ミッチー高橋さんが常磐北部サーフでブリの若魚（関東でいうイナダ）に追われてイワシが接岸したことで座布団ヒラメが連発したとの情報を元に釣行！ しかし、いざ現場に立ってみると既にイワシの群れは抜けており、フィールドはアングラーで混雑している状況…。そんな中、ミノーとヘビーシンペンのSD(スロードライブ）パターンでヒラメ・マゴチを連発させることが出来たという。驚くべき釣果にもつながるイワシ接岸パターンの具体的な攻略方法をいよいよ公開！
●写真/文:高橋慶朗
高橋慶朗（たかはし・みちあき）
ヒラメを始めとしたフラットフィッシュから、シーバス、青物、ロックフィッシュなどあらゆるソルトルアー魚種に精通するスーパーエキスパート。固定観念に捕らわれず、常に進化を求めるアグレッシブなスタイルに定評がある。またシーバスやオオニベにおいてはレコードホルダーとしての顔を持つ（シーバスJGFA・IGFA20lbラインクラス日本&世界記録【107cm9.5kg】、オオニベJGFA20lbラインクラス日本記録【150cm26.4kg】）。グローブライド（DAIWA）勤務。愛称はミッチー。
イワシ接岸パターンの攻略法
この時期は水温も高く、ヒラメ・マゴチも高活性でルアーへの反応が良い。イワシの接岸中であれば、群れで回遊するイワシの中でも一際目立たせるため、アピール力の高い12～14cmクラスの大型ミノーが効果的となる。
ミノーでの誘い方
ミッチー高橋「基本的にはキャストしてただ巻きするだけで良いのですが、イワシ接岸パターンで重要なのはリトリーブスピードです。これを速くしてしまうと逃げ回るイワシの群れとルアーが同化してしまい目立たなくなってしまうので、逃げ遅れたイワシを演出できるデットスローリトリーブが最適となります」
メタルジグやワーム、ヘビーシンペンでも釣果は出るのだが、とくに青物が多いときは小型のルアーを使ったり速いアクションで誘うと先に青物がヒットしてしまうのだという。そこで、ボリュームがあってなおかつゆっくり引ける大型の『ミノー』が得策となるのだ。
ミッチー高橋「またこのパターンではイワシの群れが通るたびにヒラメの活性が高くなる傾向があって、同じコースを繰り返しトレースしていても群れが通ったタイミングで突然ヒットしてくることも多いです。明らかにヒラメが潜んでいそうなポイントは暫く粘ってみるのもコツですね」
この釣り方でのお薦めルアーは「SD対応ミノー」で、デットスローリトリーブで巻いてもヨタヨタと泳いでくれるので、特に警戒心の高い座布団ヒラメ攻略には必須となるのだという。
SD（スロードライブ）メソッドとは
ミノーやヘビーシンペンのデットスローリトリーブで瀕死のベイトフィッシュのヨタヨタ泳ぎを演出させて誘う釣法。ヒラメが居付いているであろうポイントに何度も繰り返し通すことで、そこに居る食い渋りヒラメに興味を持たせ、最終的に口を使わせるイメージとなる。何度も繰り返しスローな動きのルアーを見せることで我慢できなくなり食いついてくるのか、イラついて食いついてくるのか、本物のベイトフィッシュが近くを通って一時的に活性が上がるのか、潮の流れの変化で活性が上がるのかはまだ判らないが、とにかく粘っていると高確率でヒットしてくるのである。
イワシの群れが抜けた後に居残ったヒラメ・マゴチを狙う場合はミノーとヘビーシンキングペンシルによるSDメソッドがお薦めとなる。ナチュラルなアクションを演出できるジグヘッドワームと、飛距離が出てより沖のポイントを攻めることのできるメタルジグでも十分釣果を出すことは可能だが、イワシパターンで極度に魚がスレている場合は、ミノーとヘビーシンペンのSD釣法に良型ヒラメのヒットが集中することは多いという。
ヘビーシンペンでの誘い方
ミッチー高橋「SDメソッドでは、デットスローリトリーブで巻いてもヨタヨタと泳ぐアクションのヘビーシンペンがマストとなります。使い方は簡単で、キャストコースが決まったら投げてボトムまで沈めたのち、ゆっくりとハンドルを5回転巻いて再びボトムまで沈める動作を繰り返す、いわゆるストップ＆ゴーもしくはスローのリフト＆フォールといった、サーフフィネスと同じ誘い方を行うだけでOKです。ミノー同様リトリーブは遅いほど効果的で、ルアーが泳ぐことで発生するブルブルという振動を感じられるギリギリの速度が理想となります。ルアーを強い流れに乗せてＵ字状に流す『Ｕ字ターン』も有効なので覚えておきましょう」
