昨秋、釣具のキャスティングが立ち上げたシーバスルアーブランド“Zeeee!(ジー)”。そのプロダクト第2弾が11月にリリースされた。リバンク99Fと名付けられたウェイクベイトだが、フィールドでアングラーにどんな景色を魅せてくれるのか?Zeeee! 開発スタッフのお二人にお話しをうかがった。
●文:ルアマガプラス編集部
リバンク99F(Zeeee!)
【スペック】
- 全長:99mm
- 重量:16.9g
- タイプ:フローティング
- フック:#3
- スプリットリング:#3.5
- 価格:1,650円(税込)
「必然性」涸沼の“カビボラ”ボイル撃ちでマストなルアーに磨きをかける
森戸正義(もりと・まさよし)
シーバスからオフショアまでソルトルアーフィッシング全般に精通するマルチアングラー。シーバスに関してはホームの涸沼水系を知り尽くすランカーシーバスの敵。キャスティング水戸店に勤務する。
全国各地のランカーと勝負できるルアーを開発
Zeeee!のルアーはシーバスの手練れスタッフ各々がほしいルアーを発案。選ばれたルアーがデュオとの共同開発で形作られていく。その第2弾でウェイクベイトを推したのが森戸さんだ。
森戸「私のホームフィールドは茨城の涸沼と涸沼川。涸沼水系は昔からウェイクベイトが強いですからね」
その理由は次のとおり。
森戸「涸沼は汽水湖でほとんど流れがありません。ベイトフィッシュはボラ(イナっ子)でその数は膨大。とくに夏から秋は病気でカビがはえたような“カビボラ”が増えて、遊泳力が落ちたボラを捕食するボイルが頻繁に起こる。そのボイルを撃つのにウェイクベイトが効くんです。もちろんウェイクベイトは涸沼以外でも活躍しますからね」
――既存のウェイクベイトが数ある中、リバンク99Fはどんな違いがあるのですか?
森戸「飛距離、立ち上がりの早さ、泳ぎ、引き波の出かた、サイズ感、カラーなどこだわりの塊です。全国各地にいるZeeee!スタッフの意見も取り入れながら開発しましたからね」
――リバンク99Fは全国区で活躍するということですね。
森戸「99mmのボディのわりに大きめな#3の2フックで涸沼水系はもちろん、全国各地のランカーと勝負できます」
「飛距離」浮力のあるボディに重めのタングステン重心移動ウェイトを搭載
森戸「マグネット重心移動を搭載していますが、飛距離を出すには重さも必要。飛距離に関してはウェイトが載せられる浮力と泳ぎのバランスがとれるボディ形状を一から設計しました」
「立ち上がり」着水直後から引き波が立てられるハイレスポンス
森戸「リバンクは泳ぎの立ち上がりの早さにこだわりリップ付き形状に。マグネット重心移動の磁力も改良を重ねて、着水直後からウェイクベイトの特徴であるボディのロールによる引き波が立てられます」
「泳ぎ・引き波」低速でもテールを振るようにロール。後を引くV字引き波を発生
森戸「アクションはゆっくり巻くとテールを大きめに振りながらしっかりロール。アピール力のあるV字の引き波を立てることができます。速めに巻くと水面直下に入り、ウォブリングによる強い波動が魚を呼びます」
「サイズ」99mmの絶妙サイズで全国各地のフィールドをカバー
森戸「涸沼水系だけで言えば全長は90mm台前半でも良かったです。でも東京湾をはじめ、各地のフィールドで使えるようにしたい。Zeeee!のスタッフの意見も取り入れた全国で通用するサイズ感です」
チャート系は色の強弱でカラーローテが可能。「初回限定カラー」は早めに入手を!
森戸「カラーラインナップはZeeee! 第1弾のサーフェイスコントローラーの流れを汲んでいますが、ウェイクベイトで実績があるのがチャート系。もっとも濁りに強いのが初回限定の『チャートカビボラ』。
森戸「ただ強すぎて魚が嫌がることもあるので、やはり初回限定で少し透け感のある『ハーフチャート』。チャート系で色の強弱の使い分けができます」
森戸「あと涸沼水系でも上げ潮で海水が入って澄むとナチュラル系やホロ系が効くことがあります。カラーも全国各地に対応します」
森戸「ウェイクベイトが最も活躍するのは夏から秋なので、初回限定カラーは来シーズンに備えて早めにお買い求めていただくことをおすすめします」
カラーは初回限定6色+スタンダード9色の全15色
使い方の基本は「デッドスローで巻く」こと。速度調整による変化も有効
森戸「リバンクの使い方は『引き波を立てながらデッドスローで巻く』これが基本です。ボイルが出ているエリアではストップ&ゴー、巻きスピードの調整でi字系からウェイクやその逆など、泳ぎに変化をつけるのも有効です」
森戸さんの裏技「ウェイトチューン」も効果的!
森戸「リバンクは水面直下、深くても水面下20cmまでを泳ぎますが、シーバスが水面まで出ないこともある。もう一枚、二枚下に入れたいときはウェイトを貼ります。ベストな貼る位置と量は調整中ですが、水面下30~40cmに入り、止めてサスペンド。巻き出しでバイトと結果は出ています」
デカい魚を呼ぶ!冬もリバンクの出番はある!!
