トップでバスを釣るための『道具』へのこだわりQ&A【三原直之、林宗朗、伊藤巧】

水面が炸裂して大興奮! トップウォーターの釣りは、このひと言で片がつくほどにオモシロイ。しかし相応の難しさがあることは、多くのアングラーが知るところだろう。そんな水面の釣りを『憧れ』で終わらせないためにはどうすればいいのか? バス釣り業界を代表するトップウォーターフィッシングの達人に、ベーシックな知識からお役立ち情報、そして表層の釣りの核心部まで、根掘り葉掘り教わろう! 今回は表層の道具へのこだわりについてのQ&A。

●文:ルアーマガジン編集部

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トップウォーターQ&Aに回答していただいた三達人

三原直之(みはら・なおゆき)
国内最高峰トーナメントカテゴリー・JBトップ50で活躍する若きトーナメンターで、あの今江克隆さんも舌を巻くほどの実力を誇る。大胆さと緻密さを兼ね備えたそのスタイルは、底知れない奥深さを感じさせる。

林宗朗(はやし・むねあき)
千葉県市原市にあるショップ「スローテーパー」の代表。伝説のバスアングラー・則弘祐氏の意思を受け継ぐアングラーとして知られるトップウォータープラッガー。ちなみにトップ専門以外の人(色々なルアーを使う人)のことは「オールレンジの人」と呼ぶ。

伊藤巧(いとう・たくみ)
日本を飛び出し、今やB.A.S.S.トーナメントで活躍する若きロードランナー。師匠である田辺哲男さん譲りの理論的なゲーム展開は、あらゆるフィールドで印象的な釣果を残す。ルアマガプライムでは陸王漫画化プロジェクトの主人公にも抜擢されている。

【Q16】どんなロッドがいいですか?

伊藤巧
伊藤巧

アクションとアキュラシーが出せるロッド
糸の素材にもよるけど、基本的にはルアーにアクションをしっかり付けられる範囲で硬すぎないロッド。かつ、狙ったスポットへしっかり撃ち込めるモノですかね。

林宗朗
林宗朗

曲がる感触がはっきりと分かるロッドがいい
オールレンジの人はロッドというよりリールで投げていて、ロッドは二の次の印象があるけど僕らの釣りは、ルアーの重みでロッドを曲げて投げるのが基本。だから初心者の人にはゆっくり曲がって戻っていくグラスロッドをオススメしています。
弾性率の違いがあって、ルアーの飛行スピードがカーボンは速い。そんな中でサミングをどうしよう、右に振ろうか左に振ろうか…と判断しなきゃいけない。それをグラスなら、ゆっくり飛んでいくルアーに干渉しやすいんです。でも急にグラス、ってハードル高いですよね。
まずは6ftくらいでシャロークランクなんかを投げられるレギュラーがいいですよ。ちなみにリールは性能でいえばコンクエストですけど、アンバサダー。なぜアンバサダーがいいのか? その理由を語るには一晩掛かりますよ(笑)。

三原直之
三原直之

レギュラーからスローの張りのあるロッド
レギュラーからスローテーパーだけど、張りのあるロッドですかね。特にポッパーやクローラーベイトのようにラインがたるんだ状態のときに食ってくるタイプほど重要です。

【Q17】カラー選びのセオリーはありますか? (黒が効く? 等)

伊藤巧
伊藤巧

エサに合わせます
シャローでブルーギルを追いかけてるときは黒、シャッドを追ってるときは白、へリング系はクロームなど、僕の場合はエサに合わせています。黒の話ですが、シルエットがはっきりでるからみんなが使うんだと思うけど、有効かどうかは正直わからないですね。

林宗朗
林宗朗

めちゃくちゃかっこいいと思う色でやるべき
色による差は確実にありますが、それが感じられるほど釣れるかというと、釣れない。だとしたら、1番好きなルアー、疑わず投げたい色で釣るのが正解です。細かいことよりも、もっと大枠のほうが大事。最終的にはどれだけ思い込めるか…という世界になります。だからこそ、プロはそこで嘘をついて欲しくないですね。

三原直之
三原直之

スローなら黒
ポッパーやフロッグなど、ある程度スローに動かせて、虫やエビをイメージさせるルアーは黒が基準になりますね。一方で、ペンシルなどはお腹が白いベイトフィッシュっぽいカラーをよく使います。

【Q18】プラグの素材による違いはありますか?

伊藤巧
伊藤巧

あるしかない
やり込んでる人の方がわかるので、ムネ(林宗朗)さんに聞いたほうがいい(笑)。アカシブランドや痴虫のルアーはアメリカにも持っていってるけど、ウッドにしかない力は僕でも感じるくらいありますよね。

林宗朗
林宗朗

素材というか浮力感
バルサのような、ボディサイズに対してキビキビした動きの軽めのルアーにしか反応がなかったり。逆にハードウッドみたいにちょっと水に絡むのが良かったり。そういう違いは楽しめますよね。インジェクションは反射板を内蔵できたり透明だったり、音が内部で反響したり…。いろいろあります。
特にボーン素材はより反響した音が響くから、サカナがどう、というより人間側が安心しますよね。でもあの音が良いか悪いかは、バスにしかわからない。例えばラトルあり・なしとか、サウンドの違いを考え始めたら迷宮です。でも、インジェクションの、内部が空洞にできる点は大きなプラス要素だと思います。

三原直之
三原直之

あると思う
素材とルアーの相性もありますよね。例えば桐製のアベンタRSの羽の位置をそのままでABS化させようとすると、浮力が足りないのでRSRの形になるんです。

【Q19】フックのこだわりはありますか?

