[青物御三家]ブリとカンパチあと1つは? 誰でもわかる3魚種の見分け方

青物の中でも特に人気と知名度が高い3魚種をまとめて、青物御三家と呼ぶ。では、その3魚種とは何をさすのか? 食味も良く、釣りのターゲットとしても好まれるこの青物御三家を紹介! また、それぞれ見分け方も解説していこう。

【画像】青物御三家の見分け方の解説画像ギャラリー

●文:ルアマガプラス編集部

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青物御三家とは、一般的に「ブリ・ヒラマサ・カンパチ」の3魚種

ここで言う御三家とは、市場でのニーズだけでなく、釣り人にとっても人気の高い魚種として「ブリ・ヒラマサ・カンパチ」の3魚種を挙げている。では、それぞれの特徴と、見分け方をみていこう。

【ブリ】冬の日本海側で獲れるものが有名だが、最近は北海道での水揚げが増加

ブリの生態

スズキ目スズキ亜目アジ科ブリ属。大型は1mを超える。出世魚の代表格で、大きさや地方によって名称が変わる。代表的なところでは、関東のモジャコ、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ、関西のモジャコ、ワカナ、ツバス(ヤズ)、ハマチ、メジロ、ブリなど。北陸も独特な名称で呼ぶ。日本近海を季節によって移動する。産卵期は春。養殖も各地で盛んに行われている。

出世魚の代表格! 大きさに応じて美味しい食べ方を

関東、関西で異なる大きさ毎の名前を持つのが特徴ともなっているブリ。有名なのが40~50cmくらいのサイズを示す関東のイナダ、関西のハマチ。それ以外の地方に行くと、フクラギなど呼び方は様々。同じ呼び方でも地方で大きさ規定が違う、という場合さえあるほどだ。小型のうちは岸近くに回遊し、多くの釣り人のターゲットとなって港や防波堤をにぎわせる。

代表的なブランド

ブリは天然と養殖ものが数多く出回っているが、天然ものといえば、富山の氷見産の寒ブリが一大ブランド。氷見産ブリと他地域では、5倍近い価格差になることもある。冬になると地方によっては鮭ではなくブリが贈答魚となるため価値も上がる。

おすすめ料理全国の主な産地
刺身、焼き物、煮物、しゃぶしゃぶなど12月~1月富山、明石海峡、山陰、玄界灘、相模湾、北海道

【ヒラマサ】釣りのターゲット人気の青物。食味も最高だが市場流通量は少なめ

ヒラマサの生態

スズキ目スズキ亜目アジ科ブリ属。成長すると1mを超え、JGFA(ジャパン・ゲームフィッシング・アソシエイション)の船釣り部門では「137.5cm・27.1kg」という個体が、東京都御蔵島沖で釣り上げられたという記録もある。地方名は、九州地方ではヒラスなどと呼ばれている。また、俗称として、幼魚はヒラゴと呼ばれることもある。ブリよりも水温が高い海域を好む傾向にある。ブリとの交雑種も確認されている。

海のスプリンター。釣り人にとっての好敵手

大型のヒラマサを釣り上げるのは難易度が高い。非常に頭の良い魚で、たとえ針がかりさせても、パワフルな遊泳力で根(海底の岩)へと潜り込み、釣り糸を切ろうとする。その難しさから、ゲームフィッシングにおいても人気が高い。

代表的なブランド

ブリに比べると、ヒラマサの市場流通量は少ない傾向。養殖もされており、大分では「かぼすヒラマサ」というブランドで出荷されている。食味は非常に良く、刺身はもちろんしゃぶしゃぶや煮物などにも適している。

おすすめ料理全国の主な産地
刺身、焼き物、煮物、しゃぶしゃぶなど8月〜12月大分、長崎、鹿児島、愛媛

【カンパチ】大型のものは1mをゆうに超える、釣り人にも大人気の魚

カンパチの生態

スズキ目スズキ亜目アジ科ブリ属。ブリやヒラマサなどの仲間で、大型は1mを超える。磯に居付いていることもあり、ブリなどよりも岸から釣りやすい。小型はショゴ、シオなどと呼ばれ、沿岸で数釣れることも。30cmを超えると、立派なカンパチの味となる。ブリなどよりも小型と大型の味の差がない点も面白い。養殖、天然ともに市場価値は常に高い。

こちらは仲間の「ヒレナガカンパチ」

本種カンパチよりも、さらに南方に多く棲息する。沖縄ではこのヒレナガカンパチのほうが多く、本種カンパチが釣れると、本カンパチと呼んで区別し珍重する。味は多少落ちるという意見もある。脂が少ないことからサッパリしているが、美味しいことに変わりはない。市場価値は多少低くなる。

