サーフでランカーシーバスハント!カギを握るのは「イワシの接岸」【ヒヤマンの茨城涸沼1年釣記・番外編/鹿島灘サーフ】

関東唯一の汽水湖であり、東京湾に次ぐシーバスフィールドとして名高い「涸沼(ひぬま)」。この地に20年以上通い続け、エキスパートとしてコンスタントに釣果を出し続けるのが「涸沼のヒヤマン」こと檜山敏崇さんだ。今回は、【番外編】と題し檜山さんが得意とする鹿島灘のサーフシーバスゲームを紹介してもらった。

●写真/文:檜山敏崇

2024 新製品情報

涸沼シーバスから茨城サーフまで! 茨城のランカーハンター・ヒヤマン!

檜山敏崇(ひやま・としたか)
茨城シーバスの聖地・涸沼をホームとするDAIWAフィールドテスター。「涸沼=ヒヤマン」と呼ばれるほどの涸沼水系エキスパートであり、これまでに数多の涸沼ランカーをキャッチしてきた凄腕。大型ルアーからワームまで、幅広いルアーを使いこなし、難攻不落とされるボイル攻略も得意とする。茨城サーフのフラットフィッシュのエキスパートとしての顔も持つ。

ヒヤマン(檜山さん)の鹿島灘サーフシーバス攻略「要点まとめ」

攻略項目鹿島灘サーフシーバス攻略
季節12月〜1月
ベイトイワシ(10cm前後)
攻略法まとめ「離岸流を利用したフローティングミノーの沖への送り込み」
「寄せ波のあとの引き波を狙った、波打ち際でのスローリトリーブ」
「ヘビーシンキングタイプのシンキングペンシルを遠投して波間を漂わせる」
ルアー例「ショアラインシャイナーZバーティスSD140S」
「ショアラインシャイナーZバーティスR140S」
「ショアラインシャイナーZバーティスR140F」
「ショアラインシャイナーZバーティスR98S」
「オーバードライブ95S」
「オーバードライブ120S」
ロッド「モアザンブランジーノEX AGS1010ML/Mパワーサーフカスタム」
リール「モアザンLBD2510-PE」
※製品はすべてDAIWA

鹿島灘ってこんなフィールド!

檜山「12月頃になると、涸沼のシーバスも産卵に向けて海を目指します。涸沼川を下るイナッコも那珂川との合流付近の最下流域、もしくは那珂川河口周辺にコノシロと混同する形で多く溜まるようになります。涸沼でもそれなりに釣果は得られますが、基本的にはオフシーズンになるので、この時期は鹿島灘のサーフに足を運ぶことも多くなります」

ということで、これまで連載形式で涸沼水系のシーバスについて解説してもらっていたが、今回は特別編と題し、得意とする鹿島灘サーフシーバスゲームについて解説してもらった。

【Lesson1】ヒヤマン流サーフのポイントの選び方

広大なサーフはどう攻略すればいいのか? まずは、ポイントの選び方についてヒヤマンに解説してもらった。

ヘッドランド(消波ブロック帯とそこに連なる陸繋砂州のことを指す)

檜山「茨城沿岸部、大洗から南にかけてのサーフエリアで最もわかりやすいポイントがヘッドランドになります。この地域の代名詞とも言えますね。

押し寄せられた波がヘッドランドづたいに集まり、払い出しの流れが強く出る場所で流速がとても速く、際は深くえぐられています。この流れを利用してシーバスもベイトフイッシュを捕食するためにシャローに入ってくるのですが、立ち込むと危険なので砂浜からアプローチするのがセオリーです。

このヘッドランドは約1km毎に点在しているそうだ。海況に伴いその近辺の地形も変わり続けます。昨年は良かった地形も今年は砂が入って浅くなってしまいダメというようなことが年ごとにあるので、サーフゲームもやはり移動して良い地形を把握することから始めていきます」

ただし、ヘッドランド周辺であれば何処でも良いというわけでなく、大洗から波崎まで40ほどあるヘッドランドもそれぞれ周辺の地形が異なるとのこと。深さのあるヘッドランドを見つけることも釣果への近道になりそうだ。

離岸流(岸から沖に向かっていく流れ)

檜山「ヘッドランドとヘッドランドの間に発生しやすい流れです。白波が立っておらず、そこだけ周囲と違う波質だったり、ゴミや泡が集まって沖へ向かって流れていたりします。これらが見分ける基準になってくるかと思いますが、慣れないとすぐには見分けがつかないかもしれません。こうした場所は、やはり流れが集まり払い出しているので、地形的には周囲よりも深く掘られています」