SDメソッドにおけるミノーとヘビーシンペンの使い分け
ミッチー高橋「SDメソッドで使用する際に、ミノーとヘビーシンペンの違いで注目すべきはアピール力と飛距離、潜行レンジです。ミノーはヘビーシンペンよりハイアピールですが飛距離が劣ること、潜行レンジが最大でも2m程であることから、朝夕のマズメなど、ヒラメが高活性で岸沿いの浅場に寄っているときに活躍します」
一方のシンペンはどうか。
ミッチー高橋「ヘビーシンペンは、ミノーよりサイズ的にアピール力は劣ります。ですが、その分圧倒的に飛距離が出るのと、カウントダウンによって深場のボトムトレースも可能であることから、ミノーでは届かない沖をスローな誘いで攻めるときに活躍するでしょうね」
まずはミノーで岸沿いを攻め、ミノーでは届かない沖合をヘビーシンペンでフォローする。こういったローテーションが効率良く攻める方法で使い分けていくのがおすすめだ。
ミッチー高橋「リトリーブは遅いほど効果的で、ルアーが泳ぐことで発生するブルブルという振動を感じられるギリギリの速度が理想となります。ヒラメ狙いの場合は底スレスレを引いた方がヒット率は向上するので、基本的にはシンキングミノーをセレクトし、着水直後からロッドを立てて巻き始めます。ルアーが深いゾーンからカケアガリに差し掛かるとリップが底にゴツゴツと当たりだしますが、気にせずにそのままリトリーブを続けましょう。カケアガリはヒラメの好む1級ポイントであり、リップがボトムにゴツゴツと当たっていても普通にヒットしてきます。全体的に浅く、キャスト直後からボトムに当たってしまうときはフローティングミノーをセレクトし、更にリトリーブスピードを落として対応します」
ヒットのタイミングだが、朝夕のマズメ時はもとより、潮止まりの前後も流れの変化でヒラメの活性が一時的に上がりヒット率は向上するので覚えておきたい。
お薦めルアー
FJバーティスR125F/S(DAIWA)
【スペック】
- タイプ：スローフローティング、シンキング
- 全長：125mm
- 自重：20g（F）、22.5g（S）
- カラー：全8色
- 価格：2,200円（F）、2,250円（S）
離岸流などのボトムに潜む食い渋りの良型ヒラメ狙いに効果的なワイドウォブリングアクションをヒラメハンターZSD125Sから継承。さらにスローリトリーブでもしっかりとこのアクションを出せるよう、リップをヒラメ用に再設計。
ボディデザインは空気抵抗低減かつボディ後端まで大型ウエイトが移動可能なエアロボディとし、さらに大型タングステンウエイトワイヤーオシレート機構は後端まで一気貫通している。また、ワイヤオシレート重心移動のキックバックスプリングをハーフにすることで、キャスト後半のバネ押戻しがボディ中央に留まり、失速を低減。これらの相乗効果により、飛距離が大幅にUP（125F：Max73m Ave 71.8m/125S：Max78m Ave76.4m）している。
ウエイトオシレート部シャフトのサクサス加工＆ハーフスプリングにより、キャスト時に後方へ移動したウエイトが着水の衝撃で前方へ移動。最後はマグネット（マグロックシステム）で引きつけてしっかりロックするため、ルアーの立ち上がりスピードが大幅に向上。マグロック化したことで、離岸流等の潮流が強い状況下におけるアクション安定性能が向上し、波の高い状況下においてもスイム姿勢を維持。ファストリトリーブ時でも波に揉まれにくい高遊泳力を実現している。
125Fに比べて125Sは、荒天下、逆風状態においてもひとつ上のキャスタビリティを誇り、従来攻略不可であったその先のポイントや、より深場へのミノーによるアプローチを実現。レスポンス性能、アピール性能では125Fに一歩譲るものの、荒天時、深場狙い時におけるそのアドバンテージは大きな武器となる。
オーバードライブ レーザーインパクト 80S/95S/120S（DAIWA）
【スペック】
- タイプ：ヘビーシンキング
- アクション：ワイドテールスイング
- サイズ：80mm、95mm、120mm
- 自重：32g（80S）、35g（95S）、45g（120S）
- 潜行レンジ：50cm～（80S、95S）、60cm～（120S）
- カラー：全8色
- 価格：2,100円（80S）、2,150円（95S）、2,200円（120S）※80S-LIは10月発売
