オカッパリタックルの新潮流となるか!? 「ハザー×レジットデザイン」渾身の振り出しバスロッド“テレキャスト”を徹底解説!!

「バスロッドは1ピースが最適、振り出しザオなんてもってのほか」そんな固定概念を覆すロッドが登場した。ハザーこと迫間謙一さんプロデュースの“TELECAST(テレキャスト)”だ。初回のラインナップはビッグベイトスペシャルとバーサタイルなスピニング。2機種の開発意図とねらいを本人に詳しく語ってもらおう。

●文:ルアマガプラス編集部

【迫間謙一(はざま・けんいち)】
和歌山県出身。釣具業界かわいい系担当を自負するフィッシング・クリエイター。プロアングラーとの交友も広く、ビッグベイトの使い手としても知られる。愛称はハザー。2018年H-1グランプリ亀山湖戦準優勝。レジットデザインフィールドスタッフ。 [写真タップで拡大]

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なぜ「振り出しザオ」に挑むのか!?

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――ハザーさん監修のテレスコピック・ロッドといえば、数年前にメディアとコラボしたモデルがありましたよね。

ハザー「そうなんです。あのときは本数限定のウェブ販売のみで、欲しくても買えなかったという声がたくさん届いたんですよ。今回はレジットデザインの通常ラインナップに加えていただく形で、新たにスペックを練り直しました」

――そもそもなぜ「テレスコピック(=振り出しザオ)」なんでしょうか? レジットにはマルチピースのモデルもありますし、ハザーさんもずいぶん愛用して来られたはずです。

ハザー「まだまだ進化の余地があるんじゃないか、と」

――進化?

ハザー「レジットデザインをはじめとして、日本のバスロッドの性能はワンピースもマルチピースも相当な水準までたどり着いています。そのなかで唯一、技術革新がなかなか進んでいないのがテレスコピック・タイプのロッドじゃないかと思うんです」

――たしかに、安かろう悪かろうなイメージがいまだに抜けません。

ハザー「そこにレジットデザインの技術と経験を注いでもらえば、これまでにない数ランク上のロッドができるんじゃないかと。といっても、僕は理想のイメージを伝えただけ。それをレジットデザインの飯高博文さん、鬼形毅さんが完璧なカタチにしてくれました」

2018年に限定発売された初代TELECASTはレジットデザイン初のテレスコピックロッドだった。それから5年の歳月を経て、さらなる高みを目指したのが今回のプロジェクトだ。プロトモデルのテストには2年以上を費やしたという。 [写真タップで拡大]

ハザー「タックルはデザインも大事な要素だと思うんです。モチベーションを上げてくれるというか、部屋で眺めているだけでもテンションが上がる道具にしたい」
初代TELECASTは線の細いフォントが施されていたが、迫間さんのこだわりで発売直前にインパクトの強いロゴデザインに変更。ブランクのカラーも10種類以上の微妙な違いを吟味して決めた。 [写真タップで拡大]

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4oz級も快適なビッグベイトスペシャル!

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――今回ラインナップされた“TELECAST”2機種のうち、ベイトモデルは「ビッグベイトスペシャル」。エクストラヘビー表記でテレスコピックという、なかなか尖ったスペックです。

テレキャスト TC-70XH BIG BAIT SPECIAL “Power Chord”

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【スペック】

  • 全長:7ft
  • 仕舞寸法:61cm
  • ルアー適合範囲:MAX 4oz
  • 適合ライン:14~30lb
  • 価格:36,300円(税込)

ハザー「これは完全に僕自身のスタイルに寄せまくった1本です(笑)。ビッグベイトのなかでも一般的に多用されるのは1~2oz前後だと思いますが、このロッドは4ozクラスまで対応できるパワーを持たせてあります」

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――4ozというと、具体的には?

ハザー「クラッシュ9は余裕で操れます。先日は4.8ozぐらいあるジョインテッドクロー・シフト263のプロトも投げさせてもらったんですが、これもイケました。とはいえガチガチに硬いテーパーのロッドではないんですよ」

――よく見ると、適合ルアーウエイトは「MAX4.0oz」とあるだけで、下限が書かれていませんね。

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ハザー「負荷に応じてちゃんと曲がってくれるレジットデザインらしいサオなので、軽いリグに向いたリールを選べば実重量7gぐらいのノーシンカーでも扱えますよ」

7gのミノー(マーゲイSW)でキャッチしたクロダイ。 [写真タップで拡大]

――ワイルドサイド・シリーズには短めのビッグベイトロッドもありますが、7ftというレングスにした理由は?

