[夏の魚を釣りたい!] シイラ:夏の海を駆ける最強のスプリンター

●文:ルアマガプラス編集部

シイラとは?

シイラは、スズキ目シイラ科に属する大型の肉食回遊魚。全世界の温帯/熱帯海域に広く分布し、日本近海では黒潮に乗って夏に北上してくる。エメラルドグリーンや鮮やかな黄色に輝く美しい魚体と、万力に喩えられるほどの強烈な引きが特徴だ。成長したオスは額が大きく張り出すことから「デコッパチ」とも呼ばれる。英名では「Dolphinfish」や、ハワイでの呼び名である「マヒマヒ」としても世界的に知られている。

シイラのオス。オスは成長と共に額が大きく張り出す。

シイラの生態

沿岸から沖合の表層を高速で泳ぎ回り、積極的にベイトを追いかける。また、潮目や流れ藻/流木といった海面の浮遊物(漂流物)に付く習性がある。これは、漂流物が小魚や甲殻類の隠れ家となり、それを餌とするシイラにとっては絶好の狩り場となるため。好奇心が旺盛で、ルアーへの反応も極めて良い。ヒットした後は水面を割って激しくジャンプを繰り返す、とてもアグレッシブなファイターだ。

水面付近を泳ぐ小魚はシイラの絶好の獲物。

シイラの釣りシーズン

日本近海におけるシイラ釣りのシーズンは、黒潮の北上に伴い、水温が上昇する夏が中心となる。

メインシーズン(6月下旬~10月上旬)

相模湾/駿河湾/遠州灘といった本州の太平洋側でシーズンインし、8月から9月にかけて最盛期を迎える。この時期は船からのオフショアキャスティングで、数/型ともに狙うことができる。とくに、大きな漂流物を見つけることができれば、高確率でシイラの群れに遭遇できる。

シイラの釣り方

船で沖に出てキャスティングで狙う。表層を回遊するシイラに対してトップウォーター系のルアーで狙う釣りが一般的。魚影は見えるもののトップに反応がない場合は沈めて狙うことができるヘビーシンキングペンシルやシンキングミノーも有効だ。

オフショアキャスティング

船を走らせながら目視で漂流物や潮目を探し、そこに潜むシイラをポッパーやダイビングペンシルなどで誘い出して釣るエキサイティングな釣り。シイラがヒットすると、強烈な走りとジャンプでアングラーを楽しませてくれる。群れに当たると連続ヒットすることもあり、“夏のシイラゲーム”として人気のジャンルだ。

仕掛け例

  • ロッド: 7ft~8ftのオフショアキャスティングロッド(シイラロッドや青物用キャスティングロッドなど)
  • リール: スピニングリール 4000番~8000番(ドラグ性能の高いモデルが望ましい)
  • ライン: PEライン 2号~4号
  • リーダー: ナイロンリーダー 40lb~80lb(バイト時の衝撃を吸収するため、フロロカーボンよりもナイロンが好まれる)
  • ルアー:
    • トップウォーター: 120mm~180mmのダイビングペンシル/ポッパー
    • シンキング: ヘビーシンキングペンシル/シンキングミノー
  • フック: バーブレスフックの使用が推奨される。手返しが良くなり、魚体へのダメージも軽減できる。

シイラの食べ方

シイラの身は、熱を通しても硬くなりにくい淡白な白身。ただし、鮮度の低下がとても早いため、釣った際は速やかに血抜きと内臓処理を行い、氷水でしっかり冷却保存することが重要だ。鮮度が良ければ刺身でも食べられるが、アニサキスなどの寄生虫のリスクを考慮し、加熱調理がより一般的で安全。

見た目は派手だが、淡白な白身を楽しめるシイラ。

フライ

シイラ料理の代表格である。クセのない白身は油との相性が抜群で、外はサクサク、中はふっくらと仕上がる。タルタルソースをたっぷりかけて食べるのが定番で、子どもから大人まで楽しめる一品だ。

ムニエル

フライと並んで人気の調理法。バターと醤油の香ばしいソースが、シイラの淡白な身の旨味を引き立てる。レモンを絞ってさっぱりと食べるのも良い。

ハーブ焼き(ポワレ)

オリーブオイルで皮目をパリッと焼き上げ、ローズマリーやタイムなどのハーブで香り付けするお洒落な料理。トマトソースやバルサミコソースとも相性が良い。


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