おかげさまで、釣り場の怖い話シリーズ、大好評。いままでは、ウォーミングアップ的に少し投下させていただきましたが、そろそろガチで怖い話をしましょうか。さぁ、信じるも信じないものあなた次第。今回は、苦手な人は夜読まないようにね〜。では釣り人のMさんよろしくお願いします。
●文:ルアマガプラス編集部
若かりし頃の釣り遠征。長野県某所に釣りにでかけた時の話です。
私が20歳前後の話ですからもう20年以上昔の話しです。
長野県A町に友人が仕事の関係で引っ越しまして、そのA町は四方が山に囲まれた町なんですね。
友人が言うにはすぐ近くの渓流にはイワナが普通にいて、簡単に釣れると言うのです。それならば、休みを使って仲間と釣りに行こうと言う話になったんです。
当時、軽自動車に乗ってたんですが、男4人その狭い軽自動車にパンパンに荷物を積み込んで友人宅に向かいました。
実は、友人宅は小さな平屋のアパートで、大人が3人も寝れば足の踏み場もないとの報告を受けていたんですね。
ただ、小さな庭があり、小型のテントなら設営できると言うものですから、ホテルや宿に泊まるのももったいないですし、テントを持参することにしました。
2人はアパートの中に。私ともう1人はテントに泊まる算段になったんです。そんな計画ですから、軽自動車は荷物で窮屈だったんですね(笑)
そんなこんなで、中央道を使い、下道を走り、その友人宅に着いた頃には夕方になっていました。
到着後、急いでテントを設営し寝床を確保しました。設置したのはよいのですが、確か1〜2人用のテント。モンベルのムーンライトだったと記憶しています。荷物を少し置くと手狭なので、それならいたしかたなしということで、私だけ載って行きた軽自動車で車中泊することになりました。
狭いながらも、友人宅で飯を喰い、翌日マヅメから釣りがしたいとの話になったことから、早めの就寝とあいなりました。それでも22時くらいだったかと思います。2人は友人宅に。もうひとりはテントに。そして私は、車へ向かいました。
私が車を停めた空き地は、友人の平屋アパートから少し登った場所にありました。幸い、小学校の門の近くということもあってか、明るくはありませんが常夜灯が灯っており、真っ暗ということはありませんでした。
仄暗いものの、あたりは見渡せるぐらいでしょうか。明るすぎるわけでもありませんので、寝るにはちょうどよいくらいです。
なにせ、その明かりがなければ、たいした光源もありませんから、月の光でかろうじて物の輪郭がとらえられるくらい闇の世界です。
明日も早いですし、運転の疲れもあります。私は車の助手席を倒し、そのまま寝ることにしました。夏場ですが標高も高かったこともあり、涼しく、そのまま眠りにつきました。
やはり丑三つ時には何かがあるのか…。
私はどこでも寝れるタイプでした。1日、2日程度の車中泊なら全然平気でしたし、ズボラなのもあってテントで寝るよりもさっさと起きたら移動に入れることから、車中泊大好きだったんですよね。なので、寝付きが悪いこともないのですが、ふと夜中に目が覚めました。時計を見ると午前2時頃…。
涼しいとは言え、夏場ですから車内が蒸していたこともあり、まずは換気をすることにしました。当時載っていた軽自動車はパワーウィンドウではなく、ノブをくるくると回すやつでしたね。椅子を起こし、そのノブに手を掛けて回そうとした瞬間、妙な寒気と、悪寒がしたんですね。で、換気のために窓を開けるのを一瞬、躊躇しました。
目は冴えていますし、寝ぼけてもいません。私、時々その手の幻覚をよく見るタイプで…。見る時に起こる感覚…、雰囲気というのでしょうか…。その時、これは…。と思いました。
常時見えるわけじゃないんです。ラジオのチューニングがあったかのように、何かと繋がるような…。妙な感覚に陥ったときだけ、見るんですよね…。
しかも、今までに感じたことのない妙にふわふわとした感覚です。確信はあったのですが、恐る恐る気配のした方を見てみました。
……。人が覗き込んでいる。しかも1人や2人じゃない。複数だ。もしやと思って、直ぐ側の窓の方を向くと、表情までは確認できませんが、人影が見えるのです。そして、ニヤニヤと覗き込むような「感覚が」するのです。確かに誰かが覗き込んでいます。
…。これ、囲まれてるな…。直感しました。バックガラスにも。フロントにも…。フロントなんて上から覗き込んでる…。
こういう時は相手をすると面倒くさいというのを経験上知っています。起こしていた椅子を再び倒して、横になってやり過ごそうと思いました。視線は感じますし、覗き込んでいるのはわかっていますが幸い、中に入ってくる様子はありません(窓を閉めていると、そうそう、中に入ってこないというのも経験上知っていました)。