横ヨブ

沖方向に縦に払い出す離岸流に波を集めるべく、ヨコの流れが形成した深場のこと。波立つ沖と岸に挟まれ、魚を閉じ込めている場合も多い。

檜山「離岸流になる前の横方向に出ている強い流れが作り出した岸、それと平行にできているスリット状の部分を言います。深く掘られているのでシーバスも回遊してきやすく、朝夕のマズメ時には横ヨブを利用して波打ち際まで差して来ます。

このような離岸流や横ヨブ、またヘッドランド際の速い流れが発生し深く掘られているようなポイントは魚が入りやすい絶好のフィーディングポイントになります。ただ、ここでカギを握るのがベイトフィッシュの存在。ベイトの有無で釣果にかなりの差が生じることも意識するべきですね」

サーフのベイトの種類について

メインベイトになるカタクチイワシ。檜山さんはこのベイトを軸にルアーなどを選択していく。

広大なサーフエリアでシーバスを探し出すのはなかなか困難である。やはり、釣果を得るためにカギを握るのがベイトフィッシュの存在だ。

檜山「前述したように、地形や流れはバッチリでも肝心なベイトが皆無だとやはりシーバスは射程圏内には入ってきません。また、ベイトの種類でチョイスするルアーのタイプも変わってきます。茨城沿岸のサーフに関して言えば、イナッコ、サヨリ、コノシロ、コサバ、イワシあたりが主になりますが、秋冬のサーフと言えばメインベイトはやはりイワシ。

定番はカタクチイワシで、マイワシが絡むとさらに面白い事になりますが、基本的にはカタクチイワシを軸にルアーなどをチョイスしていきます」

シーバス以外にうれしいゲストにも出会える!

サーフおすすめルアー1【ミノー】

檜山「朝夕のマズメ時に波打ち際まで入ってくるシーバスを狙うにはやはりミノーは欠かせません。波打ち際の引き波でアクションが破綻して折角の食わせどころを逃したく無いので、飛距離が出てアクションが安定しているルアーが必須です」

そんな檜山さんが愛用するミノーは「ショアラインシャイナーZバーティス」シリーズだ。

檜山「飛距離も申し分なく、安定したアクションでシーバスのみならず青物やヒラメにも効果的です。状況に応じてフローティングとシンキングを使い分けていますが、離岸流に乗せて届かない沖まで流し込んでいける『フローティングタイプ』をよく使用しています。

飛距離を稼ぎ深いレンジを探りたい時はシンキング。波打ち際において、寄せ波の後の引き波がチャンスだったりするのですが、その際リトリーブに溜めを作りたいので、フローティングが扱いやすいです。シンキングとフローティングを状況に合わせて使い分けると良いと思います」

右から、「ショアラインシャイナーZバーティスSD140S」「ショアラインシャイナーZバーティスR140S」「ショアラインシャイナーZバーティスR140F」「ショアラインシャイナーZバーティスR98S」。

サーフおすすめルアー2【シンキングペンシル】

広いサーフを攻略する上で、ルアーに求められる最も重要な性能はやはり飛距離だろう。

檜山「秋から冬にかけて沿岸にイワシが接岸する頻度が上がる鹿島灘サーフでは、早朝に鳥山が広がりナブラが発生する事も多々あります。ルアーをゆっくり見せて波間を漂わせたいところです。

ただ、鳥山がミノーではどうしても届かないような沖であったり、メタルジグでは届くけどアピールが足らずレンジが下がりすぎてしまいます。そこで活躍してくれるのが、『シンキングペンシル』です。ヘビーウエイトでありながら沈み過ぎないものが好ましいですね」

檜山さんが鹿島灘サーフでメインで使用しているのが『オーバードライブ』の95Sと120Sだ。

檜山「なんと言っても圧倒的な飛距離が魅力です。平均飛距離は100m越えでMAX107mまで叩き出しています。広大なサーフでのキャストフィールが気持ちよく、ついつい投げ続けたくなるルアーですね!

アクションに関しては、お尻をワイドに振るテールスイング系でシンキングペンシルの中でもアピール力は強い部類だと思います。側面は3分割されたフラッシングデザインによりフォール中も強フラッシングでアピールします」

左がオーバードライブの95S、右が120S。ヘッドに設けてあるフィンが飛行姿勢の安定を担っていて、多少ブレて飛んで行ったとしても飛行中にピタッと静止し、ルアーは回転すること無く綺麗な放物線を描き着水。95Sで35g有るウエイトにも関わらず浮き上がりも早く、ロッドポジションとリーリングの調整であらゆるレンジをトレースする事が可能なヘビーシンペン。

