
●文:ルアマガプラス編集部
ヒラマサとは?
ヒラマサは、スズキ目アジ科に属する大型の肉食魚。アジ科の中では最大種であり、全世界の温帯から亜熱帯海域にかけて広く分布している。日本では北海道南部以南で見られる。沿岸の岩礁帯から沖合までを高速で回遊し、その驚異的なスピードとパワーから「大海のスプリンター」と称される。釣り人にとっては、ブリやカンパチと並ぶ“青物御三家”の一角であり、その希少性と強烈な引きで、オフショア/ショアを問わず最高のターゲットとして君臨している。
よく似た魚にブリがいるが、ヒラマサは体形が側扁(平たい)であること、胸ビレが体側面の黄色いラインにかからないこと、上顎の角が丸みを帯びていることなどで見分けられる。食味はブリよりも脂が上品でさっぱりとしており、身が締まっているため、高級食材として扱われる。
船から狙うのが一般的だが、接岸していれば陸から狙うことも可能。根が点在する磯からだと狙いやすい。
ヒラマサの生態
水温18℃から24℃程度の比較的暖かい海域を好み、単独または小さな群れで行動する。遊泳速度は時速50kmを超えるとされ、イワシ/アジ/イカなどを猛スピードで追跡して捕食するフィッシュイーター。沿岸の浅瀬から水深100mを超える沖合まで、ベイト(餌)を求めて広範囲を回遊する。とくに、潮通しの良い岩礁帯や根まわりに着くことが多い。産卵期は春から夏にかけてで、成長がとても早いのも特徴である。
ヒラマサの釣りシーズン
ヒラマサは地域によって差はあるものの、おもに春と秋がハイシーズンとされている。
春マサシーズン(4月~6月)
産卵を意識して浅場に寄ってくる個体が多く、大型が狙える絶好のシーズン。ベイトを活発に捕食するため、ジギングやキャスティングなどのルアーフィッシングへの反応がとても良い。1年でもっともメーターオーバー=10kg超の大型ヒラマサとの遭遇率が高まる時期だ。
秋マサシーズン(10月~12月)
夏場の高水温期が落ち着き、再び適水温になるとヒラマサの活性が上がる。越冬に備えて荒食いを始めるため、数釣りが楽しめるシーズン。春に比べるとサイズはやや小ぶりになる傾向があるが、それでもパワフルな引きは健在で、とてもエキサイティングな釣りを楽しめる。
ヒラマサの釣り方
ヒラマサはその強烈な引きから、専用のパワフルなタックルが必須となる。ここでは船からの代表的な釣り方を紹介する。
強烈な引きに耐えられるタックルが必須。
落とし込み釣り(縦釣り)
船でベイト(イワシやアジ)の群れを探し、その群れの中でサビキ仕掛けを使ってベイトを掛け、そのまま仕掛けを海底付近まで落とし込んでヒラマサなどの大型魚を狙う豪快な釣り方。
仕掛け例
- ロッド: 落とし込み釣り専用ロッド(7:3調子/オモリ負荷80~150号対応)
- リール: 大型電動リール(PE5~6号を300m以上巻けるもの)または大型ベイトリール
- ライン: PEライン 5~8号
- リーダー: フロロカーボン 16~24号を2m前後
- 仕掛け: 落とし込み専用サビキ(幹糸14~20号/ハリス12~20号/針は強靭な青物用)
- オモリ: 80~150号(潮の速さで調整)
完全フカセ
オモリを使わず、潮の流れに乗せてマキエ(オキアミ)と同調させながらサシエを流し込み、ヒラマサを狙う釣り方。ラインをフリーにして魚に違和感なく食わせるのが特徴で、スリリングなやり取りが魅力だ。
仕掛け例
- ロッド: 3m前後の船竿(50号負荷程度、外ガイドのフカセ用が望ましい)
- リール: フカセ釣り専用リール/カウンター付きベイトリール(スプールの回転性能が良いもの)
- ライン: フロロカーボン 6~8号を200m以上(道糸とハリスを通しで使うのが一般的)
- ハリ: ヒラマサ/ブリ用フック 12~14号
- エサ: オキアミ(マキエ/サシエ兼用)
ジギング
メタルジグと呼ばれる金属製のルアーを使い、ロッド操作で巧みに操ってヒラマサの捕食本能を刺激する釣り方。ヒラマサ釣りの代名詞とも言えるスタイルで、ダイレクトなアタリとファイトが味わえる。
仕掛け例
- ロッド: 6ft前後のオフショアジギングロッド(スピニング/ベイト MAX200gクラス)
- リール: スピニングリール8000~14000番/ジギング用ベイトリール
- ライン: PEライン 3~5号
- リーダー: フロロカーボンまたはナイロン 50lb~100lbを3~5m
- ルアー: メタルジグ 100g~250g(セミロング~ロングタイプが主流。シルバー系/ブルーピンク系など)
- フック: アシストフック(ジグのサイズに合わせ、5/0~9/0などをシングルまたはツインで装着)
ゲーム性の高いジギングで狙うヒラマサ。
ヒラマサの食べ方
上質な白身は、熱を通しても硬くなりにくく、さまざまな料理でその価値を発揮する。旬である春~夏はとくに美味である。
意外にも市場などではあまり見かけないヒラマサ。釣れたら食べてみたい魚だ。
刺身
新鮮なヒラマサの真価をもっとも堪能できる食べ方。血合いが美しく、締まった身は歯ごたえがあり、噛むほどに上品な旨みと甘みが広がる。ブリに比べて脂がしつこくないため、いくらでも食べられると評される。
しゃぶしゃぶ
薄切りにしたヒラマサの身を、サッと出汁にくぐらせていただく贅沢な料理。火を通すことで身の甘みが一層引き立ち、余分な脂が落ちてさっぱりと食べられる。ポン酢やゴマだれで味わうのが一般的。
照り焼き/塩焼き
カマや腹身など、脂の乗った部位はシンプルな焼き物が絶品。照り焼きは甘辛いタレとヒラマサの旨みが絡み合い、ご飯が進む一品となる。塩焼きは、ヒラマサ本来の味をストレートに楽しむことができ、皮目の香ばしさが食欲をそそる。
カルパッチョ
さっぱりとした身質は、オリーブオイルや柑橘類との相性も抜群。薄切りにした身に岩塩/ブラックペッパー/オリーブオイルをかけ、香味野菜を添えるだけで、お洒落な前菜が完成する。
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