚つり園護岸」の記事はコチラ
ジャッカルの中の人でありながら各種メディアでも活躍中の、ぶんちゃんこと石川文菜さんが、毎回様々なソルトルアーフィッシングに挑戦する企画『目指せ! フィッシングクイーン』第7回。テーマは、大阪湾でのアジ[…]
大阪南部の港で実釣開始!
空港から南へ走り、先ほどまでいた和歌山との県境まで戻ってきました。すぐ近くに小島漁港があったため、そこに立ち寄ってみると多くの釣り人の姿があります。
そもそもアジがいるかを聞くためにエギングをしている人に声をかけると、「渡邉さんですか!?」とすぐに、色々と情報をいただきました。
それによると、港の外側にあるシャロ―ではフロートリグで尺アジの可能性があるという。それはやるしかない! ということで、まずは潮位の高いうちにそちらを攻めてみることに。
週末ということもあり、釣り場には電気ウキを付けたカゴ釣り師たちが石積護岸にズラッと並んでいて、話しを聞くと30~35cmのアジが5〜6尾釣れたとのこと。これは期待できる!
使うタックルはロッドが月下美人AIR AGS AJING 710L/M-TにリールはルビアスエアリティFC LT2500S-XH。ラインはUVF月下美人デュラセンサー+Si2の0.4号にリーダーは月下美人フロロリーダー8lbを約1m。月ノ彼方15gをリーダーに通しスイベルを結ぶ遊動式。ハリスは全長が80cmほどで、フロート側はフロロ6lbを40cmほど、ルアー側はフロロ4lbを40cmほどにしてキャスト時の絡まりを軽減しつつルアーのアクションが悪くなるのを防ぎます。
[でかアジ用タックル]
・ロッド:月下美人AIR AGS AJING 710L/M-T
・リール:ルビアスエアリティFC LT2500S-XH
・ライン:UVF月下美人デュラセンサー+Si2 0.4号
・リーダー:月下美人フロロリーダー 8lb ※約1m
ジグヘッドは月下美人アジングジグヘッドTGの2gにアジングビームバチコンカスタム3inをセット。重めのジグヘッドにするのは、キャスト時にラインが絡りにくいようにするためです。
[フロートリグ]
・フロート:月下美人 月ノ彼方 15g
・ジグヘッド:月下美人 アジングジグヘッドTG 2g
・ワーム:月下美人 アジングビームバチコンカスタム 3in
空いているスペースからフロートリグを遠投し、30mほど先にあるブレイク周辺を中心に攻めますがノーバイト。
話しによると潮位が高い方が実績があるらしく、潮もかなり下がってきたため、エサ師もどんどん帰っていきます。1時間ほどキャストしましたがデカアジは諦めて港内へ移動することに。
先ほど情報をいただいたエギンガーの方の隣に入らせてもらい、0.5gのジグ単で常夜灯下に見える12cmほどのアジを狙うも無反応。
すると、エギンガーの方がアオリイカをキャッチ。他にもすでに数杯キャッチしているようで、アオリイカの魚影の濃さにも驚きです。
その方によると、もう少し南側にある和歌山県の雑賀崎周辺もアジの実績が高いとのこと。今いる漁港の外側のでかアジも魅力的なので、朝マズメは南港魚つり園護岸ではなくでかアジ狙いに変更し、朝マズメまでの数時間は和歌山県側に行ってみることにしました。
この雑賀崎という地域は生まれ育った地元の大原町(現在はいすみ市)と深いつながりがあり、一度は訪れたい場所でした。
というのも、和歌山の漁師さんがマダイの漁場を求めて移り住んだ先が大原で、その子孫の方たちが今でも大原で漁師や釣り船を営んでいます。
妻の実家も大原で釣り船を営んでおり、おじいさんは和歌山出身ということを聞いています。
その雑賀崎漁港に到着すると、深夜1時過ぎにも関わらずここにも多くの釣り人が。
漁港全体を観察しながら空いているスペースで数投キャストしましたがバイトはなく、すぐ隣の漁港へ移動。こちらも釣り人が多く、空いているスペースでキャストするもアジの群れはいなさそうなので、デカアジを求めて小島漁港へ戻ります。
フロートでのでかアジ狙いから、ジグ単にチェンジ
夜明け前から先ほどのポイントに入り、フロートリグをキャストしますがヒットしたのは小型のカマスだけと期待の朝マズメも不発。
朝になると周囲には青物狙いと思われる釣り人も大勢いて、沖には釣り船の船団も。本当に釣り人気が高いエリアだということが伝わります。
その後はジグ単タックルに持ち替えて港内のアジをチェック。タックルは月下美人EX510UL-S(麗)にリールはイグジストLT2000S-P。ラインは月下美人ラインtypeE白1.5lbに月下美人フロロリーダー3lbを約20cm。ルアーは月下美人アジングジグヘッドTG0.5gに月下美人アジングビーム2の生オキアミをセット。
[ジグ単用タックル]
・ロッド:月下美人EX 510UL-S