伊藤巧
伊藤巧

あるに決まってる
それからフックは鋭さだけじゃないです。フックは重り。頭を上げたければ、尻を重くすればいいとか、そういう意識でのフックサイズ選びもありますよ

林宗朗
林宗朗

旧式のフック
僕らはツーピースやサーフェイスリグを使う。だから性能は全然良くないけどフックは旧式になってしまい、現状選択肢としてはマスタッドかイーグルクロウになります。ダブルフックはひっかかりにくさでの選択で、基本は水面にゴミがどれだけあるか、ですね。ガレ場メインならトリプルのほうが多い。霞ヶ浦とか倒れたアシとか豊英ダムのオーバーハングならダブル。大は小を兼ねるという意味でダブルの製品は多いですよね。でもトリプルを使える状況なら、なるべくトリプルを使います。

三原直之
三原直之

基本のピアストレブル+α
ルアーのスピードに応じた使い分けとセッティングがあります。止めたりデッドスローで使うものはフックの2本側を前側になるようにセットします。逆にペンシルみたいな動かし続けるものはボディにフックが沿う様に1本側を前になるようにセット。バド系みたいな、フックサイズがアクションに大きな影響を与えないルアーの場合はピアスクアッドにしますね。

【Q20】ラインとルアーの接続はどのようにしていますか(スナップ・からまん棒的な)?

伊藤巧
伊藤巧

スナップ派
ルアーチェンジが早いですからね。信頼できる強度のものがあるならスナップ派でいいと思います。僕はモリケンスナップが凄く太くて、強くて愛用してます。少し脱線するけどスナップの線形も重要。細すぎると接点が小さくなりすぎて糸が切れやすくなってしまいますよ。

林宗朗
林宗朗

スナップが多いですね
3種類使っていて、デコイのエッグスナップ、EXスナップ、ネイチャーボーイズの鉄腕スナップです。そんな究極な強度はバスはそんなに重要じゃなくって、使いやすさが優先。ポッパーにスナップ入れにくいとか形状によっての差があるので、付けやすさで使い分けていますよ。

三原直之
三原直之

スナップ使います
ローテーションしやすいですからね。カップが深いポッパーは直結することはありますが、基本的にはスナップを使います。ちなみにスプリットリングがついていても、それを避けてアイにスナップで接続したりします(笑)。

【Q21】ラインの使い分け(ナイロン・フロロ・PE)はありますか?

伊藤巧
伊藤巧

最近はPE+ナイロンリーダー
基本的に最近はPE+ナイロンリーダーです。頻度で言えば、PE、ナイロン、フロロ。110プロップとかはお辞儀させやすいからとかあるけど、フロロは糸が沈んでルアーがアクションさせにくくなるので使用頻度は低いです。

林宗朗
林宗朗

ナイロンは14lbか16lb直結
状況に応じていろいろ使い分けていて、寒いときはGTRトップウォーターか、ティーズフロートちぬ。あとはシマノBBXフロート。磯用の中空フロートラインです。あとはDAIWAのアストロン2磯フロートですね。ポーズを入れたりゆっくりめに使うんで、普通のラインでは沈んでいってしまってラインにスケート幅を阻まれたりするんです。そこで今は中空ナイロンを使うようになりました。

三原直之
三原直之

PEが多いですね
グラスロッドでトップをやることが多いのも合ってPEラインが多いですね。止めて使うルアーのときならナイロンにしたりもします。それとオリジナルのアベンタクローラーだけは空気抵抗の関係でフロロが一番投げやすいですね。

【Q22】あると便利なアイテムがあれば教えてください(板鉛、マーカーなど)

伊藤巧
伊藤巧

ブレイドラインかな
PEでトップをやることの重要性。アメリカに行くようになってトッパーの人がPE使う理由わかった。短い移動距離でアクションのキレを出せる。あと糸の抵抗でルアーが近づいてこない。遠くでも掛けられる。バレにくい柔らかい竿でも掛けられる。詳しくはムネさんに聞いてください(笑)。

林宗朗
林宗朗

僕はナイロンラインが好き
PEラインは伸びが少ないのでバドとか羽根モノみたいなルアーの動きを細かくちゃんと切ってくれますよね。あと、ドッグウォークペンシルを遠投してもキレのある首振りが簡単だったり。でもなめらかな、なまめかしい動きを出したいなら絶対的にナイロン。あと掛かりが浅めのときは、ナイロンのメリットがありますね。
でも今や、お客さんの7割8割がPEなので、ロッドのテストやルアーのインプレでは意識してPEを使ってみています。2号に20lbのナイロンリーダーをつけて使ったりとか。PEは根がかりの外しやすさも良いですね。

三原直之
三原直之

サイトマーカーとティンセル
ルアーが見やすくなって操作性も上がるサイトマーカーはよく使いますね。ピンクが特に見やすくてオススメです。それからベイトが小さいときなんかには、フックにティンセルをつけると効果があったりします。フックのアイに通して、シリコンチューブでカバーするだけなので、ティンセルフックは簡単に自作できますよ。

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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