今期リニューアルされた注目のスピニングリールと聞かれたら、この2台の名前が上がるだろう。しかも価格帯もほぼ同じ、そして今回インプレしたモデルは、自重も同じ150グラム。最高のライバル関係だ。その差は誰もが知りたいところだろう。だから、使ってみた。
●文:ルアマガプラス編集部
注目のスピニングリールを釣りビジョンマガジン編集長がインプレ!
テッペイ
3Gインプレッションなど、長年ルアーマガジンのタックルインプレを受け持ってきたインプレ職人。その鋭い舌鋒で新製品を一刀両断してきたので、各メーカーのブラックリストに載っているとか? 現在「釣りビジョンマガジン」編集長を務めつつ、ライター業も兼業。
比較するのは注目の最新2機種
ヴァンキッシュC2500SXG(シマノ)
SPEC
●ギア比:6.3●最大ドラグ力:3キロ●自重:150グラム●スプール径:44ミリ●糸巻量:PE0.6号200メートル●最大巻き上長:87センチ●ハンドル長:45ミリ●ベアリング数(BB/ローラー):11/1●価格:6万5300円(税抜き)
エアリティ LT2500S-XH[DAIWA]
SPEC
●ギア比:6.2●最大ドラグ力:5キロ●自重:150グラム●スプール径:45ミリ●糸巻量:PE0.6号200メートル●最大巻き上長:87センチ●ハンドル長:50ミリ●ベアリング数(BB/ローラー):11/1●価格:6万4000円(税抜き)
インプレルアー
左から、IKスピンジャーク(イマカツ)はただ巻き&トゥイッチ。デッピー(デップトーキョー)は遠投して放置。ベビーシャッド55SP(ラッキークラフト)は超速引き。K-1ミノーSP(HMKL)はジャーキングとぐりぐり。エグダマ2.7グラム(レイドジャパン)は中層シェイク。豚カニ(Zファクトリー)。これはダウンショットで使用してバスを1尾釣った。釣ったリールはエアリティだった。
インプレロッド
今回インプレに使用したロッドは、かつてテッペイがプロデュースして、レジットデザインとコラボで作ったスモラバロッドDHS593ML(レジットデザイン×ルアマガ)。ラインは4本撚りPEの0.6号を使用。
身をもって証明したのはあのリールのあの部分
事件はインプレ終盤、夕方に発生した。ダウンショットリグにまるでサイコロラバーのようなポークをセット。それを水中の岩陰に落とすと、明確なアタリが!
テッペイ「よし! フルカワ来たぞ! 写真頼む」
と言ったはいいが、早速岩につまづいて派手に転倒した!
テッペイ「イテテテ!」
エアリティは哀れ、体重120キロの俺の体と、溶岩の地面でサンドイッチに。痛みが治まった俺は、再びロッドを握り、バスを仕留めた。フルカワ苦虫を噛み潰したような顔をしている。
フルカワ「…奇跡ですね」
テッペイ「釣れたのが?」
フルカワ「いや、エアリティです。テッペイさんに押し潰されたのに、小傷以外損傷なし」
はからずも、エアリティの誇る「軽さ」と「強さ」のうち「強さ」の部分を証明してしまったらしい。DAIWAさん、どうかお許しを。
各項目の比較
POINT.1 外観デザイン あのエンジンプレートタイプのリールが欲しい
エアリティの金属感と、丸いエンジンプレートは好き。でも、あのスプール形状だけは自分好みではないので、スプールデザインとローター部はヴァンキッシュ推しということで。どっちかに決めろというならエアリティ。
POINT.2 回転・巻き心地 これには明らかな差があったと言える
エアリティも十分回転が軽いし、巻き心地もトップレベルだが、いかんせん相手が悪かった。これに関してはヴァンキッシュが一歩リード。回転が軽快なだけではなく、ハンドルがどの位置でも、同じ力で巻き続けられる。
POINT.3 キャストフィール ライン放出のスムースさが明暗を分けた
ラインを超密巻きにしたヴァンキッシュのスプールは、フリーにすると、本当にスムースにラインが放出されていく。これは遠投にも有利だし、見ていて気持ちがいい。エアリティも優秀だが、ヴァンキッシュには及ばず。
POINT.4 糸ヨレ もはや過去の問題になったのか?
今回、ヴァンキッシュもエアリティもかなりの時間をかけて使い倒した。しかし、糸ヨレトラブルはほぼ発生しなかった。したがって、これに関してはドロー。今から思うとナイロンやフロロでも試すべきだった。
POINT.5 ドラグ 実力伯仲のドラグ能力
性能的には甲乙つけがたい。両者ともに粘り気のある効き方で、どちらのドラグノブも調節しやすい。ただ、インプレ中に関しては、転んでタックルから手が離れた状態でも、バスを逃さなかったエアリティのドラグに感謝。
POINT.6 総合的使用感 適材適所で生かせる場所がある
回転の軽さとキャスティング能力に関してはヴァンキッシュが頭一つ出ている。適性としては、遠投の釣りと巻きの釣り、ラインをたるませる釣りに使いたいイメージだ。一方のエアリティは、基礎的な耐久力が強いと思う。例えばパワーフィネスにはうってつけだ。
POINT.7 価格 どっちが得とは言えないが、どちらも買って損はない
2台とも、定価も実勢価格もほぼ一緒だ。価格に関しては、決して法外なものではなく、どちらも価格以上の価値があると思う。
テッペイの独断採点簿
ヴァンキッシュ C2500SXG[シマノ]
繊細な釣り、巻く釣り、飛ばす釣り、全般に!
ハンドル回転の軽さと、ライン放出のスムースさ、そして飛距離に関しては恐らくトップレベル。特に軽いルアーを遠投するような釣りには、最もフィットすると思う。具体的にはナチュラルレイクでのi字系やリアルワームを使ったワカサギ表層パターン。シャッドの高速引き。バスやビッグトラウトを狙ったセミパターン。中層でのスモラバ、ミドスト、メタルバイブ、レイクジギング、アジングなどで高いパフォーマンスを発揮できそう。
エアリティ LT2500S-XH[DAIWA]
過酷な状況が想定されるなら、エアリティを選択
もちろんこちらもどんな釣りにも対応できるが、やはり、タフさを求められるシチュエーションなら、このリールの良さをより生かせると思う。例えば、強めのラインを使ったカバーフィネス。虫パターン。ボトム系のライトリグ。ウェーディングで遠投するビッグトラウト。山岳渓流でのルアーフィッシング。根魚の釣りなど。ボートシーバスにも向いてる気がする。
テッペイの採点
【各機種インプレはこちら】
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