そう、寝ぼけている。睡眠の間に見ている幻覚である。そうである。だから寝ればなんてことはない…。おやすみなさい…。おやすみなさーい。
しかし、このときばかりは上手くいきません。憑依などの経験されたことのある方はおわかりかと思いますが、心の源泉をぎゅっと掴まれるような、そして何かに繋がり、深淵に引き込まれるようなそんな妙な不安と動悸が同時に襲い、油汗が流れます。
これはマズイかもしれない。でも、外に出るのもマズイ。どうしよう。でも、この場合の対処策は私のなかでは一環してます「物事すぎるまでガン無視!」。
でも、このときばかりは、周りの妙なモノたち…。カチンときたのかもしれません。無視をし続ける私をあざ笑うかのように、動き始めます。まずは、ドアののロックが上ったり…下がったり。ええ、自然にです。パコ…パコパコっつ…。幻覚までならまだしも、物理的な怪現象が起こってしまっては、もう脳のエラーだとかそんな風に自身も納得できません。
これは、ちょっとどうにかせねば…。寝かしていた助手席の椅子を起こし、変な感覚に陥りそうな意識をしっかり保つことに努めました。
で、さすがに場合によっては友人宅に逃げ込むしかないと思いました。そんなこんなで、急ぎ靴を履こうと意識した瞬間(その時、靴を脱いで裸足だったもので)、がっちり、しっかりと…金縛りに遭いました…。
金縛りから開放されたときに意識に流れ込んできたのは……!?
目の前のフロントガラスには数名の人影が覗き込んでいるのがわかります。これは、ちょっと洒落にならん…。なんとか金縛りを解きにかかります。
しかしあざ笑うかのように、その拘束がきつくなっていくような感覚に囚われました。こんなことは初めてです。ドアのロックの上下運動だけではなく、今度は運転席の椅子がゆっくりと倒れていったり、戻ったり…。こんな激しいポルターガイスト的な現象は初めてです…。
流石にヤバイ。なんとかしなくては…、しなくては…。
このとき、ロックをかけていた助手席側のドアがドン!と開き、裸足のままの両足がすくりと左側に勝手に向いて地面に足がついたと当時に金縛りが解けました。
これはチャンスと、一目散に駐車場の下にある友人宅に駆け込みます。まずは、テントで寝ている友人を叩き起こして助けを求めますが、こちらも気が動転しています。話が上手く伝わりません。でも、生きている人がいるだけで安心感はあります。ただ、妙な感覚は収まりません。このまま死ぬんじゃないかというような恐怖感が心を覆います。
そんななか、飛び込んだテントの壁に月の光と草木の影が目のような模様を作り、それが瞬きしたように感じて(これは実際にあったというより恐怖でそう感じただけだと思います)、テントもヤバイ! そう感じ、慌ててそこを飛び出し、平屋の友人宅になだれ込みました。
そこで、事情を話して、あまりにも怖いし、なにか体調が悪いので泊めて欲しいと懇願しました。そこから朝までどう過ごしたのか、あまり記憶ありません。
翌朝、落ち着いたところで昨晩あった事を友人に整理して話しました。友人は話し半分ではありますが、耳を傾けてくれました。
ただ、鍵も閉めずに、ドアも開けっ放しのまま車を飛び出してきたことを思い出しました。朝とはいえ、まだ恐怖も残っていますので、友人についてきてもらい、車の状態を確かめに行くことに。すると、車を見て、友人も顔色を変えました…。
「なんだよ、この無数の子供の手形…」
「子供が脅かすためにいたずら…ってことないよね」
「この付近にこんな手の混んだいたずらするヤツいねぇよ…」
ガラスやボディに小さな子どもの手形がたくさん着いていたんです。さすがにぞっとしました。夜露でその汚れが嫌な具合で付着しており、さらに恐怖を煽ります。
朝から釣りどころではありません。ちょうど、その小学校の横にお寺があるとのことで、車を持ち込みすぐにお祓いをしてもらいました。その時、ことの顛末を話ししている最中に、ふと思い出したんです。
「両足がさ、地面にスッと着いた時に、意識のなかに2km先にある橋に行こうとしてたって感覚というか、思いというか、記憶があるんだけど…この先って橋があったっけ?」
土地勘はありませんし、行きにそういった橋があった記憶もありませんが友人と住職が顔をあわせたんです。
「確かにここから少しいったところに橋がありますよ…。ただ…」
「ただ…?」
「……の名所なんですよね…。子供が…という話しは聞きませんけどね…」
それ以来、そこの土地には一切足を踏み入れておりません。私の経験の中では、本当に怖かったお話です。後にも先にも、もしかしてなんて危ない?なんて焦るような怪奇現象は経験はしたことありませんので…。
釣りですか? この後、少し場所を変えて楽しみましたけどね(笑)
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