外山桂大(とやま・よしひろ)
東京湾奥をホームに年間通してシーバスを追いかけるエキスパート。湾奥沿岸にほど近いキャスティング南行徳店に勤務し、店舗周辺の釣り場は“庭”というほど湾奥陸っぱりシーバスの事情通でもある。
引き波がいかせる状況に幅広く対応!
リバンクは涸沼のボイル撃ちを出発点に全国のフィールドで活躍するウェイクベイトとして開発。その点を東京湾奥で体現しているのがZeeee!スタッフの外山さんだ。
外山「森戸さん主導で開発して最初のサンプルが上がってきたときは、ファットなボディにリップ付きで飛距離がどうかなと思いましたけど、無用な心配でした。良く飛ぶし、アクションの立ち上がりも早い。多少流れのある東京湾奥の河川でも問題なく使えます」
――そもそも小波が立つような速い流れは、ウェイクベイトの引き波が消されてしまいますね。
外山「そう。リバンクはV字の引き波がいきるシチュエーションならどこでも使えます。流れのある河川でアップクロスのアプローチでもしっかり泳いでくれます」
――外山さんは湾奥河川のどんなシチュエーションで使います?
外山「水深2mくらいまでの浅瀬や、流速差のあるところ。あとは魚を呼ぶ力が強いので、気配はあるけど居場所が絞り込めないオープンなエリア。でかい魚を呼びやすい。千葉の干潟や九州の河川など各地のZeeee!スタッフの釣果がそれを裏付けています」
外山さんが実感したリバンクの可能性その1:「デカいシーバス」を呼ぶ力!
外山「発売当初(11/2発売)、ウェイクベイトが活躍する時季の出来事です。リバンクと同サイズのルアーを投げると40~50cmの数釣りができる状況で、リバンクに替えると60cm後半と急にサイズが上がった。全国的にみてもシーバスルアーのど真ん中のサイズですが、引き波や波動ででかい魚を引っ張れる。そのための#3のフックです。あとベイトフィッシュがリバンクより大きくても動きの強さでカバーできます」
涸沼水系をはじめ各地のテストでも実績をあげている。
外山さんが実感したリバンクの可能性その2:魚に「スイッチ」を入れて喰わせる
外山「河川でのリバンクの使い方は、ただ巻きやストップ&ゴー。流心と流れが緩むところの境目でモコモコ泳がしたりしますが、魚は居るはずなのに反応しないケースもある。そういうときは喰わせどころの直前からリトリーブを速めてレンジを入れてジャーク。そうするとスライドして巻き戻った瞬間、ドンッと喰います」
外山さんがリバンクに期待する可能性!「厳寒期」にウェイクベイトでランカー獲り
外山「近年は暖冬の影響か、東京湾奥の河川で冬にシーバスが東京湾の沖合に出てまったく釣れないということが意外と少ない。冬でも上げ潮のタイミングで潮にのって河口や河川内のシャローでイナっ子を捕食。厳寒期でもウェイクベイトが効いて、釣れる魚もでかいです。バチ抜けパターンよりサイズも数も釣れることがあります」
冬の可能性については森戸さんも言及。
森戸「2月、3月の涸沼のテストで何度もバイトがありました。表層系のオフシーズンでも魚を引っ張り出す力があります」
東京湾奥はシーバスの「裏をかく」カラーセレクトも必要
東京湾奥で有効なリバンクのカラーについてもアドバイスをいただいた。
外山「自信が持てるカラーが一番釣果に結びつくと思います。そういう意味でも実績があるマットチャートやハーフチャートは全国的に人気」
外山「ただ、東京湾奥はルアーを見たことのないシーバスは居ないくらい(笑)。チャート系だけだと見切られることもあるので、ナチュラル系など魚の裏をかく色があると良いです」
――具体的には?
外山「リバンクで初登場のケイムラシラスやゴーストライムOBなどクリア系とか。潮が澄んだときにも強いです」
釣具のキャスティングが誇る、シーバスエキスパート集団が徹底的な「現場目線」で作りあげたリバンク99F。これまでのシーバスルアーにはなかった要素が盛り込まれながらも、しっかりとビギナーの目線も踏まえたルアーは活躍の場を選ばないだろう。
第一弾のサーフェイスコントローラー、そして今回ご紹介したリバンクも、これからの時期まだまだ活躍の機会は出てくるはず。全国各地のシーバスアングラーたちのルアーローテーションの一角として強力な武器になること間違いなしだ!
第3弾ルアーも現在開発中!
既にZeeee!のHPには公開されているが、早くも第3弾のルアーをスタッフたちが鋭意テスト中!
キャスティング本部の川瀬さんは先日のウェーディング釣行ではグッドサイズをキャッチしている。
第3弾はどんなルアーとなるのか!? きっと全国のシーバスファンの期待を超えたこれまでにないルアーがリリースされることだろう。引き続き続報を期待したい。
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