
『秋の荒喰い』。シーバスアングラーにとって心が弾む言葉だ。このハイシーズンを東京湾奥で楽しむなら「河川や河口」と口をそろえて言うのがこのお二人。「とにかく魚影が濃い」(山内)。「喰わせやすい条件がそろっています」(平野)。両コメントを一言で表せば「釣れる!」。その攻略法を実釣解説。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
実釣解説は、東京湾エキスパートのこのお二人
東京湾の巨鱸が怖れる真のランカーハンター
山内 勝己(やまうち・かつみ)
千葉県在住。干潟や大規模河川を得意とするランカーハンター。豊富な経験と知識に裏打ちされた技術が高く評価され、DAIWA、マルジンのスタッフとして多くの製品開発にも携わっている。
どんな状況でも結果を出すシーバス巧者
平野 徹(ひらの・とおる)
千葉県在住。東京湾をメインに利根川や涸沼など関東一円のシーバスフィールドに詳しい凄腕ローカル。理論的かつ釣り場の状況に合わせた適応力で結果を出し続ける。マルジンのルアーを深く知るスタッフの一人。
「秋の湾奥流入河川は、一年を通して一番釣れると思います」(山内)
実釣は2カ所の釣り場で行われた。まずは1ヶ所目目の橋脚付近。
平野「セオリーどおり、橋の明暗狙いです」
山内「ベイトはイナっ子にサッパが居ますね」
平野「ただ、プラできたときよりライズが少ないです。魚(シーバス)の数も減ってる感じですね」
秋の湾奥河川&河口は、シーバスのストック量が多く、狙いどころが絞りやすい。
下げ五分すぎから実釣スタート。流れは利いている。が、なかなかシーバスの反応が得られない中、ガマダス135Fを巻いていた平野さんにヒット。
橋の明暗でリアクションで喰わせた技ありの1尾。
ヒットルアー:ガマダス135F[ローズウォリアー](マルジン)
平野「アップクロスで表層をドリフトさせながら明暗に流し込んでも反応がない。レンジを入れて、なおかつシーバスが少なそうなのでリアクションはどうかな、と。クロスに入れて流れをかませながら速めに巻いたら喰いました。ガマダスは巻くとブリブリとワイドロールで泳ぎ、リアクションが誘えます」
平野「明暗に対してクロス気味に入れて流れを噛ませて速めに巻いたら喰いました。反応が悪く、なおかつ魚も薄そうなのでリアクションでどうかなと」
その後、散発的なボイルにUKベイト7を通すとフッコクラスがポツポツとアタックする。
数少ないボイルを狙ってUKベイト7で連発。
ヒットルアー:UKベイト7[ナノハナ](マルジン)
平野さんはガマダスで釣ったあとに、UKベイト7でセイゴ、フッコクラスを連発。平野「たまに出るライズ狙い。ダウンクロス気味のアプローチで表層をただ巻き。明暗から逃げる小魚のイメージです。UKベイト7が目の前に来れば、たいていのシーバスは喰いますからね。5、6cmのサッパに付く魚にも最強です」
平野「2日前、プラで入ったときよりベイトの数も少ないし、シーバスの反応も良くないです」
さらに潮位が下がり流れが絞られ、いよいよ時合いのピークという頃に、同じ橋の明暗にシーバスを狙うボートが…。ボイルがさらに減る。
平野「ボートでプレッシャーがかかりましたね」
山内「釣れている場所には、人もボートも集まりますからね。ただ、秋のハイシーズンになれば、こういうバッティングも減りますよ」
山内「秋の湾奥は年間通してみても一番釣れる時季。セオリーどおりベイトが居るところはシーバスが多い。しかもシーバスはやる気があって、ベイトが居ればどこでも釣りが成立しやすい。テクニック云々より、ベイトの動きを見ながら釣り場に数多く立った人ほどたくさん釣れる。それが今後の釣りに役立ちます」。秋の釣り場に立つことこそが上達の近道。早速、ロッドを片手に釣り場へGO!
そうなんですか?
