広範囲の釣りをカバーするテンリュウ「NEW ブリゲイドフリップ」で五目釣りにチャレンジした結果…!?



あくまでもメインターゲットはアオリイカ、つまりエギング用なのだが…同じフィールドで釣れる他の魚種とも無理なく、そして楽しく遊べるロッド、ブリゲイドフリップ(BRIGADE Flip)。今回はそんな『よくばりコンセプト』なロッドを使って、テンリュウの開発担当・舟木雄一さんによる実釣取材で愛知県知多半島の先端に浮かぶ離島、篠島・日間賀島を訪れた。アオリイカをメインにその時、その場所で釣れるさまざまな魚種も狙おうという、縛りがないライトな五目ゲーム釣行だ!

■舟木雄一(ふなき・ゆういち)

テンリュウ釣具事業部に所属。
幼少期からショア、オフショアを問わずさまざまな釣りを経験し、現在はライトジギングをメインに釣行を重ねている。

『エギングロッドの汎用性』を、あえて徹底追求した“使える1本”

舟木「前情報では今年最後の産卵組であろう1キロ未満の固体と、早生まれでコロッケサイズまでは満たない小イカが岸際に混在しているという話でしたが…コレはちょっと、厳しそうですね…」

舟木さんが厳しいと判断する理由は…『濁り』だ。どうも取材当日の数日前に東海地方では局地的な大雨が降ったようで、その影響でフィールドのコンディションが良くない状況…。正直、エギングには致命的ともいえる大打撃…いや、他の魚を釣るのにもだいぶ厳しいのでは!?

舟木「とはいえ、東海地方が全体的にこんな感じならば、もう逃げられませんよね(笑)。腹をくくって頑張ってみますよ! 風向きや潮の流れる方向を確認して、できるだけ濁りが少ないエリアを探しましょう」

ご覧の通り、おおよそエギングには適していないと思われるキツイ濁り…。果たしてアオリイカは反応してくれるのか? いや、そもそもアオリイカはいるのか!?

最初に辿り着いたのは、足場がキレイに整備されている護岸エリア。確かに他のエリアよりは若干だが濁りが薄い。フルキャストして届く範囲より少し沖側にブレイクラインがあるようで、地元の漁船が周辺をひんぱんに行き来している。

舟木「何を獲ってるんでしょうね…」

この『何』の正体を後々知ることで、この後のゲーム展開に大きく影響することを、この時点では誰も予測していなかった…。

3.5号のエギをフルキャストして届くより少し沖側、おそらくブレイクラインがある辺りを小型の漁船が行ったり来たり。獲物の正体が、まさか『アレ』だったとは…。

舟木「濁りが薄い浅場にアオリイカが上がっていることを期待して、まずは3.5号のエギで広く探ってみます。まだエリアもエギのサイズも絞り込みができていないので、シリーズ中もっともバーサタイルに使えるBGF852S-Mが先発です」

【BGF852S-M】

【スペック】
●全長:2.57m
●アクション:レギュラー
●自重:96g
●ルアー(エギ):MAX30g(エギ3.5号)
●PEライン:MAX1.2号
●価格:38,500円

舟木「一般的なエギングロッドのMパワーよりは若干柔らかめなので、3号エギががベストマッチですが3.5号でも十分に使えます。特に3.5号の場合は、しなやかなティップを活かしたスラックジャークなどでネチネチ誘えば、スレ気味のイカにも反応させられます」

エギに反応あり! しかし、本命のアオリイカか…!?

フルキャストして広範囲をサーチするが、アオリイカからの反応はない…他のエリアよりは薄いとはいえ、やっぱりこの濁り。エギングには難しいか…と思った瞬間、エギにアタックあり!!

舟木「…アオリイカじゃないですね。ちょっとキビレっぽい感じかな? ポッパーに替えてみましょう。中型クラスのチヌやシーバスにも、この852S-Mは十分に対応できます。マグナフレックス製法によるソフトなティップはハードルアーのアクションも付けやすく、ついばむようなバイトでも弾きにくいです」

生命反応があったスポット周りを速めのアクションでサーチすると…早速のバイト! だが…キビレにしては引きが弱い??

舟木「ツバス?…いや、モジャコサイズですね(苦笑)。想定していた展開ではありませんでしたが、とりあえずはコンセプト通りのバーサタイルな面をお見せできた…かな?(笑)」

アオリイカは確かにいる。しかし…エギが届かない…!!