打ち上げられたベイトフィッシュと同サイズのオーバードライブ95S。

2021年の鹿島灘サーフにて。オーバードライブ95Sを100m沖まで伸びるカレントに投げ込みボトムタッチ直後にヒットしたランカーシーバス。

サーフのメインタックルを紹介

【タックル】
●ロッド:モアザンブランジーノEX AGS1010ML/Mパワーサーフカスタム●リール:モアザンLBD2510PE-SH●ライン:UVFモアザンデュラセンサー8ブレイド+Si2 1.0号●リーダー:モアザンリーダーTYPE II F(フロロカーボン)25lb
※すべてDAIWA

ロッドはモアザンブランジーノEX AGS1010ML/Mパワーサーフカスタム

ブランジーノEX AGSシリーズの中でも10ft10inの最長モデル。

檜山「長さだけを見ると、取り回しにくいと感じるかもしれませんが、軽さがもたらすアドバンテージは非常に高く、10ft10inであることを感じさせません。Mクラスのバットパワーで砂浜からのランカーシーバスや不意の座布団ヒラメ、ワラサクラスの青物など大型個体にもしっかり対応でき、レギュラーテーパー気味に曲がるロッドでじわじわと魚のパワーを奪っていくようなロッドです」

リールはレバーブレーキ仕様の『モアザンLBD2510PE-SH』

檜山さん愛用のハイギアタイプのレバーブレーキ搭載リール。横風を受けることも多く、素早くラインスラックを回収するためにもサーフではハイギアモデルが有利。

檜山「私がサーフでレバーブレーキを使用する理由は2つあります。ひとつは波打ち際において任意でラインの放出が可能なところです。

サーフにおけるランディングは砂浜へのずりあげが多いのですが、掛かった魚が大型個体の場合、波打ち際での攻防を強いられます。特に波足が長く手前に深みのあるような砂浜では、せっかく波打ち際まで寄せてきたのに、引き波で持っていかれた際に抵抗がかかり過ぎて口切れフックアウトしてしまうこともあります」

――そうした場合の対処法はありますか?

檜山「ランディング時に自分自身が波に合わせて前身後進し、ずりあげるタイミングを図る必要はなく、レバーのON/OFFひとつで対応できるのです。レバーブレーキリールをサーフで使用してから、波打ち際でのバラしがグンと減りました」

――もうひとつの理由とは?

檜山「離岸流攻略です。太いカレント(離岸流)は遥沖まで続いていることが多く、ルアーが届かないエリアまで伸びています。フローティングミノーをフルキャストしてカレントのど真ん中へ。一度ルアーに水を噛ませてレバーブレーキをON! 後はレバーの調整でカレントの奥深くへバックドリフトで流し込む事が可能になります」

ラインをフリーにして送り込めばルアーは流れて行きそうだが、バイトがあった際に対応に遅れが生じるイメージもある。

檜山「レバーをONにしてハンドルを逆転させながら流すことで、ルアーをしっかりとアクションさせながらバックドリフトで流れに乗せることができます。後はバイトが出た時にレバーを握ってフッキングすれば届かなかった魚が捕れる可能性が高まりますよ!」

涸沼水系でのメインラインはPE1.2号を使用していますが、比較的沈み根等が無いサーフではPE1号を使用しています。ポイントの地形に合わせてリーダーの号数も変えるようにしていますよ。

朝夕のマズメ時がベストなタイミング

――サーフのシーバスゲームはどのタイミングで竿を出すべき?

檜山「サーフゲームは日中メインで釣行しています。行き慣れたサーフのポイントでは暗い時間帯のナイトゲームも稀にやりますが、やはり波がある沿岸なので暗いと周辺の状況が把握できませんし、危険を伴います。サーフにおいてはやはり明け方の朝マズメが一番の時合いだと思います。

最も可能性があるのが、ベイトフィッシュが盛んに動き回るタイミング。イワシを求めて鳥が旋回し、フィッシュイーターの活性も上がります。シーバスのみに関してなら、朝夕のマズメ時がベストタイミングだと思います」

近況とまとめ

檜山「例年なら11月頃から徐々にサーフゲームに移行して行くのですが、今年は涸沼のシーバスが釣れ続けていたこともあり、サーフで釣りを始めるのが遅くなってしまいました。海況も時化が続き、思うようなタイミングでエントリーできなかったことも多かったように思います。

12月に入り今年も残すところあと僅か。12月中旬現在の茨城沿岸の海水温も16℃台とまだ比較的高く、鹿島灘サーフはベイト次第ですがまだ楽しめそうです。これから日に日に水温も下がって来ます。北東風が強めの時は釣り辛いタイミングもありますが、チャンスとなる『カタクチイワシの接岸』は北東風が大きく影響していると感じています。

今後、県央地域は多少厳しくなってきますが、県南地域はコノシロ付きが最盛期になってくると思われます。年末にかけてさらに寒くなって来ますが、私もまだまだシーバス狙いでサーフに足を運びたいと思います!」

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ミッチーさん解説による「オーバードライブ」動画もチェック!

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