山内「湾奥のあちこちで釣れるようになりますから。岸から狙うなら、とくに河川や河口は良いです。ベイトが多く、シーバスのストック量が増えます」
平野「ベイトはサッパやイナっ子。群れでいるから、見て確認できます。年間通して言えることですが、とくに秋はベイトの存在が重要。コノシロが居れば、ランカーも期待できますしね」
山内「秋の湾奥は、一年の中で一番釣りやすいと思います。この場所でこのタイミングで釣れた、という成功体験が得やすい。それが今後の釣りに必ず役立ちますからね」
ベイト+変化に流れを利用してアプローチすれば、答えは自ずと出るはず!
実釣2カ所目は、やはり湾奥に流れ込む河川河口部のシャローエリア。時折、バシャッとシーバスが小魚を襲う音が聞こえてくる。
平野「イナっ子がたくさんいますね。ここはシャローにある川の本流筋のブレイクを狙います。ただ、時間によって流れの筋が寄ったり、離れたりするので流れが右に入ってきたときがチャンスになります」
実釣は2カ所とも下げ潮の後半に入水。平野「潮位が高いと入れないポイントですからね。ただ、潮位が下がると干上がる場所もある。基本的には潮は流れているほうが釣りやすいです。あとは川は、干満差が大きい潮回りで流れすぎないほうが良いときもある。流れはじめや緩む瞬間はポイントに立っていたいです」。山内「平野さんの言うとおり、潮の変わり目を念頭に置いて釣りをすることが大事」
ウェーディングする二人の立ち位置は、川でいうと右岸側。つまり流れが寄ったときが好機だ。だが、その流れが発生しない。
山内「流れが右に巻いてこないですね。海のほうに真っ直ぐ走るだけ。クロスで探っても反応はない」
そこで山内さんは、流れの下流に向けてガマダス135Fをキャスト。ダウンで流れの筋を狙うと、それが当たった。
山内「喰った! ダウンで流れの一番強い部分に流し込んだら喰いました。大きくはないです」
実釣1カ所目は橋の明暗。2カ所目はシャローエリアの流れの蛇行を狙って釣り場を選択。どちらもベイトフィッシュと流れに、明暗や流れの蛇行というプラス要素の変化が絡む。平野「河川の橋の明暗は競争率が高い。下流側のブレイクもベイト、流れが絡む変化になります。静かな暗がりのブレイクで回遊待ちをしていると、でかいシーバスがボンッとでることが多いです」。山内さんが獲った80cmオーバーも暗闇の流れが走るブレイク絡みだ。
キャッチしたのはフッコクラス。この1尾が連発の皮切りになった。撮影後、すぐさま山内さんのロッドが大きく曲がる。
山内「今度はまあまあのサイズ。同じパターンです」
明らかに1尾目より迫力のあるエラ洗い。山内さんに巧みに誘導されて、フィッシュグリップをかけられた巨躯は明らかに80cmオーバー。傷ひとつないきれいなシーバスだ。
80cmオーバー! ランカーサイズのシーバスを見事にキャッチした山内さん。
ランカーシーバスのヒットパターン解説
ダウンクロスで投げて強い流れの中からランカーを引き出す
実釣時は流れの筋が右に曲がらず、海に向かって流れる一方。「流れをクロスで探っても反応がない。流れが集まって強くなる喰わせやすいところが、立ち位置から見てどダウンの方向。時計で例えるなら12時で、10時の方向に投げて、12時くらいに流し込んで喰いました」(山内)。同じパターンで射程距離を伸ばし、ガマダス135Fではアプローチできないシーバスを引き出したのがQペン118Sプロトだ。
ヒットルアー:ガマダス135F[マットチャート](マルジン)
実釣時、マルジンのガマダス135Fが大活躍。潮流に乗せるドリフトの釣りでも威力を発揮した。
山内「まだ出るはずですよ!」
同じパターンでフッコクラスを追加すると、ルアーをシンキングペンシルのQペン118Sプロトにチェンジ。
山内「飛距離を活かしてガマダス135Fの先を撃ちます」
平野「僕も干潮前でだいぶ浅くなってきたのでガマダスからQペンに変えました」
すると二人そろってフッコクラスをキャッチ。流れを読み、釣り場の変化に合わせてルアーを替え、好機を自らたぐり寄せた。さすがです!
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