・リール:イグジスト LT2000S-P
・ライン:月下美人 TYPE-E 白 1.5lb
・ルアー:月下美人アジングジグヘッドTG 0.5g + 月下美人アジングビーム2(生オキアミ)
まずは右側の突堤付け根にあるスロープ付近に見えるアジを狙うも反応は悪く、やや速めに巻き上げながらシェイクするとフッキングには至らなかったもののバイトする個体がちらほら。
このポイントに見切りをつけて港内を歩いていくと、たまに足元にアジの群れが通るのが見えます。
同じように巻き上げで攻めてみるとファーストヒット。サイズは15cmほどの小型ですが、天気の良い真昼間に釣れてくれるのは嬉しい。
その後も港内を移動していくと、回遊する見えアジがいたり、サビキ釣りのコマセに集まるアジが見えたりと魚影は濃そう。
実際に先ほどと同じように巻き上げで攻めていくとポツポツとヒットが続き、1時間半ほどで10尾ほどキャッチできました。
他にも色々な釣り方を試しましたが、ボトム付近ではベラのバイトが多く、アジも少なめ。日中のためか、ほとんどのアジは足元のシェード付近を回遊しているようでした。
この周辺で続ければ数は伸ばせそうですが、行きたかった南港魚つり園護岸に向かうことにしました。
いよいよ南港魚つり園護岸へ!しかし人が多く激戦区の洗礼を…
到着したのは午後1時ごろ。土曜日とあって人は多く、空いているスペースはほぼなし。護岸を右の方へ歩いていくと途中に空きスペースがあったため、両側の方へ挨拶をして入れていただきました。
ここで試したかったのは「オカッパリバチコン」。このような水深のある海つり公園ではジグ単よりもテンポ良く広範囲を探れるのが利点。千葉の海つり公園でもよくやる方法ですが、大阪でも試してみたかったんです。
タックルはフロートリグと同様。リーダーの先に三つ又サルカンを結び、エダスはフロロ4lbを約30cm。ジグヘッドは月下美人アジングジグヘッドTG0.5gにアジングビームバチコンカスタム2.2in。カラーは水色が濁り気味なので強夜光のフルルミノーバを選択。捨て糸はフロロ3号を1mほどに、シンカーはナス型オモリ3号。
まずは足元にリグを落としてみると水深は8mほど。先ほどの小島漁港のように足元を回遊している可能性もあるため、足元でシェイキングやゼロテンを試すもノーバイト。
次は遠投して広範囲を攻めてみます。シンカーをボトムから少し浮かせてシェイキングしながらスイミングさせていると10mほど前でヒット。しかし、残念ながら途中でバレてしまいました。
その後はアタリがないどころか左右20mほどの釣り人もアジは釣れていない様子。そこで護岸の端から端まで歩きながら見て回ると、両端周辺ではサビキ釣りでポツポツとアジが釣れています。しかし、空きはないので元の場所に戻ると隣にライブ配信しながら釣りをするルアーマンが入ってきました。
タイムアップまで残り10分を切ったころ、足元の巻き上げで待望のヒット。正体は30cm弱のサバでしたが、ここでのファーストヒットだったため、とりあえず写真の一枚でも撮ろうと思っていると、隣のライブ配信者が「となりのアジングの人がサバを釣りましたね」と解説しています。
一応これでも多少有名なアジンガーのわたくし(笑)。小さなサバの写真を撮る姿を配信されるのも恥ずかしいので、「サバは狙ってませんよ~」という雰囲気を出してすぐにリリース。しかし結局その後はノーバイト。やっぱり写真を撮っておけばよかったと後悔しながら午後4時ごろに納竿となりました。
釣り場と釣り人の良い関係性
釣果的には大漁とはいえませんが、初エリアでの釣りは新鮮で楽しめました。まず釣りを楽しむには釣り場がなければいけませんが、このエリアを訪れて感じたのは漁港と釣り人の関係性が良いこと。
昨今では釣り禁止の看板が当然のように各地にありますが、このエリアは釣り禁止の漁港はほぼないとのこと。そのかわり、車を停める際は清掃協力金のお願いをしている場所が多いようです。そのおかげで今回訪れた漁港ではトイレなども完備され、いくつもゴミ箱があり、キレイな状態が保たれていました。
地元の千葉にも駐車料金が必要な漁港があり、日常的に釣りに行ける地元民からすると毎回500円を払うのは痛い出費でしたが、釣り禁止の漁港が増えてしまった今となっては「お金を払ってでも釣りがしたい!」と思うことが多々あります。
釣り場が無くなってから気付くのでは手遅れなので、駐車料金を払えるだけ幸せだと思って、今後は地元でも協力金をお願いされたら感謝しながら協力したいと思います。
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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