小型とは言えども青物とのスモールゲームを楽しんだ後は、再びエギングにトライするも…やはりアオリイカからの反応はない。濁りが薄いエリアを探しながらラン&ガンしていると、地元の方に声を掛けられた。

地元の方「何を釣っとるがね?」

舟木「アオリイカを狙っているんですが…時期的にはまだ釣れますよね?」

地元の方「おることはおるけど、もう浅場にはおらんて。(沖を指差して)あそこで漁師が獲っとるやろ? あれがアオリイカだがね」

何と…前述のブレイクライン周辺を行き来していた漁船は、アオリイカを獲っていたとは!! 地元の方によると、取材を行った7月下旬までは漁協の競りでも1キロクラスのアオリイカは頻繁に揚がるらしい。

ただ、その漁場はほとんどが陸っぱりからでは届かない、ブレイクラインから沖側の深場らしい。もちろん浅場にもいないことはないが、やはりこの『濁り』である。クリアな水質を求めて深場に下がったことは容易に想像できる。

つまり、ほとんどのアオリイカが深場に下がり、それを獲っている漁師さんたちの姿を見ながらエギングをしていたことになる…。

舟木「コレはもう…エギングは難しいということですね。ならば今回は『その他の魚種』をメインに狙っていきましょう! 幸か不幸か、ブリゲイドフリップのコンセプトが活きる形になりましたね(笑)」

ターゲットを限定せず、その時、釣れる魚を楽しむのもアリ!

前向きに捉えて、その他の魚種へと狙いをチェンジ!  はてさて、次は何を狙うのだろうか?
舟木「小磯交じりの消波ブロック帯が点在しているので、地形の変化やブロックの隙間をライトリグで狙っていけば…やっぱり喰いましたね!!」

舟木さんの予想通りというか、もはやライトゲームの定番ターゲットというか、上がって来たのはアングラーの癒しの友『カサゴ』だ。

舟木「5gのライトテキサスに合わせたのは、872S-MLMというもっともライトアクションのモデルです。極細ラインを使えば、軽めのジグヘッドリグでのアジングさえも楽しめます」

【BGF872S-MLM】

【スペック】
●全長:2.62m
●アクション:レギュラー
●自重:92g
●ルアー(エギ):MAX25g(エギ3.5号)
●PEライン:MAX1.0号
●価格:38,000円

舟木「ミディアムライトとミディアムの中間的なローパワーモデルで、エギなら3号以下が操作しやすく、これからの秋イカシーズンには最適な1本です。チューブラーなのにソリッドのような味付けのティップを活かして、陸っぱりからのティップランも可能です」

『アオリイカ以外』にシフトした途端の釣果に気を良くしたのか、ラン&ガンのペースが一気に上がる舟木さん。次は何を狙うつもりだろうか…。



シリーズ随一のパワフルモデルでフラットフィッシュを狙え!

舟木「マゴチの情報もありましたので、試してみます。港湾部の沖は砂地が続いているようなので、ロングキャストしてボトムをトレースしてくればもしかして…」

取り出したのは29gのテールスピンジグ。濁りの中でもブレードのフラッシングで、存在感を高めようという作戦のようだ。

ルアーのウエイトを一気にアップしたことで、ロッドも一番パワフルな832S-MMHへとチェンジ。

【BGF832S-MMH】

【スペック】
●全長:2.51m
●アクション:レギュラー
●自重:100g
●ルアー(エギ):MAX35g(エギ4.0号)
●PEライン:MAX1.2号
●価格:39,000円

舟木「『カーボンナノチューブ素材(C・N・T)』の採用で、ブランクスが曲がり込む時に起きる、ひしゃげるようなツブレに対して非常にネバリ強い。テールスピンやメタルジグなどの重量級ルアーのフルキャストはもちろん、4号エギを思い切りシャクってもしっかりダートさせられるパワーを持っています」

フルキャストできるだけでなく、キャスト直後にティップがブレずにラインをスムーズに収束して抵抗を最小限に抑えるので、その分飛距離の伸びにも違いが出ているようだ。

舟木「ハリが強く感度も高いので、ボトムとレースすると砂地の感覚が手に取るように判ります…キタっ…かな!?」

3本中もっともパワフルな832S-MMHが大きく曲がる。コレはでかい!? と舟木さんも笑顔を見せた次の瞬間…。
舟木「…あっあぁぁぁぁ…バラしちゃいました~スイマセン(泣)」

痛恨のフックオフに、思わずしゃがみ込む。濁りが強いだけに魚の姿は確認できなかったが、本命のマゴチか、キビレか、それともシーバスか…。いずれにしても、逃がした魚は大きかった。

その後も目ぼしいポイントではエギングにチャレンジするも、どうあがいても強い濁りには勝てず…。最後のオマケに『外道の極み』(と書いて、フグと読む)を釣っての納竿となった。

舟木「本命のアオリイカは残念でしたが、そのおかげ(?)でブリゲイドフリップのバーサタイル性能の片鱗は、お見せできたかもしれません。再びチャレンジできるのなら、次こそは『エギングがメインです!』という本来の姿を、余すことなく見せ付けたいと思います!!」

これまたお約束? と言うべきか、外道中の外道とも言えるフグをメタルジグでゲット。何ともホロ苦いエンディングとなった…。

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