ハザー「オカッパリで使うことを想定しているからです。飛距離のメリットがあるのはもちろんですが、ちょっと足場が高かったりすると、少しでも長さがあったほうが足元まできっちりビッグベイトを泳がせることができる。最後までバイトチャンスが作れるんですよ。それで小場所でも使えるギリギリの長さ、7ftに決めました」

ハザー的TC-70XHタックルセッティング

  • リール:20メタニウムHGL(シマノ)
  • ライン:シーガー R18 フロロリミテッド16lb or 12lb(クレハ)

TC-70XHに合わせるのは小型ベイトリールに16lbラインがハザーさんの標準的なセッティング。ビッグベイトには20lb以上を合わせるアングラーも多いが、フロロカーボンだとラインの重さが加わりすぎて扱いづらいことがあるとのこと。
ハザー「ジョイクロやタイニークラッシュなら12lbを巻くこともあります」 [写真タップで拡大]

バスからソルトまで対応するバーサタイル・スピニング

ハザー「一方のスピニングモデルは王道のオールラウンドなスペック。クセがなくて、とにかく守備範囲の広いサオです」

テレキャスト TS-65L ALL ROUND SPECIAL “Legato”

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【スペック】

  • 全長:6ft5in
  • 仕舞寸法:49.5cm
  • ルアー適合範囲:MAX 1/2oz
  • 適合ライン:3~6lb
  • 価格:34,650円(税込)

――今回のモデルは「65L」、すなわち6ft5inのライトパワー。初代TELECASTのスピニングモデルより1in長くなっています。

ハザー「あのロッドは完全にフィネス寄りのセッティングでした。今回の65Lはライトリグだけでなく、小型プラグ全般までカバーできるようになってます。場合によっては小型スピナーベイトなんかもこのスピニングでやっちゃいます」

――スピナーベイトまで扱えるんですか!

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ハザー「ラインを太めにすれば7~10gぐらいは全然アリです。かつて村上晴彦さんがスピニング1本でなんでもやっていた時代がありましたよね。あのイメージが頭の片隅にあったような気がします。結果として、シーバスやチヌ、ロックフィッシュなど海のライトゲームでも活躍してくれるロッドになりました」

――ということは、PEラインの使用も問題なし?

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ハザー「はい、旧モデルよりガイド径を上げるなどして対応しました。僕がオカッパリで使う場合、0.3~0.4号ぐらいのPEラインを巻いたうえで、状況に応じて4~6lbの間でリーダーを使い分けることが多いです」

ハザー的TS-65Lタックルセッティング

  • リール:21ルビアスFC LT2500S(DAIWA)
  • ライン(フロロ):シーガー R18 フロロリミテッド3 ~ 6lb(クレハ)
  • PEラインセッティング:スーパートラウト エリアインフィニティPE X8 0.3~0.4号(バリバス)+グランドマックス1~1.5号(クレハ)

TS-65Lによくセットするスピニングリールはコンパクトタイプの2500番。ラインはフロロカーボンなら3~5lb、PEセッティングの場合は0.3~0.4号にフロロカーボンリーダー1~1.5号を使い分けている。 [写真タップで拡大]

両番手ともソルトゲームでも大活躍!!

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ハザーさんはベイト、スピニングともにソルトゲームでもテストを敢行! TC-70XHは昨今大人気のビッグベイトシーバスにも最適なスペック、TS-65Lはチニングをはじめとしたライトソルトゲームでも楽しめるロッドになっている。なお、海水で使ったあとは脱着可能なグリップエンドのキャップを開けてから水洗いして乾かすのがベストとのこと。

ハザー的!テレキャスト取り扱い注意点!

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――最後に、テレスコピック・ロッドを扱う際の注意点を教えてください。

ハザー「まずは抜き差しを慎重に行なうことですね。片付けようとしてグリップエンドを地面に『トントン』と叩きつけたりするのは、破損の原因になります。誘導ガイドはズレにくいように長めのカーボンパイプに載せてありますが、長時間使っているとズレることはあるので、それを直すときにも『グイッ!』と強引にやらないように。赤ちゃんを扱うような気持ちでやさしく丁寧に扱ってあげてください」

テレキャスト解説及び実釣模様は下記動画をチェック!