メガバス・グループCEOの伊東由樹さんが、世界三大デザイン賞のひとつ『レッドドット・デザイン賞2022』(ドイツ)を獲得。釣り具での同賞受賞はなんと世界初の快挙。なかでもデストロイヤーは、グッドデザイン賞2020(日本)、iFデザイン賞2021(ドイツ)に続き、これで国際デザイン賞三冠達成となる。静岡県浜松市のヘッドクォーターでさっそく話をうかがった。
●文:ルアーマガジン編集部
伊東由樹プロフィール
伊東由樹(いとう・ゆき)
メガバス・グループCEO。国内バスフィッシング黎明期から活躍する伝説的バス釣り師。天才的な発想+経験に裏打ちされた技術でこれまで数多のデカバスを仕留めてきた。デストロイヤーやポップXなどの名作タックル&ルアーを手掛ける国際的な工業デザイナーでもある。
「デストロイヤーだけが評価されたんじゃない。日本のバス釣りの奥深さが世界に認められたのだと思う」
メガバスの進化曲線はリミットをハカイする
伊東「19世紀の世界的な建築家の言葉に、『形態は機能に従う』という有名な成句があります。モダンアートの源流ともいえる、バウハウスの設計思想にもなった原理ですね。レッドドット・デザイン賞は、そんなバウハウスを生んだいかにもドイツらしいデザインアワードといえるかもしれません」
2022年春、ドイツ・エッセンにて、メガバス・伊東由樹さんの代表作・デストロイヤーが栄えあるレッドドット・デザイン賞を受賞した。同賞の審査基準は極めて厳格。造形美はもちろん、形態が示唆する機能、さらにはその道具が未来への継承物になり得るかという点まで考慮される。デストロイヤーは、2020年にグッドデザイン賞、2021年にiFデザイン賞を獲得。今回の受賞により、日本のバスタックルが国際デザイン賞三冠を達成するという前代未聞の快挙を成し遂げた。
伊東「釣り具がレッドドット・デザイン賞を受けるのは、今回が史上初と聞いています。アワードの常連企業には、たとえばフェラーリやアップルがありますが、それら世界的なラグジュアリーブランドと同じ舞台、同じ選考基準で、奇しくも僕が生涯をかけて開発してきたバス釣りの道具が評価されるのは本当にうれしいことですね」
レッドドット・デザイン賞(Red Dot Design Award)
伊東「特に評価されたのは、ヒューマンタックルインターフェイスを追求したデザインコンセプトです。直感的に操作でき、かつ道具を使用する喜びにあふれている。もちろん、プリプレグパーツをプレス融合させる5Dグラファイトシステムも注目を浴びました。この技術を採用すれば少ない素材量で従来と同等、もしくはそれ以上のパフォーマンスが出せる。当然低レジン化にもつながります。とにかく軽く強いシャフトが作れるんですね」
そして熟成の域にまで達したヘッドロッキングシステムもそう。無垢のアルミを切削したこのパーツは、軽さと堅固なロック機能を連想させる意匠。まさに形態は機能に従うというわけだ。
伊東「デストロイヤーがデビューしたのは1996年。それから四半世紀が経ち、現在は第5世代に突入しています。当然ながら、最新シリーズにも、これまで開発に関わってきた歴代のメガバス・プロスタッフ、タイトルホルダーの知見…DNAと呼べるものが受け継がれている。バス釣りをよく知る人なら、全24モデルのすべてに『これはあの時の…』『これはあの試合で…』という、バス釣りの歴史が感じられるはず。それこそがデストロイヤーに宿る特別なオーラなんです」
高感度バスロッドの代名詞。初代の発売から四半世紀を過ぎた今も、デストロイヤーは日本のバス釣り文化を牽引する存在として、さらなる輝きを放ち続ける。
デストロイヤー
国際的評価を受ける「新・ハカイ王」
1986年に発表された初代ARMSを始祖とする、現代日本を代表する元祖・高弾性ロッド。現モデルは、最小限の素材使用で最大限の性能を発揮する5Dグラファイトシステムを採用。超強度を誇りながら驚きの軽さを実現する。ほかにも第3世代の超軽量ヘッドロッキングシステム、手のひらに吸いつくような究極のホールド感を誇るIBCS/MBCSリールシートなど、最先端の人間工学フォルムを多数搭載。
Cookai 空海
デストロイヤーの名を継ぐソルトモデル
「ルアーと対話できる長尺ロッド」をコンセプトに、デストロイヤーで培ったロッドメイクの最新技術をフルパワーで注入したソルト用シリーズ。特筆すべきは、軽量強靭な5Dグラファイトシステムがもたらす驚愕の遠投性能。激流の河川、砂浜、そして荒磯で活躍する。
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