〈初心者の釣り〉“マダラ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【冬の味覚の王様、深海から挑む白銀の巨体】

●文:ルアマガプラス編集部

マダラとは?

マダラは、タラ目タラ科に属する魚。名前に「まだら」とある通り、背中から体側にかけてまだら模様があるのが特徴だ。大きな頭と口、そして下アゴに1本だけ生えたヒゲを持つ、とても貪欲な魚として知られている。北日本の太平洋/日本海/オホーツク海などの冷たい深海に生息しており、冬の味覚の代表格として、また釣りのターゲットとして高い人気を誇る。とくに「タチ」や「キク」と呼ばれる白子は、絶品の高級食材である。

冷たい深海に生息しているマダラ。冬の味覚の代表格。

マダラの生態

水深200m以上の大陸棚や大陸棚斜面に生息する典型的な深海魚。海底付近を群れで回遊し、季節によって生息水深を変える。冬の産卵期には比較的浅場に移動してくる傾向がある。食性はとても貪欲な肉食で、カレイなどの魚類、エビやカニなどの甲殻類、イカなどを大きな口で丸呑みにする。大型のものは1mを超え、その重量感あふれる引きは釣り人を魅了する。

マダラの釣りシーズン

マダラは通年狙うことができるが、とくに人気のシーズンは冬。

ハイシーズン(12月~3月)

産卵のために浅場へ接岸する個体が増え、群れがまとまりやすくなるため、もっとも釣りやすい時期。何より、オスの白子がもっとも大きくなり脂が乗るため、食味を求める釣り人がこぞって船を出すベストシーズンだ。「寒ダラ」とも呼ばれ、この時期のマダラは格別とされる。

通常シーズン(4月~11月)

産卵期を終えたマダラは深場へと戻るが、ポイントを選べば周年釣ることは可能。夏場は水温の上昇に伴い、さらに深い水深を狙うことになる。この時期は白子ではなく、身そのものの味を楽しむ釣りとなる。

マダラの釣り方

マダラ釣りは、水深200m以上を狙う船からの釣りが一般的。

スーパーなどでよく見るマダラは狙って釣ることができる。

タラジギング

重いメタルジグを深海まで沈め、アクションさせてマダラを誘う釣り方。水深が深く、重いジグを扱うため、専用のタックル、とくに電動リールが必須となる。マダラの群れ(ポイント)に船をつけ、船長の指示ダナ(魚がいる水深)を集中して攻めるのが基本だ。

仕掛け例

  • ロッド: スローピッチジャーク用ジギングロッド(3番~5番クラス)
  • リール: PEライン1.0~2.0号を500m以上巻けるベイトリール
  • ライン: PEライン 1.0~2.0号
  • リーダー: フロロカーボン 5~6号を3~5m程度
  • ルアー: メタルジグ 200g~500g(潮の速さで調整、地域により差あり)
    • 形状: スローピッチ系/セミロング系など
    • カラー: 赤金/シルバーグロー/ピンクグローなど、アピール力の高いものが定番
  • フック: ジグの上下にアシストフックを装着(3/0~4/0サイズ)
    • ※フックにタコベイト/ビニール片/魚の皮などを付けてアピール力を高めるのが効果的

マダラの食べ方

マダラは捨てるところがない魚と言われるほど、身から内臓まで余すことなく食べることができる。ただし、身は水分が多いため、調理に一工夫加えることでより美味しくなる。

スーパーでもよく見かけるタラの切り身。

白子(タチ/キク)

マダラを語る上で欠かせないのが、オスの精巣である白子だ。クリーミーで濃厚な味わいはまさに絶品。「タチポン(白子のポン酢和え)」が定番だが、サッと湯通ししてから天ぷら/ソテー/鍋の具にしてもとても美味しい。

鍋物(たらちり/じゃっぱ汁)

淡白で上品な身と、アラから出る濃厚な出汁は鍋物に最適。昆布だしで身や野菜を煮る「たらちり」は冬の定番だ。また、青森の郷土料理である「じゃっぱ汁」のように、頭や骨などのアラと内臓を味噌で煮込むと、マダラのすべてを味わい尽くせる。

フライ/ムニエル

水分が多いマダラの身は、油を使った料理と相性が良い。塩コショウで下処理をして水分を抜き、フライやムニエルにすると、外はサクッと、中はふっくらと仕上がる。フィッシュアンドチップスの本場イギリスでもタラ類が使われるのはこのためである。

昆布締め

新鮮なマダラの身を昆布で挟んで一晩置くことで、余分な水分が抜けて身が締まり、昆布の旨味が浸透する。ねっとりとした食感と凝縮された旨味は、最高の酒肴となる。

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