代表的なブランド

南方系の魚なので、おもに関東から西(南)で多く水揚げされる。沖縄などはヒレナガカンパチが多くなる。鹿児島、宮崎、和歌山、三重などでは養殖も盛んに行われている。とくに鹿児島は垂水を始め、養殖もののブランド魚として力を入れている。

おすすめ料理全国の主な産地
刺身、焼き物、煮物など7月~10月鹿児島、宮崎、伊豆諸島など

青物御三家「ブリ・ヒラマサ・カンパチ」の見分け方

青物御三家と呼ばれるブリ、ヒラマサ、カンパチはよく似た魚体のため、慣れていない人にとっては判別が難しいかもしれない。特に、ブリとヒラマサは非常によく似ており、実際に見比べても、その違いに気づきにくい。ただ、よく観察すると、それぞれ見分けやすい特徴もあるので、次項から詳しくみていこう。

【ブリとヒラマサ、カンパチの違い、わかる?】
上から、ブリ・ヒラマサ・カンパチ。並べてみても、見慣れていないと差がわかりにくいかもしれない。ただ、それぞれ特徴はあるので、

ブリの特徴・見分け方

ブリの魚体は厚みがあって丸みを帯びている。また、胸ビレは体側の黄色いラインに重ならず、口角の形状が角張っている(ヒラマサ・カンパチはアールがついていて丸い形状をしている)。では、それぞれを詳しく

【特徴1】胸ビレの位置

特に見分けがつきにくいブリとヒラマサだが、最もわかりやすい特徴は、胸ビレの位置のちがいだろう。ブリの胸ビレは、写真のように黄色いラインに重ならない。後述するが、ヒラマサの胸ビレは、ボディの黄色いラインと重なる。

ブリの胸ビレは体側の黄色いラインと重なっていない。

【特徴2】口角の形状

ブリの口角(アゴの後端部分)が、鋭角に尖っている。これも後述するが、ヒラマサの口角部分は丸みを帯びている。この部分の比較でも判別がつきやすい。また、カンパチも同様に、口角が丸くなっている。

口角の角が鋭角で尖っているのがブリの特徴。ヒラマサとの違いも、ここで判別できる。

ヒラマサの特徴・見分け方

ヒラマサは、海のスプリンターと呼ばれるだけあって、ブリよりも遊泳力が高く、全体のフォルムがやや平たくて、ブリよりもスリムな印象。口角の形状は、下の写真を見ると分かる通り、やや丸みを帯びていてる。また、胸ビレは、体側の黄色いラインに重なっているのも、ブリとの違いである。

【特徴1】胸ビレの位置

写真の通り、黄色いラインに胸ビレが重なっている。上の項のブリのものと見比べてみてほしい。違いがわかるはず。

【特徴2】口角の形状

上のブリの口角の形状が角張っているのに対して、ヒラマサの口角部分はアールがついている。ここが、ヒラマサとブリを見分ける上でのもう1つのポイントとなる。

ヒラマサの口角部分(上アゴの後端部分)はややアールがついていて、丸くなっている。

カンパチの特徴・見分け方

上の2魚種(ブリ・ヒラマサ)に比べると、判別しやすいのがこのカンパチ。特徴的な「八の字」の模様で、ひと目で判別できる。また、カンパチは1年で1kgを超えるほど成長が早いため、九州などの各地で盛んに養殖されている。

【特徴1】漢字の八の字に見える模様(ライン)

カンパチの特徴と言えば、やはり名前の由来ともなった目と目の間、人間でいう額から眉間の部分に走る八に見える模様だろう。より小型のとき程はっきりと見えるこの模様も、成長するにつれて薄くなってしまう。

横からだとわかりにくいが、カンパチを上から見ると、黄色いラインが漢字の八の字を描くように走っているのがわかる。これが、カンパチの見分け方となる特徴だ。

【特徴2】口角部分の形状

カンパチの口角部分は、写真のように丸くなっている。ここも、ブリとは形状の違うため、見分けるポイントとなるだろう。

左がブリの口角で、右がカンパチの口角。こう見ると、形状が違っているのがわかる。

青物とひとくくりにされがちだが、よく観察するとそれぞれ特徴や特性が違い、見た目も異なっているのがわかる。ブリ・ヒラマサ・カンパチを目にした際には、その違いをチェックしてみるのも面白いだろう。


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