後方重心スリム形状なおかつ高比重ボディ（80Sで32g、95Sで35g、120Sで45g）により飛距離が大幅に向上（80S：MAX106m、95S：MAX107m、108S：MAX112m）。にも関わらず水平ローリングフォールで沈み、通常は小粒で重くするとデッドスローリトリーブで泳がなくなるところを、ヘッドフィン搭載によりスローリトリーブでもワイドテールスイングアクションを実現している。
春から夏にかけてのベイトサイズが小さめのシーズンでは80S、迷ったらスタンダードサイズの95S、秋から冬にかけての大型ヒラメ狙いでは120Sがお薦めだ。
更に、このモデルにはレーザーインパクトが搭載されている。
レーザーインパクトとは、あらゆる方向に未体験の反射光を放つ革新的3Dマルチ反射構造のことで、サーフでもその効果を発揮するのかを検証したところ、今回の釣果も含め絶大な効果を確認できている。
サーフは相対的に水深が浅いことから、ターゲットとルアーの距離を縦方向で見ると他のエリアよりも近く、横方向で見ても水質がクリアな分だけより遠くまで光が届くため、縦横双方向においてターゲットにルアーを発見してもらえる確率は高くなる。
ターゲットは、目視と、体の側線でベイトフィッシュの波動を捉えることでベイトフィッシュを認識して捕食する。
ベイトフィッシュの波動が届く範囲は狭いためまずは目視で獲物を見つけるのだが、一般的なフィッシュイーターの視力は人間でいう0.1～0.3程度しかない。そのため、フィッシュイーターの好むイワシ等のウロコがキラキラと光るベイトフィッシュを見つける際は、まず水中でキラッと光る物体を探し、見つけたらとりあえず近づいて、あとはよく見ながら波動と併せて正体を認識したのち、本物と判断すればバイトしてくるのである。
レーザーインパクトは、鏡面反射という鏡の原理を採用しているので、ホログラム等の拡散反射より遠くまで光が届く分だけ、より広範囲のターゲットに発見してもらいやすくなっている。そして近寄ってきたターゲットは、レーザーインパクトのもう一つの特徴である「光の明滅」により本物のベイトフィッシュと見間違えてバイトしてくる。
レーザーインパクトはボディの内側に鏡面加工されたピラミッド型の多面体が複数配列されているが、一つ一つの鏡面は光る角度が異なるので、ルアーが動く、あるいはターゲットが動くことで、それぞれの反射光は一方向のみに向かうため、反射方向から外れた瞬間は光が消え、ルアー内の光る場所が刻々と変化する。これを「光の明滅」と表現しているが、実際、生きたイワシも泳ぐ際にウロコの角度が変化することで光る場所が変化し「光が明滅」する。
実はこの明滅が、ライブ感に大きく関わっており、バイトしてくる確率を高めているようだ。
レーザーインパクトは、鏡のような強い反射光でより広範囲からターゲットを寄せられるのが大きな特徴だが、個人的には、ターゲットが近寄った後の、ターゲットがライブベイトと見間違えるほどのライブ感（生きているように見える光り方）を推していて、これにより、まるで生餌を使用しているような素直なバイトを高確率で得られるようになった。
というわけで、レーザーインパクトの3Dマルチ反射構造による強反射光はサーフのヒラメでも高実績が出ているのでぜひお試し頂きたい。
カラーローテーションだが、朝夕のマヅメ時や濁りの強いときはパールやチャート、ピンク、グローなどのアピール系、レーザーインパクトの強反射系。日中はキラキラとしたフラッシングでアピールできるホロ系、レーザーインパクトの強反射系といった使い分けで良い。
タックル
この釣りではスローリトリーブでルアーのアクションを感じ取る必要があるため、感度優先で10～11フィートのミディアムライト～ミディアムクラスサーフ用ロッドが最適だ。
高橋さんはミノーとシンペンの繊細な動きを把握するため、ダイワのオーバーゼアグランデ109ML/Mを使用。
リールはダイワLT4000番がお薦めで、高橋さんはイグジストLT4000C-XHを使用、PEラインはモアザン12ブレイドの１号で、これにフロロカーボンのモアザンリーダーEXタイプF20lbをリーダーとして1mほど結束している。
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